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【ぷりかる】蘇るシボラ英雄伝説

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【ぷりかる】蘇るシボラ英雄伝説

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 上空で行われる戦いは、激戦という言葉すら生ぬるいものだった。
 何しろ、相手は元々死んでいる上に倒せない。
 おまけに元は伝説の時代を生きた悪竜だ。
 放つ雷のブレスの衝撃を感じながら、近遠はE.L.A.E.N.A.I.を操る。
 伝説によれば、あの雷のブレスは幾多のシボラの村々を焼き払ったというが……それも納得のいく威力だった。

「今でこれなら、生前はどれほどだったか……考えたくも無いな」
「倒せた分、生前のほうがマシだった、という考え方もございますわね」

 イグナの焦りをアルティアが、茶化すようにほぐす。
 それ程までに、フェイターンとは恐ろしい敵なのだ。

「村上空から逃がさず、村に被害を出さず……二人と連携して空中に釘付けにするんだ!」
「分かってる! ……ところでシリウス!」

 フェイターンの周囲をらせん状に旋回するようにシュヴェルト13を移動させながら、サビクは叫ぶ。

「シェヘラちゃんだかドニアちゃんだっけ? 後で紹介してよ?」
「あとでな……くるぞ!」

 放たれる雷のブレスをシュヴェルト13が回避すると、唯斗の魂剛から通信が入る。

「斬ったトコから絶対零度で細胞の活動そのものを停止させてみようか。再生でも何でも良いが、運動エネルギー自体を強制的にゼロにされても出来るとも思えんしな!」
「よっし、任せた! 隙は作るからやってくれ!」
「こちらからも射撃で援護しますわ」

 E.L.A.E.N.A.I.のアルティアからの通信も受け、魂剛は加速をつけて飛び込んでいく。

「周囲に人影もなし……いけるぞ!」
「援護射撃、開始しますわ!」

 イグナとユーリカの声を受け、近遠は適切な位置へとE.L.A.E.N.A.I.を素早く移動させる。
 E.L.A.E.N.A.I.のツインレーザーライフルが放たれると同時に、シュヴェルト13の全力の体当たりがフェイターンの注意をひきつける。

「いまだ……征け!」
「もらったぁ!」

 絶対零度の冷気を放つ氷剣がフェイターンの竜骨を切り裂く。

「どうだ……?」
「離れてくださいまし! もう再生してますわ!」
「いかん! 上昇だ!」

 アルティアからの通信を受け、エクスが叫ぶ。
 同時に感じた寒気に突き動かされ、唯斗は魂剛を急速上昇させる。

 その瞬間。
 先程まで魂剛があった空間を、フェイターンの凶悪な牙が噛み砕く。
 切り裂き氷結させた部分は、何事も無かったかのように再生している。
 傷一つない。
 ここまで戦ってつけた全ての傷は、次の瞬間には再生している。
 
「幻と戦ってるようですね……」
「実際にダメージがくる分、こっちの方がタチわりィけどな」

 近遠に、シリウスが苦笑混じりに答える。
 どれ程ダメージを与えても、再生してしまう。
 一撃で欠片も残さず消滅させられれば話は別なのかもしれないが、そんな装備はこの場には無い。
 水晶骨格の力により生み出されたアンデッドの力なのか、フェイターンそのものの持つ魔力ゆえか。
 どちらにせよ、こんなものをこの場から出すわけにはいかない。

「……悪いな、壊しちまうかもしれねえ」
「何を今更……」

 シリウスの言葉にサビクは溜息をつき。
 シュヴェルト13が、更なる高速機動の体勢に入る。

「まさに伝説の悪竜か……。ならば、伝説を斬る!」
「まあ、今更退路もあるまい」

 唯斗にエクスが答え、魂剛が武器を構え直す。

「ユーリカ、支援射撃を密に。全弾当てていきますよ」
 
 近遠の指示を受け、E.L.A.E.N.A.I.が高高度へと上昇していく。

 これは、あくまで足留めの為の……勝利条件がこの場には無い戦い。
 されど、決して負けられない戦い。
 仲間を信じて、三機のイコンは激闘へと身を投じていく。