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【ニルヴァーナへの道】崑崙的怪異談(前編)

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【ニルヴァーナへの道】崑崙的怪異談(前編)

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【2】奇奇怪怪……10


 拝殿の奥に鎮座するブセイ像。
 その手には『月牙産』と言う種類の武器が握られていた。
 棒の片端には三日月状の刃が付き、もう片端にスコップのような平らな刃が付いた武具だ。
「これがブライドオブヴァラーウォンドか……。こうして間近で見ると波動を感じる……。よし、回収せよ」
 その言葉に、夏侯 淵(かこう・えん)は仲間のダリルの肩を叩いた。
「よーし、大尉のお許しが出たぜ。さっさと回収しちまいな。とりあえず、ウォンドと繋がって体内に格納しとけ」
「ブラッディ・ディバインか……。奴らの手から守るにはその方法が確実だな……」
 そう言う利点はあるものの、目の前にしたブライドオブシリーズは剣の花嫁の好奇心をくすぐる。
「あの、ちょっと待ってください」
 とそこへ、セラフィーナ・メルファ(せらふぃーな・めるふぁ)も名乗りをあげた。
「ワタシも格納可能なのか、試してみたいです」
「む……」
「この件は事前に大尉に提案してました。ワタシのほうが先です。たぶん」
「そ、そうなのか、大尉?」
「そう言えば、そんなテレパシーが聞こえた気もするな。別に許可した覚えはないが……」
 むむむ……とダリルとセラフィーナは顔を見合わせた。
「ケンカなんてよくないですよぉー、2人とも」
 翼はそう言って、ごめんなさいよ、と間を通る。
「なので、ボクが回収しちゃいまーす」
「ちょっと待て。その理屈はおかしい」
「キミ、ガトリング乱射してただけじゃないですか。オイシイところ持ってかないでください」
 むむむむむ……と3人は顔を見合わせた。
「とりあえず、管理者を決めるのは後回しにして、ウォンドの状態をサイコメトリで確認する」
「ああ、そうですね。どんな効果を持っているものかわかるかもしれませんし」
 ダリルとセラフィーナはサイコメトリをかけた。
 その瞬間、目の前に黒髪を振り乱す恐ろしい形相の女が見えた。真っ赤な目でこちらを見ている……!
 あわてて手を離す2人。
 骨の髄に冷水を流し込まれたような感覚だった。恐怖が前進を貫き、身体の震えが止まらない……。
「2人とも固まってますけど……回収はもういいんですかー? ボクが回収しちゃいますよー?」
 不思議そうにしながら、翼はあっさりヴァラーウォンドを回収した。
 強力な武器を手に入れニコニコの彼女だったが、2人はあのビジョンが頭から離れずしばらく呆然としていた。