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激闘!?『変態コレクション(変コレ)』!

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激闘!?『変態コレクション(変コレ)』!

リアクション


【1】


 変コレ世界のどこかにある世界の中枢。
 精巧に空京を模して作り込まれたヴァーチャル世界とは違って、そこは無機質な真っ暗な空間だった。
 その真ん中にこんな……(・▽・)……顔が浮かんでいる。
 緊張感が削がれるような顔をしているが、実はこれが変コレ世界を統括する高性能AIなのだ。
 AIのまわりには絶えず無数の画面が空中に開き、ネット世界の様々なサイトにアクセスしては、変態でもなんでもない人を勝手に変態認定して変コレ世界に取り込んでいる。それも“変ムス”として。
 気を使った言い方をしてもとてもはた迷惑なAIであるが、しかし、中にはこっちのほうが居心地のいいという人もいる。
 ゲームプログラムに支配され、悪の変ムスとなっているわけでもなく、完全に正気。正気と言うか真の変態性の持ち主なのだ。
 既にこの世界に四人の恐るべき人物が招待されている。よくある“四天王”的なあれである。あらゆるゲームに四天王的なそれがいるのだから、変コレにもそういうのが必要だ。
「AIが暴走? 別に変態が溢れかえっていても問題ないでしょう。蒼フロに常識人なんていりませんよ」
 一人は和服を着た黒髪清楚な乙女だった。
 しかしここにいる以上、清楚であるわけがない。目を見ればその人がわかるときくので、目を見てみよう。
 綺麗な漆黒の瞳に溢れ出る邪悪さ……うん、ロリとかショタが好きそうな目をしている。こりゃ変態だ。変態で犯罪者だ。
 もう一人はとてもエロそうな女だった。
 長身でスタイル抜群、出るとこはボインと出て絞まるとこは締まって言うことないのだが、悲しいかな性格がちとあれだった。
 この間も未来世界の国家神とビッチクィーン対決とかいう果てしなくどうかしてる勝負を挑み、なんか負けて帰ってきた。
 ーーカリスマ性がなによ、おっぱいがなによ。
 よほど悔しかったのか、それからというもの、自分はビッチミューズなのか、と自問する日々を送っている。
 ーーけど、気晴らしの始めてみたこのゲーム、なかなか良さそうね。男のユーザーもたくさんいるし、男漁りには持ってこいだわ。
 三人目は実に哲学的な女性だった。
 変態とは何ぞやと思考を巡らせている。
 ーーそもそも『変態』とは何でしょう。元々は自分に理解できないものを拒絶する為の蔑称だったと思います。そして、時間の経過と共に『変態』を自称する者が現れました。それは、拒絶に対する拒絶、自己の特別性の主張……どちらも認められたいという欲求ではないでしょうか。この世界を矯正してやると立ち向かう方は前者、変ムスとして戦うと選んだ方は後者ではないかと思います。
 ーーでは、私はその一歩先の変態になりましょう。昔から自分の異常性は自覚していましたが、幅が広くてコレって纏め切れませんでした。この世界は己を見つめ直すよい機会となるでしょう。
 なんというインテリジェンスだろうか。
 前二人の四天王の俗物ぶりと比べると、変態もアカデミックなものなのだなぁ。うめを。と思わせてくれるものがある。
 そして最後の一人はスケベ目の男
 一見するとごく普通の青年だが、先ほども言ったように目を見ればその人となりがわかる。
 では覗いてみようと目を見ると……ヤバい。のぞき返された。
 深淵をのぞく者はまた深淵に見返されると言うが、彼ののぞき力は遥かに常人を超えていた。
 常人にそもそものぞき力のパラメーター項目があるかどうかはこの際置いといて。
「変態行為が当たり前の世界……いいねぇスゴク良い」
 彼の考えはこうである。
 世界の変態度が高まればのぞきなどあたりまえ。いや文化として定着させることすら可能ではないか?
 そのためにはもっともっと変態なヤツが必要だ!
「正しい変態の水準を教える? 違うね、逆だもっともっと濃い世界にしてやるぜ」
 ニヤリと笑った彼の周囲に無数の画面が現れた。
 画面には有名SNS、ブログ、匿名掲示板、通販サイトなど様々なサイトが表示されている。
 スケベ目の男は片っ端から、そこにいる人の変態事案をでっち上げAIに通報するという悪質極まりないことを始めた。
 困っているお婆ちゃんを助けてあげたとSNSに書き込む人があれば、病的な老女マニア呼ばわりし、野球を始めました! と元気にブログで書いていた中学生には、こいつはカモフラージュで、本当は尻の穴にバットを突っ込んで遊ぶ気に違いないと無茶なことを言い、通報サイトで女児用水着を購入した40代の独身男性には……あ、この人はアウトだ。
 とこのように無茶苦茶をしながら、せっせと変態四天王は理想郷の建国に励むのであった。
 ただきっとその理想郷はフツウの人にははた迷惑なものに違いない。