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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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 セオボルト・フィッツジェラルド(せおぼると・ふぃっつじぇらるど)は、正座し、お茶を啜っていた。
 勿論、芋ケンピも健在だ。
 ここは――?
 コンロン、山、……
  
  
コンロン山へ
 
 ヒクーロで行動していた者の内、ミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)は、味方につけた雲賊らの一味とあたりをつけてその元凶を排除すべしと先行していた。
 ミューレリアに協力することで利潤を求められるのではと踏んだ雲賊は手持ちの小型飛空艇を出し、まずは空の滝に近づいてみた。すでにミューレリアも無論、近辺に住む雲賊らも周知の通り、滝は物凄い数の魔物で溢れていた。雲賊らに何かわからないか問うと、とにかく近づかないようにしており原因について考えたり調べてみたりしたことなどはない、とのことであった。
 空の滝……
「すごい数だにゃぁ」
 ミューレリアの足もとに身を隠しつつカカオ・カフェイン(かかお・かふぇいん)が言う。
 次々出てくる魔物に、ミューレリアや雲賊たちは常に戦闘中の状態だ。
「これ以上近づけませんな、ミューレリアの嬢ちゃん」
「仕方ないぜ」
「見たところ、滝の裏側に洞窟があるだとか、あるいは親玉がいるとかいう様子はねぇなあ」
 船は空の滝を離れ、川を遡って飛んでいく。
「滝の中に何もなければ、川の上流に何かあるんじゃないかにゃ?」
 飛沫に濡れた体をふるふるとしながら、カカオ。
「上流にあるものといえば?」
 ミューレリアは雲賊と話し合う。
「コンロンの火山……あまり行きたいとこじゃねえが」
 飛空艇はやがてコンロンの山の麓に到達する。
 炎を噴き上げているといわれるのはまだもっと高み。麓は、ひっそりと静まり返っていた。
 コンロンの山々……
 魔物の姿はない。
 しかし異様に不吉な感じがする。寒い、感じだ。
「こ、ここんなとこにいられねぇぜぇ」「かか帰ろう」「ミュミュミューレリアの嬢ちゃん。わ、わりぃ、俺たちはここまでだ」
「そんな。せっかくここまで来たのに帰ってしまうのか」
 しかし、
「な、何をしている??!」
 飛空艇が、ない?
「まっ、魔物の仕業か? ぶるぶる」
 見ると、色んなパーツが並べられ、ロボットか何かの設計図が置かれている。そして、リリウム・ホワイト(りりうむ・ほわいと)
「な、何をしている、のかな?」
「え。見ての通り、飛空艇を分解しているのですよ。これで今回のシナリオらしくイコンを製造し、魔物の親玉との戦いに備えようと思いまして。えい、がちゃがちゃ」
「……」「……」「……」
 あやしげな風が吹き始めた。ゴゴゴゴゴ……何かが、山の上の方から、転がり落ちてくる。
 
 
 
コンロン山・内部
 
 このコンロン山の内部では、セオボルト・フィッツジェラルド(せおぼると・ふぃっつじぇらるど)が、正座しお茶を啜っていた。
 勿論、芋ケンピも健在だ。
「紳士の嗜みですな」
 セオボルトは単身、コンロン山に向かい、コンロン山の軍閥と接触したのであった。ただ必死の思いで山を駆け上っていたように思う。「自分は……自分は……このままでは、このままでは駄目なのですっ」セオボルトは混乱し戸惑っていた。「ああッるねっでかると!」ワイバーンも悲しそうにセオボルトを見つめ叫びを木霊させるばかりであった。
 そして、コンロン山の内部に住んできたコンロンでも最も古い軍閥の者らと、出会ったのであった。
 緑色のちんちくりんのおかしな兵隊のような者たちだった。
「こ、こんにちは」
「???」
 言葉も通じない。
「???」
「ハ。ハハ。ハロゥ。自分、セオボルト。フィッツジェラルド。コ、コンロン……ロマン……芋ケンピ……はっ、そ、そうか」
 セオボルトは、芋ケンピを親愛の証として芋ケンピを差し出した。
 兵隊は、芋ケンピを……受け取った!
「お、おお。コレは携行性が高く、更に高カロリーで美味しいという素晴らしいソウルフードなので気に入って頂ければ幸いです!」
 よかったぁ。
 そしてセオボルトは謎の兵隊たちに連行され、
「え、アレ? れ、連行?」
 大きなちんちくりんの兵隊の王様のもとへ突き出されたのである。洞窟の奥にぽつりとした玉座、そしてその前に畳が敷かれている。
「ちょ、ちょっと乱暴ですな(設定も何だか乱暴ですな。まだ煮詰まってないのでは?!)。
 それはそうと、どうもはじめまして。
 自分、セオボルト・フィッツジェラルドと申す者。お世話になったお礼ということで、芋ケンピ以外にも何か力になれることはないでしょうかな?」
 セオボルトは正座し問うた。
「コンロン山中に住み着いた魔物」
「ほう……(結局普通に喋りましたな。)このセオボルトに、聞かせて頂けませぬかな?!」
 こうしてお茶が運ばれてきて、芋ケンピをおやつに親交は深められた。
 コンロン山の軍閥は、ミロクシャを護る兵としての役割を古くから担ってきた。しかし、相次ぐ紛争に、そしてコンロン山の異変に、姿を山中深くへと隠してしまった、のだという。一時、コンロン山に溢れた死者たちは、今はボーローキョーを作り移り住み、あるいはコンロンの各地にと彷徨い出していった。
 しかし今度は、コンロン山に上り来る死者を食らう化け物が住み着いた。化け物は死者を食らい続け今では巨大化し、兵を差し向けても討てない。化け物は死者を食らい、卵を産み続け、それがコンロンの川に無尽蔵に流れ出し邪悪な魔物をコンロンの空や海に放つ原因となっているのであろうと。
「むむ。ふむう……そ、そうですな」
 セオボルトはお茶をずず、と啜り考え込む。
「芋ケンピでも食し、考えると致しましょうか」
「コンロン山中に住み着いた魔物。討ってくれますな」
「…………エ?」