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飲みすぎにはご用心!?

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飲みすぎにはご用心!?

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「まったく騒がしいわねぇ」

 そんな4人とは別の場所から暴れる2匹の巨大熊を見ていたエルサーラは眉をひそめる。
 騒ぎが起きてペシェとはぐれてしまったのでこうして探しているのだが、まだペシェは見つかっていなかった。

「こっちにはいないな」

 エースがそういってエルサーラの元に戻ってきた。

「僕の方も見つけられませんでした」

 逃げる人たちの間から現れたエオリアはそういって肩を落とした。
 ふたりの話を聞いたエルサーラはため息をつく。

「まったく、ペシェったらどこに行ったのかしら……」

 その頃、3人が探しているペシェはというと――。

「甘いにおいがするぅ」

 そんなことをつぶやきながらフラフラと甘酒コーナーへとやってきていた。
 ペシェはヒクヒクと鼻を動かして甘い匂いがこの場所から漂っていることを確信すると、小さい体を一生懸命動かして甘酒の置かれた台の上へとよじ登る。

「うわーっ!」

 台の上にたどり着いたペシェは思わず歓声をあげた。
 目の前には甘い匂いを漂わせる甘酒がたくさん置かれている。目移りしながらも、ペシェはその中で一番大きな器に入った甘酒を選んで手にとった。

「えへへっ、これを飲んでほこほこになったらまたエルたちを探そう」

 そういってペシェは甘酒に口をつけた。

「あれ、甘いけどなんか変な味もするー」

 と、ペシェの体に異変が起こる。

「んっ、あれ? うひゃ、あははははははは」

 ペシェは笑い声を上げながらどんどんと大きくなっていく。
 そう、ペシェが飲んだのはアリエティが置いていった魔法の甘酒だったのだ。
 巨大ゆる族となってしまったペシェ。
 ぐるぐると回る視界の中で腕を組んで踊っているもっくんとイオマンテの姿が目に入った。

「熊っぽいのが踊ってるー。もふもふしたい……もふもふー♪」

 あはははは、と笑いながらペシェはふたりの元へとゴロゴロ転がって突撃。
 ふたりに飛びついてもふもふを開始した。

「ペシェ!?」

 そんな光景を目撃したエルサーラは声をあげた。

「あのもふもふ……そのようだね」

 エースはそういって苦笑いを浮かべる。

「あの子、酔っ払ってるわね……もう、まったく!」

 エルサーラはそういうとエースが持っていたバゲットを奪い取って駆け出した。

「あっ、待って!?」

 エースはそう叫んでエルサーラの後を追う。
 神社の近くに併設されている小型飛空挺置き場。
 エルサーラはそこにやってくると置かれていた小型飛空艇に飛び乗って、エンジンをかけた。
 それを見たエースも荷物を捨てて小型飛空艇へと飛び乗る。後に続いていたエオリアもそれに続く。
 一番先に空へと舞い上がったエルサーラは一直線にもふもふしているペシェに近づいていく。

「しっかりしなさいよ、ペシェ!」

 そしてエースから奪い取ったバケットを振り上げてペシェの頭をスパーンと叩くつもりのエルサーラだったが……。

「いてぇっ!?」

 もふもふ動くペシェにひらりとかわされて、もっくんの頭を思いっきり叩いてしまった。

「あ……あらあら、間違えた気がするわ」
「あはははははは」

 頭を押さえるもっくんを指さして笑うペシェ。
 もっくんは空に浮かぶエルサーラをギロリと睨む。

「なにすんじゃぁっ!」

 ハエでも払うように手を大きく振るもっくん。
 と、そんなもっくんに向かって天上からいかずちが降り注ぐ。


「まあたあこおれえかあぁぁあぁぁぁぁッッ!?」


 体中にバチバチと紫電が走り、白目を向いて再び倒れるもっくん。
 イオマンテは「きょ、兄弟ー!」と叫んでもっくんを心配し、ペシェは笑いながらゴロゴロと地面を転げまわる。

「お嬢様のエスコートは男性の務めだからね」

 エルサーラを後ろからそっけなくサポートしていたエースがニコリと微笑む。
 先ほどの天からのいかずちは彼の仕業だったようだ。