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リアクション
第10章 林間合宿・After Story2
「チーズがカリカリしてて香ばしいわ」
「ベーコンとたまねぎと…、このパスタみたいなんでしょう?」
「シュペッツレだね、薄力粉と卵で簡単に作れるよ」
料理研究がてら料理を味わっている美羽とベアトリーチェに涼介が言う。
「こんな時間だから、すぐ食べられるものがよいと思ってね」
「どれくらいかかるの?」
「1時間かからない程度だな。それだあれば、10品くらいは作れるよ」
「凄いですね…。私ももっと研究しませんと…。このソーセージの料理はなんですか?」
「カレーヴルストだな。これもそれほど時間はかからない」
「どれもとても美味しいです。…涼介さんは、もう夕食は食べたんですか?」
「これから被害者の傷を手当しにいかなきゃいけないからね、また後でかな」
涼介はそう言い、ミリィとレストランを出た。
「セイニィ…、食欲ないね?」
「え…うん」
「どこか具合悪いの?」
「別にそういうわけじゃないけど…」
「んー…?」
「美羽さんっ」
ベアトリーチェは美羽の肩をつっつき、“女の子的な悩み事があるんですよ”と教えた。
それで食事がすすまないってわけね…と頷いた。
ひそひそ声で会話していると、牙竜がセイニィの傍にやってきた。
「あのさ、セイニィ…」
「またあなた?」
「俺が森で言ったことも、覚えていないのか?」
「ぜーんぜん」
その言葉に牙竜はがっくり肩を落とした。
呪いに深く支配されていたせいで、記憶がないようだ。
「これ…セイニィが好きそうかと思ってさ」
熊のキャンドルをセイニィに渡す。
「可愛い…、ありがとう」
「あ、あぁ…。で…、まだ答えを聞いてないんだが」
「答えって。うーん…」
セイニィはキャンドルを見つめながら、どう答えようか考える。
「あたしのこと助けてくれたのよね?」
「どうしても答えを聞きたくってな。……いや、そうじゃなくっても来たけどな…」
「い、一応…礼は言っておくわ。けど…、簡単に返事なんかあげないんだからね!」
「そ、そりゃないって!」
「この熊、返さないわよ。もうあたしのよっ」
「もうあげたものだしな、セイニィのすきにしていい」
「……これからもあたしのこと、助けにきてくれるの?」
牙竜の残念そうな表情に少し黙り、どこでも来てくれるのかと問う。
「当たり前だろ!」
「じゃ、じゃあ…来なかったら許さないから!分かった!?…あたしは簡単に答えはやらないわよ、それでもいいのね?」
「俺は答えをくれるまで待っている…、セイニィ…」
気まぐれな彼女の瞳から視線を外さず、青色の瞳をずっと見つめた。
涼介とミリィは被害者宅を訪ねて回り治療を施す。
「こんばんは、治療に参りました」
ミリィが戸をノックすると、住人が扉を開けた。
部屋に招かれると男の若い妻が、椅子に腰かけている。
涼介はミリィにエタノールで消毒するように言う。
「少ししみますけど、我慢してくださいね?」
「こんな夜遅くにありがとうね」
「いいえ。これも医科学を学ぶ者にとっては、当たり前のことです」
「何日か経てば、きれいに治るよ」
ルシュドの薬箱を開けた涼介は、ガーゼに軟膏をつけて傷に当て、包帯を丁寧に巻いた。
民家を出るとセレアナたちの姿を見つける。
「おや、夕食は?」
「もう済ませたわ。川辺でろくに治療出来なかったから、傷が治りにくそうなところをたずねて、完全回復で治しにいってたのよ」
「ご苦労様」
「アフターケアも大事だものね?」
「セレアナ、お風呂いかない?」
「そうね、水柱をよけても泥を被ってしまったし…」
彼女は恋人と風呂に入りに行った。
ラルクたちの方も、宿や民家を訪ねて治療を行っていた。
「結局、あいつらは反省しないままだったからな。あそこで応急処置も出来なかったな」
「このままっていうわけにもいかねぇ感じがしますがね」
観光客の宿で治療しながら、どうしたらいいものか悩む。
「足に傷があるが、骨には異常なさそうだな。痛いところがあったら言ってくれよ」
子供の足に触れ、折れていないか確かめる。
「うん…大丈夫」
「消毒しておくか…、ちょっとしみるぞ」
「イタッ」
「男だろ、これくらい我慢しないとな。…よし、包帯は朝にでも母ちゃんに変えてもらえ」
「ありがとう、おじちゃん。ねぇ、おじちゃんはお医者さんなの?」
「いや、その方向に進むっていうだけだな」
「へぇ〜、凄いなんだね!ボクもおじちゃんみたいになれるかな…」
「あぁ。相当な努力が必要だけどな、頑張れよ」
ラルクは少年の頭をぐしぐし撫でて、気合を入れてやる。
「ここで最後か…。ガイ、風呂でも入るか?」
「そうしましょう、このスーツも汗まみれですからな」
宿を出たラルクとガイは風呂に入ろうと、コテージへ向かった。
「ワタシたちもアフターケアをしないとね♪」
「ほんと、楽しそうよね」
早くケルピーに料理を食べてもらおうとウキウキしている弥十郎に嘆息した。
「いらっしゃいましたね」
「あ、綾瀬さん」
「説得出来るか、どうしても気になってしまいまして…」
「うん、じゃあ行こうか」
約束どおり料理を作った弥十郎たちは、ケルピーを探してジャタの森を歩く。
「馬と魚…うん、間違いないね」
斉民はエアロソウルの効力で魔性の姿を見る。
「来タッ」
「そこにいるんだね?ブラッドソーセージを作ったんだけど、食べてみて」
パックの蓋を開けて地面に並べる。
「これお肉?美味しいネ」
「レシピはレストランの人に渡しておいたよ。大量にもってくるのは難しいと思うけど、これで…人を襲うのやめてもらえないかな?」
「うン」
「人と共存してくれる…ということですか?」
「ううん。それはしないほうがいイ。食べたくなっちゃうかもしれないかラ…」
襲うのはやめるが人と共存するのは無理…、とケルピーをかぶりを振った。
「じゃあ…ネ」
「―…行っちゃったわ」
「悲しいですね。こんなに…、近くに住んでいるというに。分かり合えないなんて…」
「食欲を抑えられなくなったらいやだから、あまり近づかないようにするってことだよね。食に関しては、ほんとに難しい問題があるからね」
ケルピーのことを考えると衝動を抑えられなくなって、また襲ってしまうほうも悲しい。
結局、住み分けるしかないようだ。
「弥十郎、もしかしてまた…」
「ん?」
「あ、作るのね」
「呼ばれている気がしてね」
厨房がワタシを招いている…とふらりとレストランへ戻った。
そこには涼介とミリィ、歌菜の姿もあった。
「あれ、歌菜さんまでどうしたの?」
「深夜だからちょっと迷ったんですけど、デザートを作ろうかと」
「バイオレットの薄力粉を使ってるんだね」
「簡単に作れる、アイアークーヘンですよ♪」
「ココアもいれるんですね?」
どうやって作っているのか見ようとミリィが観察する。
「そうよ。それと…お塩とかの他に、ウィスキーもちょこっとね。で、フライパンに生地と流して…まーるく焼くの」
「なんだかクレープみたいですね」
「それと同じような感じよ。出来上がり♪後はくるみやナッツ、ストロベリーをはじっこに置いて、くるくる縦巻きにするの」
出来立てのアイアークーヘンを、銀の大きなトレイに並べる。
「羽純くん、運んで♪」
「食べてもいいか?」
「まだ私も食べてないのに、つまみ食いする気?我慢してね」
おあずけよ、と言いデザート作りに戻った。
「お父様は和食を作っているのですか?」
「洋食のほうはもう揃えたからね。和のほうを好む人もいるだろうし」
「さすがお父様…、拘っていますわ」
ミリィが鍋を見るとダシの素を使わず、一からダシをとっている。
「もういいかな。ダシで使ったものは、佃煮にでもしようか」
鍋から昆布とにぼしを取り出すと、昆布のほうは細かく刻む。
フライパンにダシで使ったものを入れ、ごまと酒を入れて軽く炒る。
調味料を加え、炒った佃煮とかつおぶしを混ぜ、皿に盛りつける。
「ワタシは炊き込みご飯でも作ろうかな♪」
野草と竹の子を刻み、炊飯器に入れた生米と混ぜ、炊飯のスイッチを入れた。
客テーブルのほうでは、樹たちが夕飯を食べている。
「どれも美味いな。明日に備えて、食べておかないとな」
「お袋ー肉喰わせてくれよ、ステーキウマソーダナー」
「肉抜きだ、肉抜き!豆腐や飛龍頭、野菜山盛りでも喰うておけ」
詠唱でミスした罰として、バカ息子には精進料理を勧める。
「それと、合宿だから禁酒だぞ」
彼には我慢させておいて、自分は黙々とチキンステーキを咀嚼する。
目の前でやれているそれは拷問に近い。
「親父ーーっ、ずるいっ。くれよぉおお」
「あげると樹ちゃんに怒られるから無理」
「くそ―…。 セイニィもそれ喰わせてくれよ、ハンバーグウマソーダナーチクショー」
「隣を邪魔するな、バカ息子」
ボコッと鉄拳で殴ってやる。
「カサハリと獅子座の乙女たちのことは見るな、食べ物を要求するな」
「ちくしょう、リア充爆…ぶべっ!?」
樹にアッパーをくらい、気絶させらえてしまう。
「章、残さず食べ終わったらバカ息子を部屋に連れいけ。私は女子ようのコテージに戻る」
「えー…」
大変なものを置いてかれてしまい、章はテーブルの上でダウンしている彼を、どうやって運ぼうか悩む。
「あわわ、どうしちゃったの!?」
「これには深い事情があってね…。ううん、聞かないほうがいい」
余計なことをクマラに喋って、樹にばれるとあとが怖い。
「じゃー、聞かないにゅん」
「て、眠くないのか?クマラ」
「林間合宿なんだよ!?寝るわけないじゃん、エース」
「いや、もう深夜1時くらいかと」
「やめてーっ、時間のこと言われると眠たくなっちゃう。…ぐぅぐぅ…」
クマラは眠りながら起用にデザートを食べる。
「すごい芸だね」
「褒められるものでもないって。なんかもう、部屋に戻りたいよ」
人様に見せてよい芸ではなく、目を閉じてロボットのように食べるクラマを眺める。
「なんと、眠りながら食べているのか?」
物珍しそうに草薙羽純がクマラを観察する。
「すごーい、面白いねオヤブン」
「人で面白がるな、コレット」
「それだけ、体が栄養を欲しているということかのぅ」
「起床時間が早いんじゃないのか?寝るぞ、羽純」
「そうじゃな。風呂にも入らねばならぬ」
草薙羽純と甚五郎は、それぞれの宿泊コテージへ向かった。
「リオン、和食持ってきたよ」
「涼介さんたちが作ってくれたんですよね?」
「もうこんな時間だからね。ダシをちゃんととってる…美味しい」
北都は豆腐とねぎの味噌汁を食べる。
「料理人だから妥協しないのでは?」
「うん、そうかも。この炊き込みご飯は、弥十郎さんが作ったのかな」
「食べただけで分かるんですか?」
「よく食べさせてもらってるからね」
「北都、北都。この縦巻きクレープみたいなのは、誰が作ったのでしょう?
「歌菜さんかも。さっきから姿が見えないし、羽純さんがトレイに並べたりしてたから」
料理を取りに行く時に見かけたらしくリオンに教える。
「よく観察してますね」
「そうかな…」
「そういえば、エリザベート先生はいますけど、もう1人の先生がいませんよ」
「コテージで用事を片付けているんですよぉ〜」
カリキュラムの雑務を1人でしている、とエリザベートが告げる。
「夜遅くまで大変ですね…。あ、先生。裁きの章は酸性の雨を降らせるものですが、川の水や敵の水攻撃で薄められ、効果が弱まることはありますか?」
「それで効果が弱まることはありませんし、拡散したりすることもないので、薄まることもありません。対象にあたらなければ消えますよぉ〜」
「なるほど、勉強になりますね」
「お隣いいですか?」
「どーぞ、歌菜さん」
「えっと…、校長先生だけですか?」
周りのテーブルをきょろきょろと見た歌菜は、エリザベートに視線を戻して言う。
「はい?」
「もう1人は…」
「雑務中ですぅ〜。何か聞きたいことがあるんですかぁ〜?」
「今回、私たちのアイデア術の連携で、良かったところや悪い点があったら聞きたいんですが…」
「そうですねぇ、もうちょっと他の人が入りやすい感じがよいのではぁ〜と思いますぅ〜。毎回、他の方が動いてくれるとは限らないですよぉ〜」
プランが決まりすぎてしまうと、他の人が同行するのも難しくなるし、合わせてもらうのも違うような…と悪い点を言う。
「ホーリーソウルなどの魔道具を使えないほど、深い呪いなどにかかることもありますしぃ。様々のパターンに合わせて行動しなくてはいけませんねぇ〜」
呪術にかかってから自分に対する術を解除するも無理な場合がある。
その場合、どうしてもクローリスの力が必要となるが今回、ついてきてくれなかったらどうなっていたか…ということも想定する必要があるのだ。
「頭から最後まで、行動を決めてしまうとぉ〜。逆に思うとおりに動きづらくなることもありますよぉ?それに最初から最後まで、全員同じ場所にいるわけじゃないですからぁ〜。それも考慮したほうがよいですぅ〜」
「はぅ…っ」
「歌菜さんたちだけで動いていたら、正直…誰か確実に、川に沈んじゃっていますぅ〜」
エリザベートの言葉に、歌菜はだんだんへこんできた。
「いざという場合を想定し、イフとオアで動くのがいいと思いますぅ〜」
「柔軟性が必要なんだな」
羽純は歌菜が作ったデザートを考えながら、実戦の状況を思い出す。
「そーなると術が使える状況を、維持出来るかも問題だったんやね。他の人との連携も、行動の範囲内に考えなきゃいけないんか」
「ボクたちが本体同様の分身が出来るわけじゃないからね。頭のプランを決めても、状況によっては〜ってのは?何人か、途中でポジション動いてるわけだし」
「陣たちが結果オーライならよいのじゃが。そうでないのなら、どうなのかのぅ…?というところじゃ」
「プラン立てるのって難しいんやね…」
「頭がプシュー…しちゃう系?プシューついでに、これボクがぼっしゅー」
リーズがさっと佃煮を横取りする。
「しゅーしかつながってないやろっ」
「だって陣くんのものは、ボクのものだよ?」
「ま…またこのパターンなんかっ」
“今度こそまともに飯やデザートが食えますように…”と、事件解決後に流れ星に祈っていたが、あっけなく祈りが砕かれた。
「ボクの祈りのほうが叶っちゃったんだよ。沢山ご飯食べまくろうっと♪」
恋人なんだからいいでしょ、という態度で陣の皿を荒らす。
「オ…オレの彼女って…」
「元気だしてくださイ」
「ステーキ美味しそうやね…」
「―……っ!これは私のですヨ」
同情はしてもご飯は渡せない、ディンスは両腕で皿を隠した。
「よろしければ、どうぞ」
昼も晩もろくに食べていない陣を哀れに思い、トゥーラはチキンステーキを切り分けて彼の皿に盛る。
「あ、ありがとうっ。いただき…あぁああっ!!?コラァア、リーズッ」
「おいしーい♪」
「またコントかのぅ」
「いつもこんな感じなんですカ?」
「うむ、一年中こうじゃな」
「なんだか楽しそうですネ」
「おーそうじゃ。腹が減っているなら、我が作った饅頭はどうじゃ?」
ジュディは膝に乗せていた箱をテーブルに乗せる。
「ここはレストランや。基本、持込禁止っ!つーかいらん」
「なぜじゃ?」
「饅頭はもう怖い…」
「濃い茶も怖いのかのぅ?」
「何か混ぜられてそうで、本気で拒否したい」
ろくな目に遭わない…ときっぱり断る。
「陣くん、はいあーん」
「どーぜリーズが食うんやろ」
「そんなことないよ、ほらあーん♪」
武士の情けで陣に食べさせてやる。
「うまっ」
「ルカルカさんのコテージの冷蔵庫から、拝借してきたよ」
「え、何それ。あとがめちゃくちゃ怖いんやけど」
「―…くくくっ、食べたわねぇ…」
少女は地の底から這い出てきたように恨みがましく言い、ヒタ…と陣の顔に触れる。
「ぎゃーーーーっ」
「かえして、ルカのプリンーーッ」
「そうそう。冷蔵庫の中に“このプリンは七枷陣がいただいた。返してほしかったら、胃袋の中に来いや”って書置きしてあげた」
「リーズ、ざけんなぁああっ。…わーーーっ、オレ齧っても美味くないって」
怒りを爆発させたルカルカに頭を噛まれ悲鳴を上げた。
「ずいぶん賑やかね?」
「こういう場所は苦手ですか?カメリアさん」
「いいえ、面白いわね」
今まで人と関わったことのない、カメリアにとっては全てが新鮮だ。
ロザリンドの血の情報で、ある程度は分かっているのだが、情報と実際に体験してみるのは違う感じがする。
「好きなものとかはありますか?」
「虫とか…そういうものは好まないわね。…この苦い水が、緑茶かしら」
「あ、はい。そうですね」
「もう少し薄いほうがいいかしら…」
「苦いものは苦手ですか?」
「そうね、得意ではないわ。でも、和食は好きなほうよ」
カメリアは味噌汁に口をつける。
箸も使い慣れた様子で、炊き込みご飯を口へ運ぶ。
「当然のように使えるのは、不思議なことではないのよ。ロザリンドの情報で、自然と覚えることもあるの」
「そうなんですね。そこまで出来るとは…少し驚きましたが」
情報を読み取るだけで、起用に使えるようになるのかと、ロザリンドは目を丸くした。
「私はちゃんと使えてるってことは、あなたが正しく使えてるってことだからね」
「ロザリンドさん、ここいい?」
「えぇ…、空いてますよ」
「おねーちゃん、こっちこっちー!」
「ノーン、そんなにはしゃいではいけませんわ」
時間を考えなさい、と叱るように言うが…。
「ルルディちゃん、シチューパイとか食べたことある?」
「血の情報で、ある程度は知っていますが、食べたことはありません」
「一緒に食べよう!」
「(まだ仕方のない時期かもしれませんわね…)」
ノーンの無邪気な姿を目にすると、本気で怒ることは出来ない。
「ビバーチェも、遠慮なく食べなさい」
「和食とは味わい深いものなのね」
佃煮をゆっくりと味わう。
「あら…、陽太からメールが着ていたみたいですわ」
「なんて書いてあるの?」
「今、見せますわ」
―合宿の実戦、どうなりましたか?―
あまりメールを送れなくってすみません。
実戦の事件は、解決出来ました?
あと、無理はしないように。
ちゃんと皆さんと協力出来ていますか。
エリシアがついているから、心配ないと思いますが…。
こちらの夕食は、妻の手作りピザとサラダでした。
そちらも、きちんと食事をとってくださいね。
では、またメールします。
陽太
「またお熱いメールですわね」
御神楽 陽太(みかぐら・ようた)のリア充メールに、エリシアは暖かい目で見守ってやろう…とメールを閉じた。
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