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障害物リレー種目◇モンスター・ランナー

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障害物リレー種目◇モンスター・ランナー

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 蒼空チーム。
「涼司君、重くないんですか?」
 一緒に走っていた涼司の妻、山葉 加夜(やまは・かや)が思わず声をかけた。
「おう!」
「けど、流石に息が上がっているようですが?」
 先ほどまで走っていた涼司の足はすでに止まっていた。
「さすがに70キロは重かったか……?」
 涼司と加夜は後ろのモップスを見た。
「な、なんだな? リストウエイトなんてボク知らないんだな」
「リストウエイト?」
 加夜がモップスを睨み付けながら聞いた。
 思わず黙り込むモップス。
 が、すぐに加夜は前方の方へと振り返った。
「お、どうした?」
「無数の敵が近づいてきています」
 すさまじい轟音と共に何者かがすごい勢いで近づいてきているのが涼司にも分かった。
「あれは……」
 思わず涼司と加夜は黙り込んでしまった。

 一方イルミンチーム。
「俺が先に行って障害を取り除いてくる! それで少しは追いつけるはずだぜ!」
 森林が近づくなり後ろから湯浅 忍(ゆあさ・しのぶ)が声を張り上げながらアゾートの前へと出て、走る。
 涼司の姿は少し早く森林へとすでに入っていったようだった。
「よーし!」
 蒼空チームを追いかけて森の中へと忍とロビーナ・ディーレイ(ろびーな・でぃーれい)は入っていった。
「何か、すごい音がしないでござるか?」
 すぐにロビーナが、目の前の異変を察知した。
 たくさんの人影がこちらへと向かってくる。
「……おいおい、こっちはスタート方面だぜ?」
「うおおおおっ! ここまで居るなんて、聞いてねえぞ!?」
 大声をあげてこちらへと走っていたのは、涼司と加夜だった。
 その後ろには、50近くのイノシシが涼司のリンゴめがけて追いかけてきていた。
「むっ、涼司どの! あたい達が勝利した場合、あたいと結婚でござるのよ!」
「だめですよ!」
 涼司の隣から、加夜の声が猛反論し、ロビーナと言い合う。
「ふっ、あたいの方が色気で勝っているでござるね」
「なっ――」
「すっ、すみません! こいつ、ちょっとおかしいみたいで。いやマジですみません」
 忍が慌ててロビーナの口を押さえ、謝る。



「なにをやってるの?」
 気がつけば忍の後ろにはアゾートが到着していた。
「もう、追いつかれました!? しかたないです……本当は終わった後に涼司さんにあげるつもりでしたが」
 素早く加夜はポケットからリンゴを取り出すと、茂みへと投げ入れた。
 それに合わせてイノシシ達が一斉に茂みのリンゴへと気を取られる。

「涼司さん今の内に!」
「おう、すまねえな!」
 涼司と加夜はアゾート達をおいてイノシシの先へと走り去っていった。
「俺たちも今の内に!」
「無理みたいだよ」
 アゾートは忍の提案にぴしゃりと否定した。
 リンゴに気を取られていたはずのイノシシ達が再びアゾート達へと襲いかかる。
「やべっ!」
 忍は慌ててロビーナの襟首を掴む。
「な、何をするでござるか!?」
「いけえっ!」
 間髪をいれず、忍はロビーナをスライムへと投げ入れた。
 スライムは群れをなしてロビーナに襲いかかる。
「ぎゃ、ぎゃあああああっ!」
 無残な悲鳴が響いた。
「今です、通ってください!」
「えっ、あ、うんわかったよ」
 忍のかけ声にアゾートは慌てて走り出した。