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リアクション
インテグラル・ルーク3
ついにルークは湖の中心部、遺跡からもはるか離れた位置へと至った。ルーク討伐隊が一斉に動き始める。柊 真司(ひいらぎ・しんじ)のゴスホークはヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)が操作するレーザービットで飛んでくるイレイザー魚雷を迎撃、撃ちもらし多分は真司がプラズマライフルと内蔵ブレードで迎撃し、ポイントシフトによる瞬間移動でインテグラル・ルークとの間をつめる。ルークの闇雲な攻撃をディメンションサイトの空間把握と行動予測を駆使しての必要最低限の動きで回避し、あるいは G.C.Sによる空間歪曲場を展開して防御しながら、ルーク頭頂部の老人に向けてプラズマライフルを連射しながら、レーザービットによるオールレンジ攻撃を仕掛けていく。
「まずは小手調べ、ってとこだがな」
ヴェルリアが攻撃の中でルークの攻撃パターンや回避パターンをディメンションサイトで観察、収集・分析し、真司に伝える。
「老人には攻撃が通らないようです。ルーク本体部分にはある程度効いているようですが……」
サブパイロットのヴェルリアは機体の状況や索敵等の情報管制、レーザービットの操作、BMIによる超能力を使った補助を行っている。プラズマライフルの攻撃に苛立ったような触手の攻撃をアブソリュート・ゼロの氷壁を盾として直撃を回避した。
「回避成功、期待への損傷はゼロです」
リーラ・タイルヒュン(りーら・たいるひゅん)は今回もパイロットスーツの代わりに真司に装備されており、状況をモニターしながら何かあったときは真司の体を護る役割だ。
「しかし何回見てもルークって気持ちのいいもんじゃないね〜。
なーんか生き物のテキトーな寄せ集めみたいでさ〜」
特に今することもないので、リーラはモニターに映る敵を眺めて感想を述べた。
ゴスホーク同様、富永 佐那(とみなが・さな)のザーヴィスチも白兵戦特化の機体を、その出力の高さに裏打ちされた機動力を駆使してルークに迫る。
「さぁ、始めましょう。イコンとインテグラルの、とんでもない戦いって奴を!」
佐那が言った。
「出撃前にピーピング・ビーをザーヴィスチの背中に埋め込んでみたけど、効果は特にないのね……」
エレナ・リューリク(えれな・りゅーりく)は呟き、ディテクトエビルとイナンナの加護で周囲の敵意の探知に集中することにした。白兵戦時に最も留意すべき早めの回避を念頭に置く。同時にエネルギーの残存エネルギーのチェックも行う。敵中で身動きが取れない状況に陥るなど、愚の骨頂である。また同時に機晶支援AIシューニャの補佐を得て、ルークの動きの分析を行い、最も効果的な攻撃を叩き込むのに、ルークの隙が出来る状況の予測も行っている。
「ヴィサルガ・プラナヴァハを使用した際に最大の効果が得られるようお膳立てをしますわ。、任せてくださいな」
ザーヴィスチはウィッチクラフトライフルで牽制射撃を行いながらルークに向かう。魚雷のうち破壊しきれない分を嵐の儀式で機体をを囲う風の壁を作り出し、直撃を避ける。読み取りづらいよう回避行動は不規則に行いながら、急加速と最大速力を行いルークの側面へと間合いをつめる。佐那は大型超高周波ブレードでルークの目を狙って突きを入れ、深追いはせずすぐに回避、ヒットアンドアウェイの戦法を取る。柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)は扶桑からルークを見た。
「100m級のルークとか笑うしかねぇなぁ。
グランツ教のガーディアンといい、最近は超大型ユニットが流行か?
あのルークのサイズだと覚醒無しのイコンじゃ火力が足りねぇ、だからってただヴィサルガ使うのもつまんねぇよなぁ。
ああ、せっかくだし扶桑で特攻するか。
今四番艦造ってる最中だから、ここで三番艦使い潰しちまうのも悪くねぇな。
どうせ使い潰すんだからイレイザー魚雷が被弾しても無視でいい。採掘用ドリル展開して思いっきりぶち込んでやる。
自爆装置でビックバンブラストとスーパーオリュンポスキャノンを誘爆させ、扶桑諸々吹っ飛ばしてやろうじゃねえか。
俺は自爆装置起動と同時に脱出装置も起動させ、ブリッジごと安全圏まで脱出。
これなら以前の機動要塞特攻よりはスマートに事が運ぶだろ」
扶桑は飛来する魚雷を気にすることもなく、まっすぐルークへと向かってゆく。
桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)はレーヴァテインを駆りながら、改めてルークをしげしげと見つめた。
「王都で倒したときよりも遥かに巨大だが、そんなことは関係ない。
未来への道を切り開く障害となるのなら、どんな敵だろうと切り伏せるのみ。ここで立ち止まるわけには行かない!」
機晶ブレード搭載型ライフルによる射撃で、ザーヴィスチが狙ったと同じ目を、ピンポイントで攻撃する。巨大な敵ゆえ、攻撃箇所を絞り確実にダメージを蓄積させるべきだと考えていたからだ。以前宮殿前でレナトゥスの捕縛されていたルークを撃破したときと同様頭部を狙うように動く。エヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)は前回戦ったルークのデータを確認しつつ戦闘サポートを行っている。大きく旋回したとき、全身に光輝を纏う老人が、レナトゥスのように半身をルークから突き出しているのが見えた。
「あれがルークやこれまで襲ってきたインテグラルを操っていたのか?」
攻撃しながらも、老人に外部スピーカーで問いかける煉。
「何故こんな戦いを仕掛ける?」
「……全ての大陸は昔から光条世界の監視下にあるのだ。光条世界へ向かわせぬためにわしはお前たちを止めていたというのに……。
全てはわしら監視者の手の内にあったのも気付かず生きるものどもよ。
お前たちはこのメーテウスの教えた力によって文明を築いて来たに過ぎない……。
ニルヴァーナとパラミタはわしとビアーが向こうへの情報を遮断しておったからこそ、ここまで生き延びてきたのだ」
「ビアー……?」
「わしと共にこの世界に置かれた光条世界の監視者の一人だ。
常々光条世界が求めている安定に疑問を持っていたわしは、ビアーに唆され光条世界に反旗を翻らせた。
……そう、古代ニルヴァーナ文明に知を与えたのだ……。
しかし、古代ニルヴァーナは光条世界への道を開いた際、門番たる軍勢によって滅び去り、わし自身も罰を受けた」
「……ビアーはどうなった?」
「……ビアーは……古代ニルヴァーナ滅亡後、すぐにわしの元から姿をくらましおった」
苦々しげに言い、老人は憔悴しきった顔を上げた。
「お前たちが光条世界へ向かえば、もはや未来に希望はありはせん。あるのはただ破壊のみ……。
大人しく、光条世界から与えられる滅びと再生の輪廻に身を預けるがいい……」
「例え進むべき道の先が見えなくてもその先に希望があると信じて俺達は進むだけだ。
どんな障害が待ち受けていようとも、な。
あんたみたいに先にあるものに怯え、歩みを止めるつもりは……ない!」
エヴァが重ねて呼びかける。
「未来がどうなるかなんて誰にもわかりはしねぇさ。
だからこそ、指くわえて何もしないんじゃなくて先へ先へと進むんだよ! その先に未来があると信じて……な!」
「愚かな……」
ため息のような呟きを老人が返すと同時に、ルークの頭部の角にエネルギーが集中しはじめるのが見えた。煉がヴィサルガ・プラナヴァハを使い機体を覚醒させる。
「限界を超えろ、レーヴァテイン! 俺達が進むべき未来を切り開くために……!」
同時にエヴァがリミッターを解除。急所狙いとダメージ上昇を併用し、使い全力の一撃を放つ準備と、限界までこの状態を保つべく出力調整に専念する。レーヴァテインは最大出力のデュランダルを抜き放ち巨大ルークを切り刻みながら上昇し、ルークの頭上を抜けたところで更に上へとのぼり神武刀・布都御霊を抜き放ち、降下による加速を加え、ファイナルイコンソードを角から巨大ルークを真っ二つにせんと全力で加速し切り付け続ける。同時に紅龍もヴィサルガで覚醒、クローラの機体が紅龍をカバーする動きで同様に覚醒し、冷凍ビームと対INT用スタンを紅龍が狙う胴部に見舞う。
「あまり無茶はしないようにな、董少尉」
紅龍は腰や腹を急所狙いに併せてダメージ増加で抉るように切り込む。切り込みにポッドとランチャーに搭載してあるミサイルを纏めて捻じ込むように打ち込んだ。スティンガーが薄く笑った。
「コレなら避けれないだろ」
蓮華が加速を併用し全速離脱するしながら起爆ミサイルを起爆する。
「その頑丈さは中からの爆発にもキクかしら……ね」
ゴスホークがエナジーバーストによる突撃からブレード部分にパイロキネシスの炎を纏わせ、赤熱したブレードで斬りかかる。同時に覚醒とリミッター解除を行い、ファイナルイコンソードが微動だにしていないかのような速さで同じ腹部の一点に突きを入れ続ける。ザーヴィスチがヴィサルガ・プラナヴァハを使い、覚醒した。
「制限時間は20分……ルークを倒すのに15分、テメレーアに辿り着くまで5分ね。 今日の私は、軍神スヴャトヴィートすら凌駕する存在です!」
佐那が嵐の儀式で起こした竜巻に機体を乗せ、回転を加えながら爪先に装備した新式ダブルビームサーベルでファイナルイコンソードによる強烈な回し蹴りを放つと、そこにカイザー・ガン・ブツがファイナルイコンソードを見舞う。
「天誅ッ!!!」
恭也の扶桑がまっすぐに苦悶するようなルークに突っ込んでゆき、胴体部に採掘用ドリルが深々と突き刺さる。
「これぞお家芸、カミカゼアタック!ってな。まぁ、しっかり脱出するんだが。
これが終わったら新造艦完成急がねぇとなぁ」
ビックバンブラストとスーパーオリュンポスキャノンが誘爆し、全員の攻撃とあいまって目もくらむような閃光と共に大爆発を起こした。全機の離脱を確認すると、アピスが巨大イレイザーから高出力のビームをルークの胴めがけて追撃を行う。
胴部を粉砕され、その生命活動を維持しきれなくなったルークから輝く老人がゆらりと分離した。その姿はしなびて萎れ、人の姿をしたなにかの残渣のようだった。老人は顔を上げ、契約者たちに語りかけた。
「光条世界へ行くならばその目でしかと絶望を見よ。
裏切り者ビアーよ、どうせあの小娘がそのあたりで聞いておるのだろう?
ヒトの子らよ!
世界には知らぬほうが幸せなこともあると知るがいい……。
愚かなものたちよ……禁断の扉を開け! そのとき希望とは絶望であると知るだろう」
老人は両腕を開き、狂ったように哄笑した。笑い声は次第に弱まり、その姿も声と共に薄らいでゆき、細かな光の霧となって湖の水に溶け去った。
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