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飲みすぎにはご用心!?

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飲みすぎにはご用心!?

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「見つけたぜッ!」

 ところ変わって境内。
 アリエティを追いかけていた武尊と又吉は、人が避難して見通しのよくなった境内でようやくアリエティの姿を捉えた。
 背の小さいアリエティは人混みに飲まれて中々前に進めなかったが、ようやく逃げ道が出来たとつぶやいて走り始める。

「待てぇーッ!」

 武尊と又吉はそう叫んでアリエティに迫る。そんなふたりに気づいたアリエティは目を丸くした。

「なぬ、追っ手じゃと!? ええーい、待てと言われて誰が待つものかぁ!!」
「――逃がすかよ!」

 武尊はゴッドスピードで加速して一気にアリエティとの距離を縮める。

「おっ、おのれッ!」

 アリエティが顔を歪めて前を向く。すると目の前に再び人が現れた。
 それは遅れて空京神社へと到着したレンとノアだった。
 到着するなり逃げるアリエティとそんな彼女を追いかける武尊と又吉を目撃したレンは眉をひそめる。

「なんだ?」
「ソイツが今回の事件の犯人だ! 止めろ!!」

 武尊がレンに向かって叫ぶ。
 その言葉を聞いたレンの動きは素早かった。
 アリエティの行動を予測して逃げ道を塞ぐ。

「――ッゥ!?」

 逃げる場所を失ったアリエティは思わず足を止めた。
 そこへ武尊が追いつく。
 武尊は腕を伸ばしてアリエティの首根っこを掴まえると、金剛力を発揮してまるで犬か猫のようにつまみ上げた。

「ようやく掴まえたぜ!」

 そういうと武尊は凄い形相でアリエティを睨みつける。

「ったく、舐めんじゃねーぞ。この野郎!」

 又吉もアリエティを睨みつけて凄んだ。

「おのれっ、離せぇっ!! 離さんかぁッ!!」

 ジタバタと暴れるアリエティ。

「離すか、離さないかはこれからの話し合い次第だ」

 武尊はそういってニッと笑う。
 そして自分たちがアリエティのしていたことを見ていたと告げ、もっくんたちに何をしたのかを聞いた。

「うぬぬっ、ワタシは別に何も悪いことはしておらん……」
「あん? それじゃあなんで逃げたんだよ!?」
「まあ、待て」

 レンが武尊を制す。
 そしてレンは自分の名前を名乗り、アリエティの名を聞いた。

「ではアリエティ。聞くが、おまえは悪いことはしていないんだな?」
「そうじゃ! ワタシは悪くない!!」
「そうか、ならばなぜ堂々としていない? 逃げたということは悪いと思う気持ちがあるからじゃないのか?」
「うぬぬっ……」

 アリエティは眉根を寄せる。
 そんな彼女にノアがいった。

「アリエティさん。悪いことをしたら素直に謝ろう? きっとそうすればみんなも許してくれるよ?」

 その言葉を聞いてアリエティは目に涙を浮かべる。

「うぐっ……ワタシは悪いことをしようとしたのではないのだ。奴が卑屈な心を持っておったから、もっと優しい心にしてやろうと思ってやったのじゃ、でもぉでもぉ――」
「あーっ、新年早々辛気癖ぇ!」

 武尊がそういって、捕まえていたアリエティを地面に下ろした。
 そしてアリエティの頭を帽子の上から乱暴に叩く。

「いいか、ちっこいの! 理由があるなら逃げたりすんな。ちゃんと面と向かってみんなに謝りゃいいんだよ」

 レンが武尊の言葉にうなずいた。

「その通りだ、アリエティ。失敗や間違いがあることは誰もが知っている。それに今回のことがおまえの好意から起きたことならば、それを許せない俺たちではない。だから逃げるな戦え」

 ふたりの言葉を聞いたアリエティは顔を上げ、瞳に浮かんだ涙を拭いた。
 そして唇をきつく結び合わせると勢いよく頭を下げた。


「……ごめんなさい!」