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“蛍”シリーズ【第七話】、【第八話】、【第九話】、【第十話】

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同時刻 百合園女学院 客室

「本当に行くのね」
「ああ」
 
 百合園の客室で来里人と彩羽は出立の準備をしていた。
 スベシア・エリシクス(すべしあ・えりしくす)夜愚 素十素(よぐ・そとうす)は一足先に迅竜へと合流している。
 
 二人ももうじき準備を終え、最終決戦に臨む迅竜に合流する手はずだ。
「俺の命を以てエッシェンバッハ派を止める。それが俺に課せられた責務だ」
 ただ淡々と言う来里人。
 すると彩羽は来里人の手を掴み、引っ張って振り向かせる。
 彩羽は来里人の瞳をまっすぐに見つめながら言う。
「私は生きて欲しいって思っているわ」
 彩羽の唐突な行動に一瞬動きを止める来里人。
 その隙を逃さず、彩羽は来里人と唇を重ねる。
 来里人もそれを拒むことはせず、しばし唇を重ねる二人。
 
 やがてそれを終えると、来里人はおもむろに自分の三つ編みに結んでいる鈴付きのリボンを解いた。
「来里人?」
 そして来里人はそれを彩羽のポニーテールの根元に結ぶ。
「持っていてくれ」
 すると彩羽はクスリと笑い、自分もまたポニーテールを留めていた髪留めを外す。
「はい。ならこれは貴方が持っていて」
 やはり彩羽も同じように、来里人の三つ編みの先端を髪留めで留める。
「このリボンは借りておくわ。で、私もこの髪留めを貴方に貸す。だから、ちゃんと返しなさい。貴方の手で直接ね。約束よ、来里人」
「約束しよう、彩羽」