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リアクション
20)雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)
ド派手なドレスで登場した雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)は、
テレビ収録にもまったく臆さず、
自分のペースを崩さなかった。
「ごきげんよう。
お会いできてうれしいわ」
「私も、とってもうれしいわ」
トッドさんにも、鷹揚に応えて見せる。
「ではまず、
アキラ・セイルーンさんの質問です。
「これまでの活動を振り返り、一番印象に残っている出来事は?」
とのことです」
「そうねぇ……最近月とかイコンとかこう、スケールがビッグな出来事ばっか起きてるけど」
リナリエッタは、いたずらっぽく笑んだ。
「やっぱり一番の驚きは
我が百合園女学院の校長が○(ピー)の娘だったってことかしらね……
あんなに可愛いのに。ふふ」
生放送なのに、なぜか、該当の発言箇所に修正音が入った。
「り、リナリエッタさん!?」
桜井 静香(さくらい・しずか)が、スタジオで慌てているのを見て、
リナリエッタはほくそ笑んだ。
「あ、昔臨海学校に行くってことで
校長と無人島に行っちゃったときは楽しかったわぁ」
「まあ、無人島に?」
トッドさんが目を輝かせる。
「あの時の出来事を本か何かで振り返る事が出来たらいいわねぇ」
※『蒼空のフロンティア〜おとこのこうちょう!〜』第3話参照
「なるほど、思い出をずっと留めておけたらそれは素敵なことね」
「ええ、とっても」
「あうう……」
静香が観覧席で困っているのを見て、リナリエッタは楽しんでいた。
「次の質問です。
あなたの将来の目標はなんですか?
それに向けて、今、どのような努力をされていらっしゃいますか?
まだはっきりしない、漠然としたことでもかまいません」
「ふふ、パラミタ中のイケメンを集めてイケメン王国を作りたいわね」
舌なめずりしながら、リナリエッタが続けた。
「国家神級のイケメンから、イコンやギフトなイケメン!」
「たしかに、女性型イコンがあるのですから、美形の男性型イコンがあってもいいわね」
トッドさんがうなずく。
「さあこの番組を見たイケメンな貴方。この私の元に集いなさい!」
立ち上がったリナリエッタは、両手を広げて見せる。
「私の3サイズ下にテロップで表示されないの?」
番組スタッフにそんな無茶ぶりをするが。
次の瞬間。
黒 歴 史
「まあ、かわいらしい!
このころの昔話など、ぜひ詳しく伺えないかしら?」
リナリエッタは、画面に大きく映し出された自分の過去の写真に凍りついた。
(まだあれ残ってたんですかププププ)
観覧していたベファーナ・ディ・カルボーネ(べふぁーな・でぃかるぼーね)が、
吹き出すのをこらえる。
「は、ははははは、べ、別人じゃないのかしら」
冷や汗をだらだらと流し、先ほどとはうってかわってうろたえる。
「そ、そろそろ私の持ち時間終わりじゃない? じゃね〜」
無理やり巻いて終了させようとするリナリエッタだが。
「変ねえ。
ご本人の写真をいただいているはずなのだけど」
首をかしげているトッドさんに、
ベファーナがカンペを渡す。
「ええと、なに?
『地球に居た時代のリナです』」
「ちょ!?」
リナリエッタが慌ててカンペを奪おうとするが、すでに遅い。
「『将来の夢は妖精さんと一緒にお空を飛んで不思議の王国に行くこと』」
「ぎゃあああああああああ!?」
「『毎日お星様にお願いしてました。パラミタに来れてある意味夢が叶った?』」
(ああああああああああああああああ……!!)
真紅のドレスと同じくらい顔を染めて、リナリエッタは撃沈した。
「まあ、かわいらしいわね。
人って変われば変わるものなのね。
それとも、今でも同じように思ってらっしゃるの?」
トッドさんの言葉に、リナリエッタは、返事することすらできないのであった。
★☆★
収録終了後。
「いやあ、楽しかったね……グハッ!?」
「ゆ、る、さ、ないわよおおおお!!」
文字どおりの意味で、
ベファーナをチョークスリーパーで〆て気絶させる、リナリエッタであった。
「あの写真、どこから流出したのかしら……。
絶対につきとめて、私を怒らせるとどういうことになるか、思い知らせてあげるわ……!」
そして、暗い炎をバックに背負いながら、
倒れたベファーナをグリグリ踏みつけるリナリエッタであった。