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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第2回)

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魔王軍招聘
 
 それはまるで、白いキャンバスに垂らされた鮮やかな色彩だった。
 雪原を進むのは魔王ことジークフリート。
 そして、彼に従う魔王軍の面々。
 シオン・ブランシュ(しおん・ぶらんしゅ)ノストラダムス・大預言書(のすとらだむす・だいよげんしょ)
クリームヒルト・ブルグント(くりーむひると・ぶるぐんと)の三人だ。
 教導団に協力者という形として同行してきた彼らだが、西王母を狙い、独自の行動を開始していた。
 狙うのは、当然――
「くっくっくっ。我ら魔王軍がユーレミカと世界樹を手に入れるのだ!」
 ジークフリートが押し殺し切れない笑い声を漏らせば、心酔するシオンがそれを讃えるように彼の名を呼ぶ。
「魔王様、魔王様、魔王様ぁ〜〜〜〜〜〜。ユーレミカのボスの居場所は私が必ずや突き止めてごらんにいれます」
 笑うシオンの口元から可愛らしくも鋭く禍々しくもある八重歯が覗いた。
「期待しているぜ。教導団よりも先にユーレミカに辿り着き、機を窺うのだ。 奴らと土地の者はおそらくぶつかる。
その乱戦に乗じて……」
 何事かを起こす心積もりなのだ。と言っても荒事を起こす気はない。
 全ては話し合い――駆け引きによって自分の望む結果を得ようとしているのだ。
「――例えば、教導団と手を結べば、対価として女性でも男性用水着の着用を強要される可能性がある――とな。
 これはかなりに効く話であろうよ」
 至極真面目な顔でノストラダムスは己が出す予定のカードを示す。
 その事例は如何なものかと思うが、確かに要求されたくはない対価である。
「そう。我ら魔王軍と手を結ぶことこそが最良と知らしめるのだ。頼んだぞ、シオン、ノス、クリームヒルト」
「はい。魔王様」
「ええ。ジーク」
「……状況次第だが、ルイーゼへの連絡。それから、ジーク。お前の守りは任せておけ」
 三人の答えに満足気な笑みを浮かべると、ジークフリートは楽しげな笑い声を上げた。
 と、そこにのんびりとした声が。
「こんにちは〜。魔王軍の皆さん。我らが軍師マリーさんが呼んでいるのですぅ〜」
 四人が振り返るとそこにはもふもふぞりを駆る教導団世界樹班と西王母への捧げ物(?)が立っていた。
 そう。ここは視界を遮るものは何もない大雪原。そして、声は風に乗って運ばれてしまう。
 雪に埋もれることない色彩と通る笑い声は、彼らの居場所をあっさりと教えてしまった。
「くっ……。俺としたことがっ」
「……コンロンの未来。予言し難きことだとは思っていたが……よもや……」
 こうして、魔王軍は否応なく教導団に招聘されたのであった。