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障害物リレー種目◇モンスター・ランナー

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障害物リレー種目◇モンスター・ランナー

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第2走者
蒼空チーム。

 イルミンチームより一足先に、涼司は海へとバトンであるリンゴを渡していた。
 そして、モップス・ベアも渡す。
 だが、すぐに海はモップスを地面に叩き下ろした。
「いたっ!? 何をするんだな!!」
「……重い!」
「どうしました?」
 暗い表情でモップスを見下ろす高円寺 海(こうえんじ・かい)に、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)が不思議そうに聞く。
「いや、異常に重いんだよこれ」
「たしか、モップスの体重は70キロくらいですね」
 と、阿部 勇(あべ・いさむ)がモップスを抱え上げようとする。
「……涼司校長、こんなのを引きずって走ってきたんですか」
 まったく持ち上がらなかった。
「モップスの足についてるの、リストウエイトじゃない?」
「ぎくっ」
 モップスが突然声をあげる。
「モップスさんに何か心当たりあるようですね」
「とにかくこれは壊しておくわよ」
 
 セレンフィリティの破壊工作によりリストウエイトは破壊された。
 海はすぐにモップスとリンゴを抱えて走り出した。

イルミンチーム。
 蒼空チームが出て約2分後。
 アゾートは無事、リンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)へとバトンであるリンゴを渡すことができた。
 すぐにネンネは蒼空チームを追いかける。
 走り出す派快調だったリンネだったが、足取りはすぐに重くなった。
「走りづらいよ〜」
 思わずつぶやく。リンネの周りはすでに砂地帯だった。
 だが、足場が悪いのは蒼空チームも同じ。
「それに、モップスも背負ってるんだから、まだ勝機はあるよね!」
 走りづらい足場をかろうじて走っていく。
 すぐにモップスを背負っている海の姿が見えた。

「あ、リンネなんだな」
「げ」
 背負われたモップスが不意に喋った。
 海は思わず振り向いた。
 が、視線に入ったのはリンネではなく、それよりも巨大な物だった。
「ゴーレム!」
 気がつけば至る所でゴーレムがうごめいていた。
 砂嵐が吹き荒れる。
「うわっ、ま、前が見えない!」
「前が見えないよ〜」
 リンネの足も思わず止まってしまう。
「ゴゴゴゴッ」
 リンネの背筋にひんやりとした物が伝っていくのを感じた。
 そのうなり声は、リンネの目の前一メートルという所から聞こえたからだ。
 砂によってぼやけた視界を目をこすりながら見る。
「で、でかいよ」
 30メートルはあるゴーレムが目の前で今、まさに襲いかかろうとしてきていた。
 リンネは覚悟を決めて目をつむろうとする。
「グオオオオオッ」
 突然ゴーレムは悲痛の音を揚げて崩れ落ちる。
「ふう、あぶなかった……大丈夫ですか、リンネさん?」
「博季くん!」
 遠くから、歴戦の魔術をゴーレムに当てて助けたのは、リンネの夫である博季・アシュリング(ひろき・あしゅりんぐ)だった。
 自分を守るようにたっている、博季を見てリンネはあわてて立ち上がった。
 周りには5体もの巨大ゴーレムが囲んでいた。
「うわ〜、こんなにいっぱい……逃げれるかなあ」
「僕が居るから大丈夫だ」
 博季は真剣なまなざしでゴーレムを睨み付けながら、剣を構えた。
「ゴゴゴゴ」
 博季達が来ると思ったそのとき、今度はゴーレムが数体凍りづけになった。
「助けに来たよ〜、ってお邪魔だったかな」
 ブレスオブアイシクルで助けてくれたのはカッチン 和子だった。
 カッチンはリンネと博季を見比べながら茶化した。
「いえ、助かります」
 博季は、軽く会釈で感謝した。
「ゴ……」
 と同時に、凍ったはずのゴーレムが少しづつ快復し動き出そうとしていた。
「リンネさん、今の内に先に言ってください」
「え、でも博季くんが」
「大丈夫、私も手伝うよ!」
 博季の代わりに、カッチンが笑顔で答えた。
「あまり、無理しないでね?」
 リンネは不安そうな顔で博季とカッチンを見る。
「大丈夫です、もしもの時は逃げますから」
 そう答える博季の笑顔を見て、リンネは再び前へと走り始めた。