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リアクション
*
(女王器がホントにあったらゲットだぜ。寺院にもお飾り女王にも渡すもんか)
皆で集まって探索している様子を見て、ミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)は思う。他の者たちやモンスターに遭遇しないよう特殊なフィルターを貼った布を被った彼女の姿は誰にも見つかっていない様子だ。
スキルを使うことで獣の耳と尻尾が生えた彼女は獣特有の感覚と第六感で、女王器のありそうなところを探す。遺跡の奥の方から宝がありそうな気配を感じ取れば、早速向かった。
通路の左右に並ぶ扉。一番奥から二番目の左側から、ミューレリアは宝の気配を感じ取っていた。扉に手をかけてみると、鍵がかかっているようだ。ピッキングの能力で、扉を破壊することなく、鍵を開けるよう試す。手ごたえを感じたところでノブを捻ると、扉は開いた。
開いた扉の先にあるのは、所狭しと並べられた防具の数々。どれが女王器なのかは分からないけれど、この部屋からは宝がありそうな気配が強い。この中のどれかがそうなのであろう、と感じた。
けれど、ミューレリアはその防具らに近付くでもなく、扉の影に隠れて、様子を見ることにした。中身が求める女王器であれば、入手した人が油断するか奪い合いが始まるかして生まれた隙に持ち去ろうというのだ。
「次はこの部屋ですぅ」
「明日香さん、お待ちください。……大丈夫、罠はなさそうですわ」
扉の向こうでやり取りが聞こえてきたのも束の間、開かれた扉から入ってきたのは、神代 明日香(かみしろ・あすか)とパートナーの神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)、エリス・ノーディス(えりす・のーでぃす)の3人だ。
「防具庫みたいだね。少し埃っぽい」
エリスは部屋の中から埃の匂いを感じて、口元を手で覆う。
「この中に女王器があるのでしょうかぁ?」
明日香は首を傾げた。どちらにせよ、エメネアに報告すべきだろうと思い、彼女はすぅっと息を吸い込む。
「エメネアさーん! こちらに、それらしきものがたくさんありますーぅ!」
叫んで報告した後、彼女の下へと持っていこうとしていた明日香たちであるが、並ぶ防具の数々にどれを持って行けばよいのか分からず、その場で待つことにする。
暫し待った後、護衛の学生たちと共に、エメネアが部屋へと入ってきた。扉の影に隠れたままのミューレリアは出て行くタイミングを見計らう。
「……防具としては状態も良さそうですし、価値あるものかもしれません。けれど、これが女王器かと問われれば、そのような気はしません」
首を横に振るエメネアに一同、肩を落とした。
地上1階に残るは2つの部屋。そこに階下への階段があるのだろうか。
既に残る部屋の探索を始めている学生たちの後を追い、エメネアたちも防具庫を出て行く。ミューレリアも他の学生たちに気付かれないよう気をつけながら、扉の影から出た。
(金目のモンは頂くぜ)
エメネアの護衛をしていた姫宮 和希(ひめみや・かずき)は、防具庫を去る際、小さめの篭手を荷物へと忍ばせた。
金目のものを持ち帰り、パラ実イリヤ分校や孤児院の運営資金へと宛てようと思っているのだ。
もちろん、女王器のネタがガセかもしれないと思っているけれど、本当に女王器があるというのであれば、それもエメネアの護衛をしながら近付いて、奪う気で居る。
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