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雨姫様の恋雫

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雨姫様の恋雫
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水の魔の手と愛の行進

 西の入り口。森に囲まれるように存在する湖がある。

「優が言ってた森ってここか」
「そうみたいですね。では行きましょうか?」

 神代 聖夜(かみしろ・せいや)陰陽の書 刹那(いんようのしょ・せつな)は手をつないで湖を目指して歩いて行く。

「来たか」
「では、私から」

 群れをなして木々の間から現れる魔物に刹那がホワイトアウトをかける。
 視界を奪ったところで、聖夜がブラインドナイブスで仕留めていく。

「こんなものか」
「あ、湖に着いたみたいですね」

 澄んでいるが底が見えない深さの湖。
 陸地には数隻の小舟が泊められている。

「これは……」
「なにやら仕掛けを解かないと留め具が外れないみたいですね」
「鍵の方はピッキングすれば良いとして……」

 二人で仕掛けを解除させ、一隻の小舟を浮かばせると聖夜が漕ぐ形で船を進ませていった。



◇          ◇          ◇




「! 来ます!!」
「任せろ」

 イナンナの加護で危機的感知を高めていた刹那が水魔の殺気に気付いて叫ぶ。
 現れた水魔を聖夜が奈落の鉄鎖で動きを鈍らせる。

「しっかり掴まっててくれ」

 聖夜が刹那をお姫様だっこで抱きあげ、小舟を残して麒麟走りの術でかけていった。
 刹那を抱きあげている為、両手が使えない聖夜に代わって刹那が神の審判・炎の精霊・バニッシュで撃退していく。


……………
    ……………
        ……………


「水魔はやっぱ陸までは追ってこないか」

 湖を超え刹那を降ろしてやると水魔の追手が無いかしばらく警戒する。
 湖にいる水魔が追ってこないと分かり、また手をつないで双樹の樹を探しに奥へ進んで行った。

「これが……これが、あの言い伝えの樹なんですね」
「そうみたいだな」

 共に雫をすくう。
 沁み込み消えていった空の手器をそのまま絡めて誓いのキスをした。