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リアクション
第十章 所でこれデブリーフィングだったよな?
デブリーフィング開始早々、まだ大した擦り付け合いすら行われていないというのに既に十人(内一人は自害だが)が散っている。
(……ま、まずい……これはまずいよ……!)
この状況に震えていたのは小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)である。
(こんな時に小暮バリアが無いのはまずいよ! なんで死んじゃうのかなもぉ! 死ぬならもっと役に立ってよ!)
バリア、もとい肉盾……という名の既に散った小暮 秀幸(こぐれ・ひでゆき)に毒づく美羽。
任務中、数ある危機を美羽はバリアこと小暮で何とか乗り切っていたのだ。そのバリアが居なくなってしまっては心細い事この上ない。
(この場にあのアッなんとかがいてくれれば……ん?)
ふと、美羽の頭に何か浮かぶ。
(そうだよ……なければ他で代用すればいいんだよ! 新しい肉盾を探そう!)
いやその発想はおかしい。だが誰もツッコむ者はいない。
美羽は、キョロキョロと辺りを見回す。
(……いた!)
そして目に入ったのはコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)であった。大きさ的にも丁度いい肉盾になるだろう。
(あれならちょっとやそっと何かあっても肉盾にできる! もう何も怖くない!)
そう思い、美羽はそっとコアの背後へと移動する。何かフラグが立った気がするが、きっと気のせいだろう。
「ナナナよ、少しいいか?」
美羽が後ろに隠れた辺りで、コアが手を挙げる。
「何でしょうか?」
うむ、とコアが立ち上がった。
「ナナナは我々を反逆者と疑っているのだな? だがナナナよ、我々の中にナナナの敵はいない。つまりは反逆者などいないのだ」
コアの言葉に、なななは「ふむ」と頷く。
「任務の失敗は申し訳が無い。私達の力が足りなかった。だが、だからといっていもしない反逆者を探したところで、失った時間は戻らないだろう? 先程の者が言っていた。『過ちを気に病まず、次の糧にすればいい』と。人と言うのは失敗を次に生かす事が出来る。それが成長という物だ。私はそれをパラミタに来て学んだ」
そう言ってコアは皆へ向き直る。
「だから皆で力をあわせて、この事件を振り返ってみようではないか。何が悪かったのか? ならばどうすれば良かったのか? 次に来るべき戦いに備え、準備を万全にする事こそ今の私達が最もやるべき事のはずだ! なぁみんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
皆へ野太い笑みを見せた辺りで、コアは爆死した。
「すみません、爽やかなのがウザくてついうっかり……」
いつの間にかボタンを持っていたなななが見かけだけは申し訳なさそうに呟いた。それに関しては他の面々も「あれは仕方ない」と心の中で呟いていた。行き過ぎた爽やかは時として人をイラッ、とさせる。気を付けよう。
「……ああ、そうか。ハーティオンの奴、この状況でいつも通りのなななと思ってたのね」
爽やかな奇行に走ったコアに呆気にとられていたラブ・リトル(らぶ・りとる)が、残骸を見て漸く気づいたように手を打った。
「あいつ、状況認識能力ぶっ壊れてるんじゃないの……って、あれ?」
ふと、残骸の横で新しく復活していた美羽にラブが気づいた。
「どうしたの?」とラブが聞くが、美羽は「聞かないで」とだけ答えた。
そりゃ答えられるわけない。「肉盾にしようと思ったら、あっさり爆発に巻き込まれたでござる」だなんて。
ちなみに美羽は残機がギリギリ残っていたが、コアは残っていない。故に残骸のまま復活する事は無かった。
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