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リアクション
第14章 チキチキ俺とお前のバンジージャンプ
とにかく、死人を出さないこと!
企画者のレオーナ・ニムラヴス(れおーな・にむらゔす)はこれに重点を置いて道具や人員を配置した。
貸し出すロープが切れて自分じゃどうしようもなくなった挑戦者救済要員として、クレア・ラントレット(くれあ・らんとれっと)と幼き神獣の子を空中にスタンバイさせたのだ。
紅椿の髪飾りが赤毛によく似合っていた女の子を突き落したのは記憶に新しい。
ロープは途中で千切れたが、彼女は軽身功で無事に着地した。
中には、クレアにキャッチしてもらおうという不純な動機でわざとロープを切る者もいたが、神獣の子が代わりにキャッチ……はせずに突き飛ばしてクレアを汚い手から守っていたような記憶もある。
パラ実の落下地点は人型に地面が沈んでいた。彼は無事だった。
「やっぱりね、パラ実だもんね。大丈夫だと思ってたよ!」
ウンウンと頷くレオーナ。
珍しく今日はゴボウはお休みだ。
そろそろお客も途絶えた。
レオーナは、最後に飛ぶのは言い出しっぺの自分だと思っている。
種もみ学院の教室である屋上に設置した飛び込み台に立つと、地平線に少しずつ近づいていく夕日があった。
すべてが燃えるような色に染まっている。
「ふふふっ。もうじき今日が終わり明日が来る。明日が来れば明後日になり、永遠にその繰り返し。あたしもその時間の中にいて、思うままに泳ぐのよ!」
誰にともなく叫ぶと、レオーナはポンッと飛び込み台を蹴った。
ごうごうという風の音が耳元を駆け抜けていく。
レオーナはその轟音に負けないように声を張り上げた。
「来年も若葉分校と種もみ学院が続きますよーに!」
直後、ブチッとロープが切れた。
「ああっ、不吉な! あれ、不吉が迫ってんのはあたし!?」
若葉分校と種もみ学院がどうにかなる前に、レオーナがどうにかなってしまいそうだ。
「待って待ってー!」
叫ぶレオーナを空飛ぶ箒を飛ばしたクレアが受け止めた。
「あは……助かった……」
「レオーナ様……あなたって人は、もう。危うく空の藻屑として散るところでしたわよ。確かに、そのほうが世間は平和に……あ、いえ」
つい本音が出てしまいそうになり、咳払いでごまかすクレア。
「クレア、ありがと! 大好き!」
不意に、レオーナがクレアに抱き着いたかと思うと、軽くキスをした。
クレアはぽかんとして──涙が一筋こぼれた。
「あれ、そんなに嬉しかった? クレア、これからも一緒にいろんな冒険しようね」
無邪気なレオーナに対し、クレアの心はこう泣いていた。
(ファーストキスでしたのに……変態に……)
もう、この猛獣からは逃れられないのかもしれない。
神獣の子が何となく同情するような目でクレアを見ていた。
☆ ☆ ☆
学園祭も終了時間を迎え、各分校の生徒達は後片付けを始めた。
動物の仮装をしてダンスパーティ会場で演奏を終えたメンバーも、ほっと一息ついて着替えている。
「ふぅ、おもしろかったー! でもちょっと暑かったかな」
「はわ、アテナ、だいじょうぶ?」
エリシュカ・ルツィアに心配されるが、アテナは元気に、大丈夫と答えた。
「エリーは平気そうだね」
「エリーは、きぐるみのアルバイトもしたことあるから、へーき、だよ」
「そうなんだ。いろんなことやってるんだね」
エリシュカの意外なバイト経験を聞き、アテナは感心した。
ヤマネコの被り物を脱いだ
グロリアーナ・ライザもたっぷり汗をかいていた。
どうぞ、と
菊がタオルを差し出す。
「かなり小顔な動物の被り物だけあって、中も窮屈であったな。思いのほかフィットした」
「お疲れ様でした」
「そなたもな」
二人は穏やかな笑みを交わした。
アライグマの被り物をとった瑛菜の表情もすがすがしい。
ローザマリアがにっこりして言った。
「たまにはこういう趣向の演奏もおもしろいでしょう?」
「うん、すごく新鮮でよかったよ! またやりたいね」
このようなやり取りは、各出し物で行われていた。
そこに、チョウコの声が響き渡った。
「これから打ち上げやるぞー! 場所はサルヴィン川だ! カンゾーのデコトラが運ぶから、準備できたら乗ってくれ!」
主張するようにクラクションが鳴った。
種もみの塔にいた学院生や若葉分校生は回収済みである。
瑛菜達は急いで着替えをすませた。
馬車とデコトラで乗り込んだサルヴィン川では、すでに準備が整っていた。
おせーぞ、とブラヌにせっつかれながら缶ジュースを手にする。
「ここからは、俺らのための祭りだー!」
誰がそう叫んだのか、いっせいに缶のフタがあけられた。
その瞬間。
プシューッ!
なんと中身はすべてシェイク済みの炭酸飲料だった。
ワッと盛り上がった彼らは、大騒ぎしながら相手かまわず炭酸飲料をかけあう。
まるでシャンパンファイトだ。
後でベタベタになっても、すぐそこは川だ。問題ない。
うるさいと咎める者もいない。
彼らは心ゆくまで笑い、騒ぎ続けた。
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担当マスターより
▼担当マスター
川岸満里亜
▼マスターコメント
若葉分校、種もみ学院、合同学園祭『若葉種もみ祭』にお越し下さり、ありがとうございました。
担当マスターとページは以下となります。
川岸満里亜
1〜3、4(ごく一部)、11〜17
冷泉みのり
4〜10、18
続きまして、投票の結果を発表させていただきます!
●入賞した企画
・PC部門
『ケモミミ☆水中コイン落とし』
代表:遠野歌菜さん
願い:クリスマスに、若葉&種もみで楽しいパーティシナリオを!
次点『イケてる美男美女仮装コンテスト』
・NPC部門
『闘技場』
代表:イングリット・ネルソン
願い:そろそろわたくしも四天王に(略)
次点『ダンスパーティ』
●分校対決
『若葉分校の勝利』となりました。
若葉分校側のPCの代表は以下の4名の方です。
(番長、学園祭実行委員に立候補した方、させられた方)
吉永竜司さん
ユニコルノ・ディセッテさん
佐々布牡丹さん
関谷未憂さん
ガイドに載っている種もみ学院の代表のいずれか1名を指名し、1日奴隷とすることができます。
NPCを奴隷とする場合は、種もみ学院関係のシナリオでお願いいたします。
PC同士の場合は、双方合意の上で、川岸か冷泉のシナリオで実行してくださいませ。
■川岸満里亜
楽しい企画と行動ありがとうございました!
入賞企画ですが、両方ともダントツで票を集めていました。
それにしてもイングリット……。彼女は四天王になるべきだと、そいういう意味ですね!?
結果に、笑わせていただきました〜。
クリスマスシナリオの方ですが、現在冷泉マスターと相談中です。
素敵なご提案、ありがとうございました。
詳細が決定しましたら、マスターページでお知らせいたします!
■冷泉みのり
こんにちは、冷泉です。
当シナリオにご参加いただきありがとうございました!
種もみの塔、契約の泉、パレード(川岸マスターと共同)、エンディングを主に担当しました。
シナリオガイド公開時は、PC企画が何もなかったら寂しいなあ、と思っていましたが楽しい企画がいくつも出て、ホッと一安心してました。
リアクションに少しでも反映できていればと思います。
それではまた荒野でお会いしましょう。