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取り憑かれしモノを救え―調査の章―

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●設計思想

 他のみんなが調べ終わった場所を、七瀬雫(ななせ・しずく)ニーア・ストライク(にーあ・すとらいく)はもう一度調べていた。
 もしかしたら何か別のものが出てくるかもしれないと思ってだ。
 そして、それは正しい判断だった。

 剣に付与する術式について

 タイトルにそう銘打った紙束を発見したのだ。
「これは、確かに情報だよね」
「ああ、そうだな」
 雫とニーアがその書類の中身をぱらぱらと見ると次のことが書かれていた。

 剣に付与する術式は、剣自体の強度を上げる術式をベースとし、
 所持者の使用する魔力を糧とし、刀身自体にも魔法への抵抗を増やす術式を組み込む。
 同様にして、魔力を糧とし、最終的な威力をも増大させる術式を組む。
 加工には魔法の知識の無い鍛冶屋を選出し加工させる。
 そして透玉石をとりつけることで、結界内での魔力循環を行う。
 別紙参照だが、透玉石には所持者の傷を半永久的に癒す力と痛覚を遮断する術式を組み込んである。


「つまり……剣自体の攻撃力とかバカみたいに高くなってるってこと……?」
 雫はその図解入りの書類を見ながら呟いた。
「いや、でも他の玉石をどうにかすれば、循環が絶たれるんじゃ」
「そうかもしれないけれど、ううん、とりあえずこれを持っていこう。足止めに行ってる人達を長時間戦わせちゃダメだよ、これ」
 雫は少しだけ浮き足立っているような様子でそういった。
 それは雫たちがこの情報を見つけた時点で相当な時間が経過していることを考えれば、当然のことかもしれない。
 だからこそ、ニーアも落ち着けとは言えず、ただ一言、急ごうとそう言ってその場を後にしたのだった。