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新米冒険者のちょっと多忙な日々

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■幕間:あわてんぼうガールズ

「あ、あわ、あう……ど、どうしましょう!?」
 少女、川村 詩亜(かわむら・しあ)は一枚の用紙を手にして慌てた様子で周囲を見回す。視界に入るのは掲示板と、自分と同じように依頼を見に来た学生たち、そしてパートナーの川村 玲亜(かわむら・れあ)だ。
「……お姉ちゃん? どうしたの、そんなにあわてて……」
 玲亜が詩亜の様子を心配し話しかけてくる。
 しかし彼女はそれどころではない様子で「相談、相談しないと……」と呟いている。そして何かに思い至ったのか、ハッとして突然駆け出した。
「えっ、どこ行くの!? お姉ちゃん待って〜!」
 二人の少女が蒼空学園分校を後にする。
 彼女たちが向かった先はイルミンスール魔法学校だ。

                                   ■

「動物達を保護しよう、ねぇ……」
 玲亜たちの持ってきた一枚の依頼用紙を読み終えて、ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)がため息を吐いた。彼女の目の前、どうしようと悩み顔の川村姉妹をなだめながら考える。
(さて当の動物達はどう思っているのかしら?)
「ど、どうしようミリアさん……」
「そうね。まずは調べないことには始まらないわ。動物たちの話も聞いてみないと、ね」
「だよねぇ。私も同じこと考えてた。動物さんたちを攫うって言っても動物さんたちが嫌がってたらそれは間違ってることだもんね」
近くで話を聞いていた及川 翠(おいかわ・みどり)が言った。
 アリス・ウィリス(ありす・うぃりす)サリア・アンドレッティ(さりあ・あんどれってぃ)の二人も関心を示した様子でこちらを眺めている。
「えっ、動物さんを保護するって名目で攫いに行くの!? ……それって良いの? それとも悪いの?」
 アリスの疑問にミリアが応えた。
「それを調べに行くのよ」
「――私の出番かな?」
 サリアがとことこと近寄ってきた。
 動物から話を聞くことが重要になりそうな現状、メンバー内で彼らと話せるのはミリア、アリス、サリアの三人だ。
「動物たちから話を聞いている間、翠と詩亜さんたちはどうする?」
「運営状況とか飼育状況とかそのあたり調べるの」
 むん、と手にしたハンマーを掲げた。
 やる気をアピールしているようだ。
「……んう?」
 ただ一人、玲亜だけが話の流れを理解できていない様子であった。