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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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 戦闘終了後 迅竜 格納庫
 
 戦いを終え、迅竜の格納庫に着艦したパイロットたちは、ほっと一息つきながら言葉を交わしていた。
 気絶寸前にパイロットが何とか不時着を行った禽竜は、戦闘終了後に友軍機から抱えられて帰還していた。
 中でパイロットが気絶しているのか、パイロットが中から出てくる気配はない。
 禽竜が帰ってきたと聞いて急いで向かったイコナは、鉄心とティーがなかなかコクピットから出てこない為、よじ登ってこじ開けようとしたりしている。
 整備員と医療班が到着し、ひとまず引き下がったイコナだが、落ち着かずにうろうろうろと、馬鹿みたいにおろおろしている。
 そんな彼女を気遣ってか、貴仁の仲間であるアレックス・マッケンジー(あれっくす・まっけんじー)がアンパンを渡している。
 一方、自力で帰還したセラフィートの周辺ではパイロットたちが言葉を交わしていた。
 無事に戻ってきた煉とエヴァにエリス・クロフォード(えりす・くろふぉーど)は労いの言葉をかける。
「煉さんお疲れ様。今後のこともあるしまずは迅竜に合流しません?」
「そうだな……俺はそれでも良いと思うが、エヴァ、お前はどうする」
 急に問いかけられたものの、エヴァは迷わず即答する。
「あたしたちの行き先は、煉、お前に任せるぜ」
「そうか。なら俺達は迅竜に合流しよう」
 そんな会話していると、同じく着艦してきたフラフナグズの近くで話していた昌毅が話に入ってくる。
「お前等、迅竜に合流するみたいだな」
 問いかけられ、煉は頷く。
「ああ、そちらもか?」
 すると昌毅は首を振った。
「……迅龍って胡散臭くねぇか? 俺は乗るのパスで」
 昌毅が答えると、すぐ近くでフラフナグズの状態をチェックしていた整備担当の阿頼耶 那由他(あらや・なゆた)が後を継いで話し始める。
「各校エースを迅龍に乗せる話があるって聞いたのだよ。だが、断るのだよ」
「なんでまた? 各校のエースが集まれば百人力じゃねえか」
 エヴァが問うと、那由他は彼女に向き直る。
「一応、所属は九校連ってことになっているけど。実質、指揮をとるのはあのまゆ無し――金なのだよ。ただでさえ教導団は他の学校より戦力あるし、最近出所のよく分からない機体引っ張り出してきたし、どうも最近の教導団は信用に欠けるのだよ」
 そうしている間にもチェックを終えた、那由他はフラフナグズに向けて頷く。
「九校連のパワーバランス崩すことになるし、那由他達は侵略軍になるつもりはないのだよ。そもそも戦力集中させておいて二つの拠点同時に襲われたらどうするのだよ」
 そして、那由他は周囲をそれとなく見て確認すると、自分達だけに聞こえるように声を潜めて言った。
「それに今回上層部にはどうもよくない噂もあるみたいなのだよ。あくまで那由他達は独立路線で行くのだよ。慎重になるにこした事はないのだよ」