波羅蜜多実業高等学校

リアクション

【エピローグ〜これで終わりだといつから錯覚していた？〜】

　イルミンスール魔法学園にて。
　目玉を取り戻したアッシュは、一度イルミンスールへと戻って来ていた。

「それで、俺様のパーツはどうなったんだ？」
　
　そこには偽物の被害を食い止めて来たメンバーが集まっていた。何人か被害に遭った者もいた様であるが、今はもう回復しているようである。
　
「ああ、アッシュ。どうやら他のパーツも無事倒せたみたいだよ」
「そうか。ならよかった……」

　言葉を打ち切ったアッシュは、何処かの部屋に入ったのかしばらく戻って来なかった。
　突然のアッシュの行動となかなか帰って来ないアッシュに痺れを切らした数人が、アッシュを探しに出かけようとした直後だった。
　ひょっこりと姿を現したアッシュはいつもの格好だった。
　それを見たメンバーは、それぞれ拍手をしてアッシュの身体が無事に戻った事を祝う。

「ありがとう。皆のおかげで俺様の身体が元に戻ったよ」

　そう言うと、アッシュは頭を深々と下げた。

「ところで、キマクに居たから喉が渇いて仕方ないんだ。誰か水をくれないか？」

　水が入った紙コップを渡されてアッシュは一口水を含んだ時だった。

「……うっ！　がはぁッ！　げほっ！」

　水を飲んだアッシュが咽る。慌てて飲んだ為か、と皆苦笑するが、違う事に直ぐ気付く。

「な……なんだこりゃ……灰……！？」

　アッシュが水と一緒に灰を吐きだしたのだ。更に咳き込む度に、灰が口から吐き出される。それは口の中に入った、というような微量ではない。まるで、体内に詰まっているかのような量である。

「ふむ……魔力など感じられないのだ。呪いの類かと思ったが、どうやら普通の灰のようなのだ」

　リリ・スノーウォーカー（りり・すのーうぉーかー）が灰をまじまじと眺めて呟く。
　だが気味が悪いのか、吐いた灰を避けるように皆が引いた時だった。床に、一枚の紙が落ちている事にアッシュが気付く。
　それは、見覚えのある紙であった。

「ん？　これはメモ……？　ま、まさか……！」

　慌ててアッシュが拾い上げる。そこに書かれていたのは――

『みんなおつかれー。頑張った結果、とりあえずは身体返すねー。次回、色々決まったらまた連絡するからそれまでお楽しみにー』

「ま、まだ終わってないのかよ……」

　文面を読み、燃え尽きた様にアッシュが固まる。それを後ろから覗き込んだアゾートが小さく「あちゃー」と漏らす。
　一体何事かと皆が集まる中、固まるアッシュの代わりにアゾートが説明すると、同様に「あちゃー」と漏らす。

「……みんなごめん。また何かあったら協力してあげてくれる？」

　真っ白に燃え尽きるアッシュを見て同情したのか、アゾートが皆に言う。

「仕方ないな……これではいさよなら、って薄情な真似も出来ないしな」

　仕方なさそうに神崎　優（かんざき・ゆう）が言うと、流石に不憫に思ったのか、他の皆も「仕方ない」と言いながらも協力する旨を告げてくれる。

「成程、我々の戦いはこれからだという事だな！？」

　一人、コア・ハーティオン（こあ・はーてぃおん）が頷く。おい待て、それは打ち切りフラグだ。

「みんな協力してくれるって言うし、その……がんばろ？」
「まぁ、何とかなりますって。ほら、元気出しましょう？」

　慰める様にザカコ・グーメル（ざかこ・ぐーめる）とアゾートが言うが、アッシュは暫く真っ白に燃え尽きたままであった。

―続く……と思われる―