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【祓魔師】災厄をもたらす魂の開放・前編

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【祓魔師】災厄をもたらす魂の開放・前編

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第10章 災厄を招く狂行

 エリドゥの町の方では、和輝の連絡を受けて簡易集会場に集めた人々を、セレアナたちが外へ避難させている。
 空からは一輝とコレットが小型飛空艇アラウダに乗って警戒している。
「来たみたいだな」
 地獄の天使の翼を広げて、黒フードの連中がこちらへ向かってくるのを一輝が目撃する。
「オヤブンも見えるってことは、中にエアリエルはいないってことだね」
「どうだろうな、不可視のやつがいないとは限らない。聞いてみるか」
 ソーマにメールで様子を聞き、それらがいるか確認する。
「―…どう?」
「ふぅ、やはりいるみたいだ」
「オヤブンは空からの支援だね。あたしは町の人が襲われないように、ソーマのほうにいくよ」
 呪いのこともあるし、可視の者の位置だけを教えたほうがいいかも?と言う。
 コレットは飛空艇から降り、ソーマたちと合流しようと飛んでいく。
 その頃、ソーマのほうもアークソウルの探知にかかった者たちを待ち構え、パートナーの傍に控えている。
「応援が来るまで、俺たち3人で足止めしないとな」
「町にいる他の術者は、コレットだけだったかな…」
 避難誘導しているセレンフィリティとセレアナの2人には頼めないし、そちら側へで黒フードを叩くのは得策ではない。
「コレットさんが来てくれたみたいですよ、北都」
「そうみたい、よかった…」
「あたしも協力するよ!」
「今は4人だけど頑張ろう」
「うん!」
「おっと、会話はそこまでだ。皆、集中しろ!」
 すぐそこへ迫っていると、アークソウルで探知したソーマが言う。
「町の人には手出しさせないよ…」
 北都は裁きの章を唱え、酸の雨を薄い霧状へ変化させる。
 リオン・ヴォルカン(りおん・う゛ぉるかん)も赤い瞳の先に合わせ、光の帯で向かってくるボコールたちの進行を妨害する。
「へっ、4人だけかぁ?」
 まずは宝石使いを倒してやろうと、大気のトゲ縄をソーマへ伸ばす。
「―…ちっ、呪いか」
 空飛ぶ箒スパロウに乗り、トゲ縄から逃れる。
 不可視の者を神籬の境界線で囲んでやる。
 すぐに脱出されてしまったが、それでも酸の霧にかかった影響で向かってきた時ほどの行動力は感じない。
 それに合わせてコレットのほうも、光りの波で器のほうの力を削ぐことに専念する。
「町の連中をよこしなぁ!」
「いやだね。(人質にするって知ってるんだよ)」
 北都は強行突破しようとする者を睨み、顔をムッとさせる。
「力を手に入れて、試したいのは分かる。だけどね、こんなことしちゃいけない。絶対、間違ってるよ!」
 大きな魔道の能力を実験すれば、破壊しかもたらさない。
 ヒトであることを捨てて、寿命すらも捨てる下法の能力だ。
 なんとしても通さないと黒フードたちの道を閉ざす。
「“空っぽ”だと、気づかれるのも時間の問題かもしれませんね、ソーマ」
 静かすぎる不自然さに、遅かれ早かれ彼らは気づいてしまう。
 そうソーマにリオンが耳打ちをする。
「なんのために町の人を逃がしたのかもバレたら、赤い髪の子供を探しにいくだろうな」
「今、陣さんたちが保護しているようですよ。クローリス使いもいますから、ボコール相手なら問題はないと思いますが…」
「まだ砂嵐の中にいるやつらの状況のほうが、まずいか」
 そろそろ疲弊し始めている頃だろうと思い、撤退できてればいいが…と言う。
「まぁ。俺らがやることは、こいつらの数を減らすことだな」
「えぇ…町の人を襲わせないためにも…」
 仲間の状況も気になるが、今は突破しようとするボコールの足止めに専念する。



 砂嵐の外では、アニスがサンダーバードを空に放って監視していた。
 目で見えたり探知にかかる範囲で、黒フードの者たちを雷に感電させている。
 それでも、エリドゥへ向かってしまった人数を、パートナーにテレパシーで伝達してもらった。
「(救助に成功したってことは、こっちの勝ちってこと?)」
「(まだそうと決まったわけじゃない、アニス)」
 ディアボロスが撤退するまで、気は抜けないと言う。
「(劣勢ではないが、優勢でもないな)」
 魔性がこの地を離れるまで、砂嵐に入った者たちも戻るわけにはいかない。
 相当の精神力を消耗している頃だろうが、離れれば生贄を取り戻しに連中が集中する。
 余力を残させたルカルカたちが近くにいるようだから、すぐに奪われはしないだろうが、仲間同士を犠牲にしてまで心臓を奪いにかかってくる。
 その可能性も想定すれば、安易に人を動かせないのだった。
 だとしても和輝たちのほうも、監視役で留まるのも得策ではない。
「相手は虚構の魔性。ウソばかりつくというやつだったか。言葉、態度で惑わし、こちらの疲弊を狙っているのかもな…」
 次はどう動こうか。
 僅かなミスでもしてしまえば、生贄の心臓を奪われる可能性が増してしまう。
 決め手となる次の手段を考え、思考を巡らせた。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

皆様、大変お待たせいたしました。
次回も、エリドゥ方面になります。

今回ご参加いただいた方は次回ご参加いただく場合、リアクションの終了地点からのスタートとなります。


魔道具の能力が上昇した方々について下記に記載させていただきました。

●敬称略

■涼介・フォレスト

・ホーリーソウルII
呪術の解除:呪術にかかった対象から、やや離れた位置(3m程度)で解呪を行える。


■エリシア・ボック

・ビバーチェ
呪術の抵抗力:中級の霊、魔性などによる呪いの抵抗力が強くなる。
上級の霊、魔性などによる呪いの抵抗力を高める。


■ノーン・クリスタリア

・ルルディ
呪術の抵抗力:中級の霊、魔性などによる呪いの抵抗力が強くなる。
上級の霊、魔性などによる呪いの抵抗力を高める。


一部の方に、称号をお送りしました。

それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。


◆2013.11.29
リアクション内を一部修正致しました。