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再建、デスティニーランド!

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再建、デスティニーランド!

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 想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)はランド内に執事・メイド喫茶を作ることを、計画していた。
「ネオ秋葉原プロジェクトとの提携を、デスティニーランドに提案するわ。ねぇ、ユッチー」
「うん、お姉ちゃん。一つのレストランで執事とメイドが接客する、執事・メイド喫茶を開くんだよ。家族連れやカップルが来たら、執事とメイドがランダムで接客。男性のみのお客さんにはメイドが、女性のみの場合は執事が接客するんだ。普通の飲食店と違って接客できる人数は少なくなるけど、普段は遊園地へ来ないような、同性同士のお客さんも呼べるんじゃないかと思って」
「流石に遊園地では、実際のネオ秋葉原のように濃い空間は作れないけれど、家族連れに対応して『旦那様』『奥様』『おぼっちゃま』という呼び方や、お子様ランチも用意しておくの」
「飲食店をアトラクションの一つにする、って感じ」
 瑠兎子の言葉に夢悠が同意する。
「お店の仕事は、ネオ秋葉原のメイド喫茶に嵐を巻き起こした、このメイドトレーナーのワタシが、新入りのメイド・執事達にみっちりと教え込んで……」
「普通で良いから。むしろお姉ちゃんは抑えて……」
 そして、準備を重ねこの日に合わせてランド内の喫茶をオープンさせたのだ。
 カラミティコースター運行開始時間までは雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)が手伝ってくれることになっていた。
「ようこそ、奥様、お嬢様。お荷物をお持ちしましょう。さ、こちらへ」
 テーマパーク内にある喫茶を「自宅」として扱う設定には無理があったため、この執事・メイド喫茶では、余暇を利用して別宅にやってきた旦那様たちをお迎えする、という設定になっていた。
「新入り達は、雅羅ちゃんの仕事ぶりをよぉ〜く見て勉強するように!」
「お姉ちゃんも雅羅さんを見習って、立派なメイドトレーナーになってね」
「ユッチーは執事として働く!」
「は、はい」
 二人のやりとりに、喫茶のキャストたちからも思わず笑みがこぼれる。
 普段はコンセプト喫茶に行かないような客層も、こういう場だからこそと楽しんでくれているのが伝わってきた。
 短い時間ではあったが、雅羅も楽しそうに接客をしていた。
「ごめんなさい、そろそろコースターにいかないと」
「残念だけど仕方ないわ。ありがとう! 雅羅ちゃんに手伝ってもらって助かったわ」
「雅羅さん、お疲れ様です」
 夢悠と瑠兎子に見送られ、雅羅は慌しく次の持ち場に向かうのだった。

 遠野 歌菜(とおの・かな)月崎 羽純(つきざき・はすみ)はランド集客の手伝いという名目でランドを訪れていた。
「デスティニーランドがピンチって聞いたら、黙ってはいられないもん! 集客のお手伝いのために、お客さんになって楽しもうね」
「絶対、歌菜自身が楽しみたいだけだろ」
「ち、違うよ〜ちゃんと協力したいからだもん」
「まぁ、いいけどな。で、どうするんだ?」
 ランド内のマップを見ながら二人で回るアトラクションを検討する。
「メリーゴーランド行こう!」
「絶対却下」
 羽純は凄まじい勢いで却下する。
「……羽純くん、そんなに嫌がることないじゃない〜。うーじゃあ、コーヒーカップ!」
「コーヒーカップも却下だ」
「ええっ? これも目が回るから嫌なの? むー我儘なんだから……」
「ちなみに、ジェットコースターも却下。何が楽しいか分からない」
「ジェットコースターも嫌なの? うーこれじゃ、乗るものないじゃない!」
 遊園地デートとして王道のアトラクションを全否定され、歌菜は若干途方にくれる。
「お化け屋敷って、面白そうじゃないか。よし、行くぞ」
「え? お化け屋敷に入るの? え? え ?え? べ、別に怖くないけどッ」
 必死に強がりながら、早速お化け屋敷に向かう。
 乗り物に乗って屋敷の中を進んでいくアトラクションだった。
 乗り物が動き始めると、あれだけ元気だった歌菜が大人しくなり、恐る恐るといった様子で周囲を窺う。
 ガタンッ!!
 大きな音を立てて、上から赤く染まった包帯で全身を覆ったゾンビが落ちてきた。
「きゃあああああああああああああああああ!!」
 歌菜は思わず叫び声を上げ、隣に座っていた羽純にしがみつく。
 その後も仕掛けが飛び出すたびに叫び続け、出口に到着する頃には歌菜は恥ずかしさと疲れでぐったりしてしまっていた。
「歌菜、少しここに座ってろ」
 出口を出てすぐのところにあるベンチに一人残すと、羽純はどこかへと行ってしまう。
 一人になると先ほどの自分の絶叫を思い出し、ますます落ち込んでしまうのだった。
「ほら」
 ふと気がつくと羽純がソフトクリームを持って目の前に立っていた。
「あ、ありがとう!」
 ソフトクリームを受け取ると、歌菜は羽純の気遣いに元気を取り戻し、嬉しそうに笑うのだった。