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【じゃじゃ馬代王】飛空艇の墓場掃除!?

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【じゃじゃ馬代王】飛空艇の墓場掃除!?

リアクション


終 章 アンバー・コフィンの伝説


 そこは、深い、深い、海の底だった。
 気流コントロールセンター跡は、光の届かない深海に沈んでいた。

 機晶石のある部屋は、黒い合金で造られており、エネルギーは常に全体へ送られている。
 だが、残り僅かとなったエネルギーでは、制御しきれない場所が出来てしまう。
 パタン……、パタン……。
 遮断機(ブレーカー)は、末端の無駄な場所への供給を遮断していく。

 しかしそれは、もう機晶石のある部屋に迫ってきていた。
 予備回路に残されたエネルギーが、尽きかけているのだ。

『天候……OK 安全……OK 本日モ良好……』

 カチャ、カチャ、カチャ、カチャ……。
 それでも機械は、規則的にその役目を果たそうと動き続ける。
 シャンバラ古王国時代、飛行艇や飛行船を安全に往来させるために造られた要塞。
 五千年と言う長い月日、一日も休まずに動き続けてきた。

『ワタシハ、タシガンヲ守ル、気流コントロールセンター……』

 いつも見守ってきた、無数の飛行艇や飛行船。
 彼らはコントロールセンターに辿り着くと、旅の無事を感謝し、また空へ旅立っていった。
 コンピューターに言葉の意味はわからなかったが、彼らは笑顔だった。
 感情のない機械だが、センターはその表情が好きだった。

『天候……OK 安全……OK 本日モ良好……』

 だが、いつしか、その笑顔は怨嗟の声と変わった。
 理由は今でもわからない。
 ワタシハ、プログラム通リニ、動イタダケナノニ……。
 安全に往来させようと、コントロールすればするほど、飛空艇は事故を起こしてしまう。

 悲しかった。
 問題はないはずなのに、エラーが発生する。

『バグダ』

 ワタシニハ バグヲ 直ス事ハ 出来ナイ
 ダカラ ワタシハ 噂話ヲ 作ッタ バラマイタ



『アンバー コフィン……ノ 伝説 ヲ 』



『ヨウヤク……来テクレタ…… 』



『止メテ……クレタ…… 』



『テン……コ……ウ……OK ア……ン……ゼ……ン……OK 』



『ホン……ジツ……モ……リョウ……コウ………… 』





『ワ……タシハ……………… 』





 プツン…………。
 全ての電源が落ちて、静寂だけが残ると、暗闇の中で力を失った機晶石は最後に一度輝いた。





 彼は、最後のミッションを無事やり遂げたのだ。







担当マスターより

▼担当マスター

サナンダ アナンダ

▼マスターコメント

 サナンダ アナンダこと、サナアナです。
 まずは締め切りに遅れました事を、深くお詫び致します。すいません。
 本業をやりながらのマスター作業に、限界を感じた(時間的に)リアクションとなりました。
 それでも、今回のシナリオに参加してくださった方々、本当に有難うございました。

 本シナリオは、五千年と言う長い月日を動き続けるコンピュータが題材でした。
 空の安全の為に産み出されたコントロールセンターは、暴走後に使命を果たせなくなってしまう。
 人間に造られ、バグを修正できなくなった機械。
 無尽蔵に造られるエネルギーは、死ぬ事も許さない。

 だから、止める方法を考えた。
 ミッション後の彼は、笑っていたのか、泣いていたのかはわかりません。
 サナアナ的には、してやったりと舌を出してくれていた方が、ヒネくれていて好きなのですが。
 エンディングの取り方は、人それぞれです。

 あと気になるのは、琥珀の眠り姫は本物だったと言う事でしょうか。
 今回のシナリオだけではわからないでしょう。
 ぼやかしてありますから。
 物語の結末は、曖昧な方がよい。

 その方が想像しやすいからと、よく使われる技法です。
 参加した皆様に『ゴラー!』と怒られるかもしれませんが、今回はそれを選びました。
 だって、何千年も昔に作られた伝説なんですから。

 最後となりましたが、サナアナが今回の気に入った必殺技は【またたビーム!】です。
 やってしまいました。……すまぬ。

 参加者の他に、最後まで読んでいただいた方おりましたら感謝致します。
 それでは、また次の機会がありましたら、宜しくお願い致します。