リアクション
10ターン 『さあ、トップグループは、カレン・クレスティア選手、天城一輝選手、綺雲菜織選手と順位を替えていません。 後続の神代明日香選手、ソア・ウェンボリス選手、悪天候エリアに突っ込んだ』 「こうなったら、奧の手ですぅ。行きますよ〜」 神代明日香が、持っていたプラシーボ薬をぐいと一気に飲み干した。なんだか分からないが、凄い自信が満ちあふれてくる。 「はははは、明日香ちゃん最高ですぅ!」 思いっきりハイになった神代明日香が、魔力を一気につぎ込んで大胆な操縦でエターナルコメットを進めた。途中竜巻に巻き込まれそうになりながらも、高い位置から一気に悪天候エリアを突破する。 「おおお、凄い、凄いわ! みんな、見てみて、あの選手たちの華麗なテクニック!」 ただ突っ立っているのに飽きて、いろいろなポーズをとっていた綾原さゆみが、いつの間にかマイクを手にして一人実況を始めた。 「ちょ、ちょっと、さゆみ、クールダウンして、クールダウン」 焦ったアデリーヌ・シャントルイユが、持っていたペットボトルからミネラルウォーターを綾原さゆみの頭からかける。だが、そんなことなど気にもせず、火照った身体から白い湯気を立てながら綾原さゆみが激しく身体を動かしつつ実況を続けた。 「クマ、きたー!!」 綾原さゆみの絶叫のむこうに、嵐の中を飛ぶ白熊爆進丸の姿が朧に見える。 「やったぜ、ついにカナタたちを追い抜いてやったぜ。はははは!!」 「ちょ、ちょっと、ベア、無理はないで……。きゃああっ!? 前、前! 前!!」 調子に乗った雪国ベアにソア・ウェンボリスが注意したが遅かった。まともに竜巻に突っ込んだ白熊爆進丸が、木の葉のようにきりもみしながら竜巻に飛ばされていく。 「ああ、クマさんが、クマさんが! ぶっ飛んで……」 つる。 「ああ、さゆみ!」 興奮した綾原さゆみが、勢い余ってステージから海に転落した。そのままぶくぶくと泡が海中から浮かんでくるだけで、本人がいっこうに浮かんでこない。真っ青になって、アデリーヌ・シャントルイユが海に飛び込んで綾原さゆみを助けに行った。 ★ ★ ★ 「ああっ、ソアの奴、何やってるんだ!」 慎重にハーリー・デビットソンの後ろにつけて悪天候エリアの攻略をうかがっていた緋桜ケイが、吹っ飛ばされていくソア・ウェンボリスたちを目撃して叫んだ。 「ふっ、注意を怠った者の末路よ」 勝ったなと、悠久ノカナタがほくそ笑む。心の中の勝敗表に、何やら印をつけ足したようだ。 ★ ★ ★ 『さあ、ラストグループ、笹野朔夜選手を先頭に、秋月葵選手と南鮪選手がならび、それを皆川陽選手が追いかける形となっています』 「この、きもいんだよね、このこの!」 届かないと分かっていて、秋月葵が南鮪を脚で蹴っ飛ばそうとした。 「そんなこと言わねえで、これを穿け。もちろん頭にな!」 新品のパンティーを差し出しながら、南鮪が言う。 「嫌ですぅ!」 バシャバシャと脚で水を弾き飛ばしながら、魔装書アル・アジフが抵抗した。 「あっ、このやろう。冷てえじゃねえか!」 怒った南鮪が含み針を飛ばしたが、素早くパラミタイルカがジャンプしてそれを躱した。 ★ ★ ★ 『お待ちかねの順位発表です。 さらにソア・ウェンボリス選手が脱落し、すでに残っている選手は当初の半分を切りました。 まれに見る激戦となっています』 1 カレン・クレスティア 2 天城一輝 3 綺雲菜織 彩音・サテライト 4 △神代明日香 5 △ソア・ウェンボリス 雪国ベア リタイア 6 △ハーリー・デビットソン 7 ▼緋桜ケイ 悠久ノカナタ 8 △笹野朔夜 9 秋月葵 魔装書アル・アジフ △南鮪 11 皆川陽 テディ・アルタヴィスタ |
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