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リアクション
一行がゲルバッキーを追っていると、
ゲルバッキーを消滅させようとする者たちも追ってくる。
「この間は出す気持ちよさに負けてしまったけど、
今回はそうはいかないよ!」
「ゲルバッキーはポータラカ人の恥、消毒だヒャッハーですよ」
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)と
パストライミ・パンチェッタ(ぱすとらいみ・ぱんちぇった)が、
ホワイトスノゥ・オーキッドに乗って、
円盤型飛空艇に攻撃しようとする。
「イコンに乗っているときにトイレに行きたくなっても大丈夫!
今回は、あたしのシートに専用装備を取り付けてきたよ!」
「でも、冷静に考えたら、
みんな、イコンに乗っているときにトイレに行きたくなったら
どうしているのか気になってきたのですよ。
ねじゅお姉ちゃんほど頻尿体質じゃなくても、
戦闘中にトイレに行きたくなったらどうするのです?」
「えー、どうなんだろ……」
そんな会話をしつつ、
ネージュとパストライミは、気を取り直し、
ゲルバッキーを攻撃することにする。
「今回のイコンは射撃機体!
ゲルバッキーをやっつっける特別弾を用意したよ!
まずは、『オーガニック素材のオーバーキル除菌弾』!
トウガラシ、ワサビ、ニンニクの
抗菌成分高濃度濃縮薬液カプセルを内蔵、当たれば殺菌作用抜群だよ!
さらに、
『混ぜるな危険!洗剤反応弾』は、
アルカリ性、酸性、塩素系の洗剤をカプセルに入れて搭載、
当たれば反応して、塩素ガスを発生させて殺菌するよ!
本当は『高濃度オゾン弾』で
殺菌作用が強いオゾンガスも発生させたかったんだけど、
さすがに技術的に用意できなかったんだ」
「でも、普通に用意できる食品や洗剤をイコンの弾丸に詰めたのです。
これでゲルバッキーは殺菌なのです」
そうして、
ホワイトスノゥ・オーキッドから、
殺菌弾が発射されるが。
「ニル子とか言う地祇が
シャンバラまで出張ってきたからシメようと思ったら、
危険なことしてるんじゃないざんす!」
ザンスカールの森の精 ざんすか(ざんすかーるのもりのせい・ざんすか)が、
いきなり走ってきて、
殺菌弾をラリアットで跳ね返した。
「混ぜるな危険、ざんす!」
「きゃああああああああああああああああああああ!?
これも、あたしたちにとっては『ご褒美』だよ!?」
「ざんすかちゃんだけはわたくしにもどうにもならないのです!」
ネージュとパストライミはホワイトスノゥ・オーキッドごと、お星様になった。
「なんだったでありますか、今のは」
葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)が、
機動要塞・伊勢の甲板の上でその様子を見てつぶやく。
「まあ、いいであります。
ゲルバッキーは、保健所に送りつけてやるであります!」
吹雪は、円盤型飛空艇に飛び乗り、
無理やりコックピットをこじ開ける。
「貴様のせいでポータラカはイロモノばかりと言われるんだ!!」
イングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)も、
自分の姿を棚に上げつつ、ゲルバッキーに挑みかかる。
「なんだおまえらは!
やめろ、墜落する!」
「観念するであります!
飛空艇は内部を破壊すれば飛べなくなるであります!」
「抹殺してくれる!
この消毒用アルコールを喰らえーっ!」
吹雪は、円盤型飛空艇の内部機構を破壊し、
イングラハムは、消毒用アルコールをゲルバッキーにぶっかける。
「ぎゃあああああああああああああああ!?」
「うわあああああああああああああああ!?」
しかし、円盤型飛空艇に無理やり3人も乗り込んでいるため、
ゲルバッキーだけでなく、イングラハムも消毒用アルコールをかぶってしまう。
「ちょ、このままだと自分も一緒に墜落してしまうであります。
早めに脱出しないと……」
吹雪が、そう言っていると。
「荷電粒子砲、発射!!」
伊勢から発射された荷電粒子砲の直撃を受け、
円盤型飛空艇は吹っ飛ばされる。
「「「ぎゃああああああああああ!?」」」
「きっと吹雪なら『自分に構わず撃て!』といってくれるに違いないわ」
コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)が、
涙をぬぐいながら、そうつぶやいたところであった。
ボロボロになった円盤型飛空艇は、
なんとか、空中でバラバラになるのをまぬがれて、
ゴアドー島に不時着する。
「フフフ……全ては、我の計画通り……
あとは、奴が消滅すればニビルの全ての権限は我のものとなる……。
心配するな……凍結された資金も含め、
我のあわび養殖の研究に有効に使わせて貰う……その次は障害となるアヌンナキを……」
「そうだな……誰かに迷惑が掛かる前に
誰かさん共々早々に滅ぼした方がいいかもな……」
セリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)が、
アンチナノマシンブレードを両手に構えつつ、
ポータラカ人のパートナー、マネキ・ング(まねき・んぐ)の、
怪しげな笑いを見て言った。
「とにかく、今こそが好機なのである!
奴を消滅させ、
すべてを我がもとに!
行くがよい!」
「……まあ、ゲルバッキーを消滅させるということに異論はないが」
マネキにけしかけられ、
セリスが、アンチナノマシンブレードを構えてゲルバッキーに迫る。
そこに、立ちふさがるものが現れた。
双葉 朝霞(ふたば・あさか)の
パートナーの、アイ・シャハル(あい・しゃはる)であった。
「待って、お願い、ゲルバッキーを殺さないで!」
アイが、真剣な表情で懇願する。
「……悪い人かもしれないけど、
すごく悪い人かもしれないけど。
でも、ボクには最後の希望なんだ……!」
アイは、機晶姫の小芥子 空色(こけし・そらいろ)を救う技術を、
ゲルバッキーが持っていると信じているのだ。
「あのねゲルバッキー。
前にもボクお願いに行ったけど、覚えてる?
戦いの途中だからよく聞こえなかったかもだけど。
……ボク、お前に頼みがあるんだ」
アイが、
治してほしい機晶姫がいること、
頭がよくない自分にはわからないが、機晶石が痛んでいること、
そして、技術者にゲルバッキーくらいにしか直せない、と言われたことを、
必死にゲルバッキーに伝える。
「ボク、頑張ってお礼するよ。
おこづかいは全部ゲルバッキーにあげる。
だからお願い。ソラを治して欲しいんだ!」
「むむ、なんだかやりづらいではないか!」
その様子を見て、マネキが地団太を踏む。
円盤型飛空艇からなんとか脱出したゲルバッキーは、
アイの懇願に対し、首を振る。
「機晶姫?
……僕には関係がない。
それに、いくら僕でも、なんでもわかるわけじゃないんだ」
「そんな!
今、ボクが頼れるのはゲルバッキーだけなんだよ!」
「言っただろう、僕には関係ないと。
そこをどけ!」
ゲルバッキーは、そう言って、逃げて行こうとする。
「こら、待つのだ!」
マネキとセリス達が追いかけるが。
パワードスーツ隊・フィアーカー・バルの、
【シャンバラ教導団中尉】トマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)と
テノーリオ・メイベア(てのーりお・めいべあ)、
ミカエラ・ウォーレンシュタット(みかえら・うぉーれんしゅたっと)が立ちふさがる。
トマスたちは、ニル子に攻撃が当たらないように注意を払いながら、
ゲルバッキーを攻撃しようとする者から、
ゲルバッキーを護衛していた。
「恨みはないが……ここは引いてくれ!」
「なぜ我々がー!?」
トマスたちに、マネキたちはぶっ飛ばされる。
「思いあがるなよ、犬!
おまえが正しいと認めてる訳じゃない、
この期に及んでまだおまえを教え諭したいと望まれる
ファーストクイーンのご意思を尊重して、少しの間おまえをかばってるだけだ」
「おまえも、ファーストクイーン様の名をかたるのか!
いったいどういうことだ!」
「いいから聞け!」
トマスが、ゲルバッキーに続ける。
「僕は問答は有用だと信じている。
その結果がどうなるにせよ、
対話の相手を知ろうとする努力なしの『問答無用』は、
楽な道だが間違う事も多いからだ。
……おまえは、どうだ?」
「だから、何のことを言っていると聞いている!
ファーストクイーン様を愚弄するのは許さないぞ!」
ニル子の正体に気づいていない、
ゲルバッキーが、怒りをあらわにする。
「まったく、ファーストクイーンの深い慈愛に気づかないなんてな」
「犬だけに、ワンチャンス、と思っていたけれど、
まだ行いを改めないつもり?」
テノーリオとミカエラが、あきれたように言う。
「あなたの誠心誠意をあの犬に恵み垂れ給います様に」
運送車両で、ニル子をかばっていた
魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)が、そっと声をかける。
「……ありがとうございます。
本当は、許されないことをしたでしょうに……。
でも、あなた方のご協力に感謝します」
ニル子の姿のファーストクイーンが、ぺこりと頭を下げる。
(聞こえる、ゲルバッキー?)
天貴 彩羽(あまむち・あやは)が、
テレパシーで、ゲルバッキーに話しかける。
彩羽は、
パートナーのスベシア・エリシクス(すべしあ・えりしくす)と、
夜愚 素十素(よぐ・そとうす)とともに、
マスティマに搭乗し、
少し離れた場所から様子をうかがっていた。
(あの時、素十素のナノマシン制御を奪ったのはファーストクイーンなの?
他に、そんなことができそうな人物に心当たりがないんだけど……)
(何!?
たしかに、ファーストクイーン様なら、
ポータラカ人の身体に憑依できるだろうが、でも……)
ゲルバッキーは、ファーストクイーンの存在の可能性に混乱した様子を見せる。
「キャバクラ研究は面白いの〜?
安眠グッズのほうが面白いよ〜?
……って話してみて」
素十素が、彩羽に、趣味の話を振ってもらおうとする。
「あと、パンデミックでみんな無力化しちゃえば良かったのに
止めてほしかったんじゃないの〜?」
(そうなんじゃないの、ゲルバッキー?)
彩羽の問いに、ゲルバッキーは否定の意志を送ってきた。
(いや、僕は、僕は、もう……)
「僕は、もう、ファーストクイーン様のいない世界になんか未練はないんだ!」
ゲルバッキーは、そう絶叫したのだった。
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