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ジヴォート君のお礼参り

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ジヴォート君のお礼参り

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★お化け屋敷であなたもリア充っ?・3★


「あっ涼司くん! あそこにいるのジヴォートくんじゃ」
「やっと見つけたぜ」
 さらにそこへ加夜涼司も追いつき、襲いかかる非リアを振り払う。
「リア充を攻撃するのは間違ってます。
 ジヴォートくんが生まれてきたのだって両親が愛し合ったから。きっとジヴォートくんにも大切な人が出来たら分かりますよ。
 リア充は世界を壊す物じゃなくて世界を愛でいっぱいにするものなんです」
「りあじゅう? 愛し合うって……恋人ってことなのか?」
 加夜の言葉に、ようやく非リアの意味を理解したジヴォート。しかしそうするとさらなる疑問が浮かんでくる。
「なんで恋人を襲うんだ……そんな必要どこにも」
 ジヴォートには嫉妬という感情が理解できなかったらしい。だが非リアたちがリア充たちに怒っているのはたしかなのは分かっていた。
 ジヴォートも、リア充というものが悪いものではないとすでに理解していて、そこで加夜の言葉で完全な意味も分かった。だとすれば彼が次に取る行動は
「なぁ、みんな! とりあえず落ち着いて話を」
「ジヴォートが俺たちを裏切ったぞ! 裏切り者には制裁を!」
 フードの男がそう叫んだ。非リアたちの目がジヴォートへ向けられる。怒りの目にジヴォートは驚き、戸惑う。悪意に慣れていないのだ。
 そんなジヴォートを守るためにすぐに加夜が幸せの歌で全員の心を和らげようとするが……。
 その隙に、と非リアたちの集団から抜け出る影が3つ。
 フードの男に仮面の男、マスクの男だ。
「逃がさないわよっと、ダリル!」
「ああ」
 ダリルが男たちの足元に銃弾を撃ち込み、ひるんだすきにルカが鞭で縛りつける。だが仮面の男がその攻撃をかいくぐり、出口へ……。

 ドッカーン!

 と、まさしく文字にするならばそんな音を立てて爆発した出口。もちろん仮面の男も巻き込まれ、黒こげに。髪の毛がアフロになっているのはお約束。しかしそれでも逃げようと
「ジヴォートの素直さにつけこむ奴が悪いのよ。ほら、何が目的か話してもらうわよ」
「1人だけ逃げるなんて、そんなズルは許さないよ」
「ぐぶぇ」
「観念することだな」
 ルカルカ、エース、ダリルに阻まれ、仮面の男は観念したのだった。
 その後、問い詰めたところ。金持ちなら何かあってももみ消すだろうと考えたのと、3人がイキモの商売敵であり、息子のジヴォートを使って嫌がらせをと思ったらしい。リア充を狙ったのはストレス発散目的もあったというのだから、呆れる話だ。
 利用されただけと知ったジヴォートはさぞかし落ち込んでいるだろう……と思われたが、それどころではなかった。

「いいですかっ? 今回は怪我人もほとんどなくすみましたけれど、次もこういくとは限らないんですよ」
 ベアトリーチェの声が響いていた。彼女の目の前には澪にジヴォート、吹雪らの姿がある。共通しているのは、全員正座させられているということか。
 つまり、お説教を受けていた。
「わかってもらえましたか、ジヴォートさん?」
「ああ……その、悪かった。でも」
 ジヴォートが顔を上げる。言われるだけでなく自分の目でしっかりと見て、思ったことを告げる。
「えっと非リア? っていうんだっけ。あいつらのことなんだけど、許してやってくれねぇかな? そのさ。たしかにやり方はあれだったけど悪い奴らじゃないと思うんだ」
 騙されたことについて、ジヴォートは怒っていないようだった。
「だからその、今回のことは不問にしてやってほしいんだ。頼む」
「ジヴォート」
 頭を下げる姿勢に、暴れていた非リアたちも何かを感じたのか大人しくなった。
「僕も反省してくれたらそれでいいから、怒ってないよ」
 コハクがまずそう微笑むと、美羽もしょうがないなと言った。
「セレスティアーナ・アッパー……これで許してあげる」
「お、おお」
 軽く本当に軽く触れるだけのアッパーに、ジヴォートの額に汗が浮かぶ。いつぞやの父親が吹っ飛んでいった光景を思い出したのだろう。
 他の面々も呆れつつではあったが、頷いてくれた。そもそも今回のことは一般的には「イベント」になっている。さすがに首謀者の3人は無罪放免というわけにはいかなかったものの、なんとか丸く収まった。

「みんなお疲れだったな。んで、実はイキモさんからパーティの招待状が来てる」
 涼司が全員を集めてそう言うと、ジヴォートが抜け出そうとしたがルカルカに捕まえられる。
「この屋敷の効能は『仲良くなれるもの』なの。お父さんと体験してみたらどう?」
「それはいいですね。きっとイキモさんも喜ばれますよ」
 加夜もその言葉に乗る。ジヴォートは、しばしあ〜だこ〜だと理由をつけていたが、落ちるのは時間の問題だろう。ダリルはそんな様子を眺め「関係の修復はよいものだ」と呟く。
「関係と言えば、結局2人でのクリアはしていないな。リリア、最後まで2人で巡っておこう」
「ええ、いいわよ(でも出口壊れてるけど、効果あるのかしら?)」
「何っ?(い、いや。ジンクスなど眉唾だ)」
 ダリルの誘いにリリアが嬉しげに、メシエが悔しげに反応する後ろでは、エースによる女性たちとの接し方講座が開かれていた。

 そんなこんなで、みんなでイキモの屋敷へと向かうことになったのだった。

 ちなみに破壊された出口は、首謀者の3人が弁償することなった。