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リアクション
ジャタの森 某所
「そちらは大丈夫か? 知っての通りだろうがジャタの森は深く危険だ。まずは力を合わせてここから脱出を行おう」
不時着した後、森の中を探索していたコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)。
唯斗と“鼬”の姿を見つけた彼は開口一番そう言った。
「……あれ?」
そして、既に二人が休戦し、協力しているのに気付いて呆けたような声を出す。
「……う、うむ! 既に協力態勢が出来上がっているなら言う事はない! 結構結構!」
一方、その後ろでは龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)が声を上げていた。
「ガオーン(なんだ、戦わんのかつまらん。我は寝るから終わったら起こせよ……まぁ、ショボい人間状態のこいつらを噛み砕いたところで何の自慢にもならんな)」
「紫月唯斗、彼等も貴方の仲間ですか?」
「うむ」
「ガオオオン?(お?なんだその目は? 我にケンカ売ってるのか小僧?)」
「ここは穏便にいこう、ドラゴンランダー。さて――」
ハーティオンはいそいそと水や食料を集め始めた。
更には倒れた木を担ぎ、薪として持ってくる。
「怪我人や重い資材は私が運ぶ。任せてくれ」
「紫月唯斗だけではなく、貴方もですか。敵である僕らを助けるなんて、あの戦艦のクルーは随分とお人好しのようですね」
「何故助けるのか? 私は困っている「人」を助けるのが役目だ。何処にいようが誰といようがそれは変わる事は無い」
堂々と語るハーティオン。
「……全ての人を助けるには私の力は小さい。だから目の前の困っている人を助けるのだ。だが、その力が数多く繋がれば、いつか全ての人々を助ける力になると私は信じる」
「本当にお人好しですね。貴方達は」
呆れたような言い方に思えて、どこか微笑ましいものに対するような言い方をする“鼬”。
そんな彼に、唯斗は問いかけた。
「聞かせてくれ、“鼬”。一体何がお前ほどの男をテロリズムなどに駆り立てる?」
「……」
「無理にとは言わん」
「……かつて、『偽りの大敵事件』と呼ばれた事件がありました――」
「ああ。知っている」
唯斗とハーティオンは“鼬”の語ることについて耳を傾け続けた。
「あの日、イコンが好きだった僕は会場に足を運んでいました。そこで――」
「――そこでこの人は、わたくしと出会ったのです」
振り返る三人。
その先では、和服の女性が身体を起こしていた。
「イコンを愛好しておりましたわたくしはあの日、イベント会場におりました。展示を見て回っていたわたくしは男の方達に絡まれ、会場から少し離れた場所に連れていかれたのです」
“鼬”はすかさず立ち上がり、彼女を支える。
「男の方達に囲まれていたわたくしを助けてくださったのが彼……賢志郎さんです。そして、わたくし達はあの事件に巻き込まれました」
「沙耶さんの仰る通りです。僕等はスミスという人に出会った――」
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