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リアクション
さて、薬を持ち帰ってきたフレンディスは、早速パートナーのベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)にそのことを報告した。
「というわけで、食べると性別が変わってしまうのだそうです! 異性の着替えも覗き放題なんだとか!」
また訳の分からないものを貰って来て、と頭を抱えたい思いで、ベルクはフレンディスの報告を聞く。
「で、どうするんだそれ。食べるのか。覗くのか?」
そんな事をやりたがるような奴だとは思えないのだが、と訝しがりつつベルクが問いかけると、案の定フレンディスは
「食べてみようかと思ったのですが、私はその、殿方の裸を見るなどと想像するだけで……その、無理です」
頬を赤らめて俯いた。
だよな、そうだよな、と、フレンディスが異性の着替えを覗こう等という不届き考えの持ち主では無かったことに安堵しながらも、しかし、裸を見るだけでアウト、ということはつまり、やっとこぎ着けた恋人の立場から、もう一歩踏み込んだ関係になるためには――凄い壁があるのかも知れない、とも気付いてちょっぴり気落ちする。
「じゃあ、どうするんだよ」
「お二人で試して頂けませんでしょうか」
「何ですって!」
とここで、今まで自分は蚊帳の外と思い黙って聞いていたもう一人のパートナー、忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)がきゃん、と悲鳴を上げた。
「ご主人様、この超優秀なハイテク忍犬の僕が雌犬になるなんてとんでもありません! エロ吸血鬼が女になっておけばいいのです! そうすればご主人様を手籠めにしようと考えなく……」
ポチの助は一生懸命に抵抗を見せる。が、その声を遮るようにベルクが割って入る。
「何かあったとき術士の俺なら対処できるが、俺まで巻き込まれちゃ、にっちもさっちもいかなくなるかもしれねぇ」
――大体、仮に俺が女になったらなったでそれなりに楽しませて貰うつもりだ、残念だったなワン公。男の裸がダメなら、女の姿で、ってな。つっても、俺だってばれてりゃあんま意味ねぇだろうし、やっぱ最初はちゃんと男の姿でだよな……
と、思ってはいても声には出せない辺り、ヘタレである。ベルクの宿願が叶う日はまだ遠そうだ。
「むー、それもそうですね」
そんなベルクの内心など知るよしも無く、フレンディスは彼からの提案にこくりと頷く。ポチの助が悲鳴を上げた。
「ま、そんな訳だから、食え。食い尽くせ」
ニヤリと笑ってチョコレートを差し出すベルクから逃れるように、ポチの助は涙目でフレンディスを見る。しかしフレンディスはにっこりと笑って、どうぞ、と言う。
ええいままよ、とポチの助は差し出されたチョコレートを口へ放り込んだ。
すると、ぽふん、と白い煙が立ち上り、ポチの助を包み込む。その煙が収まった後には――
「うわぁ、可愛いです」
「へぇ……思ったよりマシじゃねぇか」
フレンディスのみならずベルクまでがそう評する程度に可愛らしい、犬耳のロリっ娘が誕生していた。
着ていたものや髪の長さはそのままだが、顔つきが明らかに女の子だ。短いズボンから覗く、骨張っていた膝やまっすぐだった太ももにはふんわりと肉が付いて軟らかそう、きゅっと締まった腰からはズボンがずり落ちそうになっていて、膨らんだ胸がTシャツを――――押し上げない。
「胸は変わらないんですかね?」
疑問に思ったフレンディスが、ポチの助のTシャツをがばりとめくり上げた。
「ちょ、フレイ!」
「何するんですかご主人様ぁああ!」
その唐突な行動にベルクもポチの助も慌てふためく。が、好奇心に取り憑かれたフレンディスは止まらない。うーん、と唸りながらポチの助の胸に手を伸ばした。
すると、微かに柔らかい感触。
「あっ、なるほど、ポチは胸が小さいのですね!」
「……ぶっ」
ぽん、と手を打ち鳴らすフレンディスの言葉に、ベルクは思わず吹き出す。
「なるほど、お前、貧乳か」
「……もうっ、ご主人様もエロ吸血鬼も酷いのです!!」
もう我慢がならん、と言わんばかりに、ポチの助は胸元をかき合わせてフレンディスの手から逃れる。そして、えいやと獣形態に転じた。
そこには小さな豆柴(メス)が一匹。
「この姿なら姿の違いなどわからないでしょう!」
えっへん、と自慢げに鼻を持ち上げるポチの助。確かに、人間の目には犬の雄雌など、ついてるかついていないか位でしか判断出来ない。が。
「声は可愛いままなのですね!」
フレンディスの楽しそうな声が、ポチの助の心にトドメを刺した。
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