波羅蜜多実業高等学校

リアクション

　パーティは既に終わっていた。
　一般客は土産を持って、退室しており、部屋にはスタッフと、要人、護衛のみ残っていた。
　パーティ終了後、モニターをつけて、アルカンシェル内部を確認した優子は、悲しい光景を見てしまった。
「国頭……っ」
　それは、ランドリー室で泡を吹いて倒れている青年の姿。
　近くには、一枚のボクサーパンツが落ちている。
　……これは、にゃんくまが変熊の指示で用意した染みつき、匂いつき、刺激物つきパンツだ。
　元々はゼスタの所有物（替えのパンツ）だったものを、変熊が盗……回収して、十二星華の写真とセットにして。
　にゃんくまと共に、ランドリー室のキャビネットにしまっておいたものだ。
　ちなみに、変熊が被っていたのも、ゼスタのパンツである。
　ともあれ、倒れている武尊を見て、すぐに駆け付けようとした優子だが、優子にはやらねばならぬ後始末があるだろうと、番長をはじめとした若葉分校生に止められた。
「優子、首謀者よ」
　どかっと、蹴り飛ばして、美羽はシロぽんを優子の前に飛ばす。
　衝撃でシロぽんの口を縛っていたタオルが外れた。
　優子はシロぽんの前に仁王立ちし、腕を組んで無言でズゴゴゴゴゴゴと見下ろす。
「うぐぐぐぐっ、ズボンとは卑怯な……」
　こんな時でも、シロぽんはすべきことを忘れない。しかし、優子を下からのぞいても何も嬉しいことはなかった。中身を想像することくらいしかできない。
「ちょっとーッ！　あたしの、パン……ど、どこにやったの！！！？」
　凄い形相でセイニィが駆け込んでくる。手にグレートキャッツを装備し、シロぽんに迫る！
「よ、よくも身体にべたべたと……彼方の前で……」
　テティスもコーラルリーフを構えて、ゆらゆら近づいてくる。
「お前達も目的は分かっている。分かっていて、少し泳がせてもいた。少しのセクハラは許そう。だが、更衣室の映像を流した罪は重い！　そしてよくも国頭を……」
「……はっ？」
　優子の言葉に、シロぽん、目をぱちくり。
「こういう輩は、パンチを見舞って血祭りにするよりない」
　旭が腕をボキボキ鳴らしながら近づいてくる。
　体を触られたり、スカートをめくられたり、撮られたりした女の子達も怒りの形相で近づいてくる……。
「武器は使うな」
　優子が低い声で言う。それは武器を使わなければ、何をしても構わないというニュアンスを含んだ言葉だ。
「わかったわよ！」
　セイニィが跳んだ。
「この変態！　あたしの、パン…かーえーせーッ！」
　グレートキャッツを外し、拳をシロぽんの顔に叩き込む！
「このセクハラ男がーっ！」
　テティスも渾身の一撃を、シロぽんの腹に放った。
「変態変態変態ーーーーっ！」
「キモーーーイ！」
「地獄に落ちろぉぉぉぉ！」
　そうして、集まった女の子達から、次々にパンチが繰り出された。

「げふっ、ごふっ、ま、まて、濡れ衣だ、ぐほっ、そ、そうだ、せめて濡れた衣を纏え、スカートでぇぇぇぇぇーー！」

神楽崎春のパンチまつり　完！