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―アリスインゲート1―後編

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―アリスインゲート1―後編

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――アンダーグラウンド

 そこでは、夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)がまだ調査を続けていた。
 草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)と賭場で荒稼ぎをしたのち、このアンダーグラウンドにある次元の裂け目を見に来ていた。
 立入禁止のテープが貼られた奥にそれは有った。
 まるで石油の溜まった黒い池だった。ドロリと粘性のあるような流体が蠢いている。その色彩は異次元移動間の車窓の景色と酷似していた。
「これが、そうか。なるほど如何にもという感じだ」
 勘五郎の言葉に羽純が頷く。
「ここからパラミタに帰れればいいのじゃが……」
「そうだな。これが向こうと繋がっていれば……おい!?」
 勘五郎が間一髪の所でホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)の首根っこを掴む。この不気味な泉に腕を突っ込もうとしていたからだ。
「なにするんですか〜せっかくワタシが確かめようとしてたのに」
「身を持ってか? 突っ込んだ腕がなくなっていたかもな」
 スワファル・ラーメ(すわふぁる・らーめ)が怖いことを言う。興味本位で手を入れようとしたホリイもさすがに反省した。
「だが、ここが何処かにつながっているのは確かだ。これを見ろ」
 勘五郎が亀裂の縁を指す。赤褐色の引きずった後が外へと伸びていた。
「血の跡? 大分時間が経っているようじゃ」
 羽純はそれが大量の出血を伴ったものの跡だと見る。
 賭場で聞いた、亀裂から出てきた人間の話を思い出す。それは本当なようだ。なら、ここから出てきた誰かはやはり、人買いをしている会社へと運ばれたのだろう。
 スワファルが呟く。
「アリサ殿が拉致られたとも聞く。ESCとかいう企業に何かあるかもしれん」