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プリズン・ブロック ~古王国の秘宝~

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 入所 


 シャンバラ刑務所に、新たな囚人が連れてこられる。

 ろくりんピックのマスコットキャラクター「ろくりんくん」ことキャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)が、第2回蒼空杯サッカー大会でのノミ行為や公文書偽造で逮捕、収監された。
 看守は資料に添付された見目麗しい守護天使の写真と、実際のゆる族キャンディスをいぶかしげに見比べる。
「ろくりんくんってメス(?)だったのか? 俺ぁ、てっきりオスだと思ってたんだが」
 ハタで聞いていた先輩看守が、ひょいと肩をすくめる。
「書類通りにやっときゃいいさ。ゆる族の中の人のことなんて、誰も知らないんだからよ」
 そんな経緯で、キャンディスも特に怪しまれる事もなく、女囚刑務所へと入れられる事となった。
 ちなみにパートナーの茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)は無期懲役になって欲しいと願っている。しかし、さすがにノミ行為や公文書偽造では、キャンディス本人が否認を続けて反省の意思が見られないとはいえ、そうそう長い刑期にはならないだろう。


 キャンディスは看守に連れられて、女囚刑務所にやってきた。
「あらっ、ろくりんくんよ!」
「ろくりんくんが来てくれたのね!」
 キャンディスを見て、女囚たちが歓声をあげる。
「ノンノン、今のミーはレディー6(シックス)ネ!」
「……冬季ろくりんピックバージョン?」
 不思議そうな女囚たちに、キャンディスは歌い踊りながら答える。
「とある〜ゲームの〜キャンペーンなのヨ〜♪
 あわせて、冬季ろくりんピックもヨロシクネ〜!」
 ろくりんくんの登場に、刑務所はプチ慰問状態だ。
 昨年の夏のろくりんピックは、シャンバラ刑務所でもテレビで見られていたのだろう。


 シャワー室。作業を終えた女囚たちが、集団でシャワーを浴びにやってくる。
 新入り囚人のナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)もその一員として、鼻歌まじりに服を脱ぎ始めた。と、周囲の女囚の視線がナガンの股間に集まる。
「あ、あなた、それって……」
 ナガンは股間のブツを指ではじき、ニヤリと笑う。
「生えてる? パラ実改造科なんだぜ? 少しぐらい体イジってるだけだぜ?
 おいおい、この義手を見てくれよ、なんか付いてたって問題ねーだろ? 女子だぜ女子。えっ、まさかこの義手、取り上げないよなァ?」
 ナガンは右腕が機晶姫の腕、左手が岩巨人の腕だ。左右の義手をパンパンと叩くが、女囚の視線は一点から離れない。
「おーい? 聞いてんの?」
 女囚達は頬を染め、言った。
「……すてき!!」
「へ?」


 刑務所の運動場。女囚刑務所との境になる金網フェンスの近くで、近頃に囚人となった国頭 武尊(くにがみ・たける)南 鮪(みなみ・まぐろ)が話している。二人はパンツ強奪や幼女要人拉致など、罪状はいくらでもあった。
「そういやナガンも、ここにブチ込まれたようだぜ」
「ヒャッハ〜、横シマピエロのできあがりか? ん?」
 女囚刑務所から大勢の女囚が一塊になって、彼らのいる方に近づいてくる。はしゃぐ女囚の中心にいるのはナガンだ。
 武尊と鮪は、金網に顔を寄せた。
「あっと言う間にハーレムだな。何やってんだ?」
「きっとナガンの人徳とカリがスマートなせいだぜ」
 そう答えるナガンを、女囚達は「オネェ様」と呼んで、デレデレと慕っているようだ。
 対するナガンは、やはり可愛い恋人がいるからか、気のない調子だ。しかし女囚たちは、逆に「クールでかっこいいわ」とデレている。
「よく分からんが、とにかく、ぱんつだ!」
 武尊と鮪はフェンスごしにでも、女囚たちのパンツを奪おうとする。
「きゃー! あたしのパンツはオネェ様のものよ!」
「離せよ、このモヒカン!」
「あぁ?! モヒカンはヒャッハーの命だぜぇ〜」
 ぎゃあぎゃあと騒ぐ彼らを見て、ナガンはフト思いつく。
「なぁ、ぱんつはぱんつでも、ちょと面白そうなぱんつがあるみたいだぜ」
「なに? どんなぱんつだ?」
「こっちの独房にカリアッハっていう魔女がいてな……」
 三人の囚人は楽しげに、金網ごしに話しあった。



 女囚の雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)は看守を誘惑して、人気のない場所に引きずりこんでいた。ブラキオの手下で、なるべくイケメンの者を選りすぐった。
 吸精幻夜から醒めてぼんやりしている看守に、リナリエッタは露になった肌を隠しながら冷たく笑う。
「あらあらぁ……ここの看守さんって、こういうことするんだぁ。ふふ、人権侵害よぉ」
「……え? え?」
 看守はボヤけた頭のまま、きょときょとと周囲を見回す。
 どうやら、自分がやっちまったらしい、というのは分かる。
 リナリエッタは彼にあまり考える時間を与えない。
「まぁ……ここで囚人に逆らったら、人権の前に命が侵害されるんだっけぇ?」
 妖艶に笑って、要求を告げる。看守は目を丸くするが、それは彼にとっても明るみにはできない望みを実現するものだ。
 ゴクリ、と生ツバを飲み、看守はリナリエッタに従うと答えた。