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激闘!?『変態コレクション(変コレ)』!

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激闘!?『変態コレクション(変コレ)』!

リアクション


【10】


「ここが、フルヘンタイムの森……。仮面ツァンダー武鎧の世界だね……」
「いや、違うと思うよ?」
「そうなの? でも、大体わかったよ」
 変コレ世界に降り立ったティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)は町を見回し一言。
 風森 巽(かぜもり・たつみ)と一緒に、2人は意識を囚われた子ども達を助けるため、変コレ世界に来たのである。
 子ども達はどこだ! と空京を模した町を探して回っていると、子どもよりも先にメイド服を着た男の娘が目に留まった。
 自称「ぼーいずめいど」のユーリ・ユリン(ゆーり・ゆりん)だ。
 囚われてしまったパートナー達を救出するため、ヴァーチャル世界に来た彼はきょろきょろと見回しながら歩いている。
「トリアもスコリアも母様もどこ行っちゃったんだろー?」
 ポリポリと頭を掻きながら歩いていると、ふと、通りの一角に見覚えのある3人を見つけた。
 トリア・クーシア(とりあ・くーしあ)フユ・スコリア(ふゆ・すこりあ)メアリア・ユリン(めありあ・ゆりん)の3人だ。
「なんだ、ここにいたんだ。探しちゃったよ」
 元気に声をかけるユーリだったが、3人は眉を八の字にして困ったことになったと言う。
「変ムス化しちゃってるみたいなのよね」
「ん? 変ムス化? なにそれ?」
「私は凍結や氷漬けが好きな変態にされてるみたい。ま、まぁ……ユーリをお遊びでよく凍らせてるから変な解釈されちゃったかしら?」
 元々、トリアは病的なショタコンなのだが、変ムス化することでますますその性癖が加速していた。
「でも正直、かわいい男の子や男の娘が氷に閉じ込められたり、冷たい氷像になったりすると内心ドキドキするのよね……むしろ好きかも!」
「と、トリア!?」
 トリアのレアリティ【コモン→アンコモン】にレベルアップ!
「スコリアはね、石化好きの変態だって。うーん……そーかもしれないね♪」
「す、スコリア!?」
「ホントは調教のつもりなんだけども……その……目覚めちゃったかもしれない」
 スコリアは男の娘に悪戯したくなる性分で「調教」という名の悪戯を仕掛ける悪癖の持ち主。
 最近では石化させる調教が増えてきたが、変ムス化によりその傾向が更に引き出された。
 スコリアのレアリティ【コモン→アンコモン】にレベルアップ!
「かーさまは水晶化好きの変態って解釈されているのですぅ。かーさまが男の娘が水晶化しちゃう同人誌を描いていたからですぅかね?」
「か、母様まで! どーしちゃったんだよ?」
 最近、趣味で描いたという、男の娘が水晶化する同人誌の影響だろうか。
 メアリアの変体性に「水晶化属性」が勝手に付け加えられていた。
「かーさまは石化も凍結も水晶化も、その他もろもろ彫像にされたかわいい子が好きですぅけどね〜」
 結構、影響されやすいタイプのようである。
 メアリアのレアリティ【コモン→アンコモン】にレベルアップ!
 3人とも様子がオカしい。まぁデフォルトで様子はオカしい3人だけど、今日はもっとオカしなことになっている。
「ユーリには内緒にしていた趣味だけど、ばれてしまっては仕方がないわ……」
「!?」
 トリアの身体が冷気を纏う。
「ブリザードで一気に凍らせてあげるわ! 覚悟して!! ユーリ!!!」
「な、なんで敵になっちゃってるの!?」
 氷漬けにせんと容赦なく放たれるブリザードを間一髪で躱すユーリ。
 けれど、今度はスコリアが前に。その目を妖しく光らせ、ペトリファイを打ってくる。
「ユーリちゃん、大人しくペトリファイを受けて! 覚悟ぉー!」
「なんでだよぉ!?」
 スコリアも完全に石にする気で本気で魔法を使ってくる。
 こっちも間一髪で回避したものの、しかしまだメアリアが残っている。
「……は! でも、水晶化する魔法なんて母様は使えないはず……!」
「でもここはヴァーチャル世界ですぅから、ヴァーチャル世界だから水晶化も可能ですぅよ。ユーリちゃん……」
「うわああっ!?」
 メアリアの放った光を受けた途端、ユーリの身体がぱきぱきと音を立てて水晶になっていく……!
「腕が水晶になっちゃった!?」
 慌てて逃げようとして案の定コケる。
「うわあっ! 腕が粉々にっ!!
 あわわ、と焦るユーリに3人娘はじりじりとにじりよる。
「君たち、それ以上はいけないっ!」
 巽が「とう!」と言うお約束の声とともにユーリの前に飛び出した。
 仮面ツァンダーアクションスーツに身を包み、マフラーをはためかせ、バシィとポーズを決める。
「蒼い空からやって来て、ネットの秩序を護る者! 仮面ツァンダーソークー1! ヴァーチャル世界に出張参上!!」
「ティアだよー」 
 とティアもこっそりアピール。
 なんだこの変な人、と珍獣を見るような目で見てくる3人娘にビシィと人差し指を突き付ける。
「変態だか変ムスだか知らないが、共に歩むべきパートナーを彫像化させるようなカオスな世界は間違っている! そんなことは……」
「タツミ、タツミ」
 ティアが裾を引っぱる。
「……なんだよ、ティア。今、こうカッコ良く決めようとしてるとこなのに」
「横見て、横」
「横?」
 巽の横にパラメータが表示されている。
 そこにはこんなことが書かれていた……「変態属性・女装ヒーロー」と。
「我も変ムス化されてるぅ!!」
 ガガーン!!
「なんだよ、この女装ヒーローって!! 女装、女装ってそんなに女装してねぇよ!! 19回しかしてねぇよ!! 女装しても、囮とか潜入捜査とかそういう理由があってだよ!」
「そうだよ! 女装したくて潜入捜査をしてる訳じゃないよ! 女装をばらして落胆する男の子の顔を見るのが好きなんだよ!!」
「ティアッ!?」
「違うの?」
 ピロリロリン♪
 巽に変態値が加算された。
「違うよ! そんな事考えてねぇよ! 普通に助けを求めてる人や子供達の為にヒーローやってんだよ!! 人類の自由と平和の為に戦ってるんだよ!! 子供達に夢と希望をみせる為にやってんだよ!!」
「そうだよ! 孤児院とかでヒーローショーするのは、子供達の為なんだよ! 慕ってくる子供達を吟味する為なんだよ!」
「ティィアァァァッッ!!??」
「違うの?」
 ピロリロリン♪
 更に変態値が加算された。
「いや確かに子供は好きだけど、LOVEの方じゃねぇよ!! LIKEの方だよ!! お稚児さん趣味とか幼女趣味とかじゃねぇよ! 妹と一緒くたにすんなよ!! てか、普通に同年代の恋人も居るよ!! 休みの日にデートだってしてるよ!」
「そうだよ! 従者装備されてるし命令されるのが好きなんだよ!!」
「ティアァァァァァツッ!!??」
「違うの?」
 ピロリロリン♪
 更に更に変態値が加算された。
「はっ、ははっ……も、もういい……」
 ヒーローは抵抗は無意味と悟った。
「認めてやんよ、全世界の子供の笑顔を見る為なら、何でも言う事を聞く、自意識過剰で! 女装好きな! 子供好きだってなぁっ!」
「そうだよ! 仮面ヒーローしてる時点でナルシストだよ!!」
 チャーラッチャラー♪
 巽のレアリティが【コモン→レア】に超絶レベルアップ!
「……ヒーローなら市民のささやかな趣味の邪魔をしないでよっ!」
「男の娘の調教専門だけど、邪魔するなら石にしちゃうよー」
 トリアはブリザードを、スコリアはペトリファイを繰り出してきた。
 しかし、そこはレア度が違う。巽には荒れ狂う吹雪も11月の北風の寒さ程度、石化魔法も肩がこる程度にしか効力をなさない。
 こんなもの会社員のパパさんが日々負う程度のダメージでしかない。
「恥も外聞も全てを振り切ったキックだよ! タツミ!!」
「うう……」
 巽は涙を振り切って跳躍。
 背中に雷光を背負って必殺のポーズ。
「ソゥッ! クゥッ! イナヅマァッッ!! キィィィィックッッッ!!」
 ズバババババーーン!!
 稲妻を纏って放たれるキックが、3人の立つ間に突き刺さった……その瞬間、電撃がほとばしり周囲を巻き込む。
「きゃあああああああーっ!!」
 バリバリ感電。ぷすぷすと頭のてっぺんから煙を昇らせ、変態3人娘はパタリパタリまたパタリと倒れた。