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【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城

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【ですわ!】パラミタ内海に浮かぶ霧の古城
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 紅い鎧を纏う魔法少女ルーネリアとなった想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)が、フロンティアソードで≪アンデットナイト≫を斬りつける。
「夢悠、お願い!」
 その横を駆け抜ける白猫のヌイグルミ姿の想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)
 夢悠は黒い魔法使い風のトンガリ帽子を片手で抑えながら、ローブをはためかせて魔法を唱える。
「走れ、閃光! バニッシュ!」
 辺り一面に眩い光が包みこみ、≪アンデットナイト≫が怯む。
 その隙に接近する騎沙良 詩穂(きさら・しほ)
「や・み・にぃぃぃ、帰れっ☆」
 群れをなす≪アンデットナイト≫達を、拳で殴り飛ばし、周囲を一掃した。
「よ〜し、次行ってみようかっ!」
 戦闘は問題なく進む、のだったが……
「夢悠、次はどっち?」
「こっち」
「同じく!」
「……さっきから同じ所回っている気がするわね」
 夢悠と詩穂が気配を感じ取った方向を見て、瑠兎子がため息を吐いた。
 彼らが指さした目の前の城壁には、迷わないように残した印が残されていた。
 順調に迷路を抜けて進んでいたのだが、つい先ほどから同じ所をグルグル回りはじめたようなのだ。
「この先のはずなんだけど、なかなか回り込めないわね……」
「だったら、ぶち抜くしかないな」
 瑠兎子が困っていると、桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)が提案をしてきた。
「エヴァっち、ポラリス、いけるか?」
「大丈夫だぜ」
「わたしもいけるよ」
 エヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)と魔法少女ポラリス(遠藤 寿子(えんどう・ひさこ))が力強く返事をする。
「じゃあ、行くぞ」
 三人は寿子を中心に城壁の前に立つ。
 大きく息を吸って、意識を集中させ、事前に決めた台詞を口にする。
「トライアングル――」
 煉とエヴァは己の魔力を限界まで高め、寿子の方を見た。
「フォース――」
 大気が魔力に影響されて、周囲へピリピリした感覚を伝える。
 三人はお互いを感じ取りながら、タイミングを合わせ――
「「「ブレイカー!!」」」
 一点に集中させた攻撃を城壁にぶつけた。
 強固な城壁が、猛烈な攻撃に塵へと化していく。
 あまりの衝撃にマスコット状態の夢悠は吹き飛ばされ、瑠兎子に救出されていた。
「ようやく先に進めるな」
 煉が開かれた道を進みだす。
 すると、そこは球場2つ分ほどの広さはある拓けた空間だった。
 一面城壁に囲まれた、乾いた茶色い土が敷き詰められた殺風景な空間。
 それ故に、待ちうける巨大な門番の存在は異様に思えた。
「やっと会えたな……」
 煉は息を飲み、立ち塞がる相手の姿を観察した。
 城壁と同等の巨体に、手には身長と同じくらいある巨大な斧。身体からは黒い煙が立ち込め、肉が腐敗したような匂いがする。
 ふいに、門番が目も口も鼻もない、のっぺらぼうな顔を煉の方へ向けた。
「避けろ!」
 門番が斧を振り上げたのを見て、煉が叫ぶ。
 咄嗟に左右に散った生徒達の間を、地面に叩きつけた斧から発せられる衝撃波が駆け抜け、背後の城壁をいとも簡単に粉砕した。
「当たったらたたじゃすまないぞ! エヴァっち、まずは動きを見極める。援護は頼んだ」
「おっけー、巻き込まれるなよ!」
「夢悠、私達も行くわよ」
「わかってる」
「ポミエラちゃん!」
「は、はいっ!」
 生徒達は固まらないようにしながら、門番の方へと駆け出した。
 相手の動きをみるために牽制を加えるが、門番は蚊でもついたかのように生徒達の攻撃を気にする様子がない。
 門番を倒さなければ、背後の扉は開かない。
 どうにか弱点を見つけなければならない。

 そんな時、城壁の一部が破壊され、続々と生徒達がかけつけてきた。