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PV作ろうぜ!

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 カメラは、比賀一の姿に切り替わった。
「さて、これで俺と御空のサシの対決になったわけだ」
 ……あぁ、何で俺がリボルバー使ってるのか、だろ? 弾詰まりもないし、弾が不発ってもハンマー引くだけで対応できるからさ」
「装弾数やリロードの手間とかで、自動拳銃に比べるとデメリットの方が多くありませんか?」
というサイファスの声が問いかける。
「構造が単純で扱いも簡単。それは大きな強みだろう?」
 一は地面に這いつくばると、匍匐前進を始めた。
「……さて、このゲームを終わらせに行こうか。あいつの残弾は、クドを釘付けにするので8割方消費しているはずだ」
「数えてらしたんですか?」
「もちろん。彼がクドの制服に使ったのはクロスファイアに弾幕援護、弾をバラまくスキルだ。弾数が決まっているこういう状況じゃ、うかつに使うべきじゃなかったな」
 植え込みの間を這って抜けていく様は、蛇のようだった。右手には銃、左手で落ちていた枝をかざしながら、匍匐前進を続ける一。
 ある程度進んだ所で、銃声が鳴った。一の近くに、何度か弾着。
 「かちっ」という弾切れの音が聞こえた。
「――無駄撃ちして自分の位置をバラした挙げ句、弾切れまでアナウンスか? らしくないな」
 一は態勢を変えた。膝を立て、腰を浮かし、低姿勢で小走りに移動。
 が、その目前に人影が突然起き上がった。
「!」
 反応して数発射撃、全弾胴体に命中するも、
「うあっ! 痛い痛い痛い!」
 それはリタイアした藤堂裄人の体だった。
「! 藤堂! ゾンビ化はルール違反……っ!?」
 その後ろから銃口が覗き、比賀に向けて「スプレーショット」。比賀、全身に弾の雨を浴びる。
 地面に再び倒れる裄人の後ろには、天司御空が立っていた。
 ――御空の弾切れは本当だった。ただし、藤堂の「死体」がある場所まで移動してから、わざとその音を立てて比賀の油断を誘い、まだ残弾数のある藤堂の拳銃に持ち替えて、スキル「殺気看破」で比賀の接近を読んだのだ。
 が、奏音の宣言はこんなものだった。
「天司、反則負け。無効試合」
「……ちょっと待て審判! 蜂の巣にされたのは俺の方だぞ!?」
 一の講義に、奏音は答えた。
「藤堂さんの銃への持ち替えは、『弾の補給はなし』というこのサバイバルゲームの規則に抵触すると判断しました。また、「死体」を盾として活用したのもイリーガルと判断します」
 周辺に転がってる「死体」の面々が起き上がり、プラカードを掲げた。
 『こんな事になる前に、入って良かった銃撃戦闘研究会!』。
 奏音のナレーションが入った。
「当部は天御柱学園だけでなく、蒼空学園、空京大学の方の入部もお待ちしています」
 画面に文字が被さった。
天御柱学院銃撃戦闘研究会    銃撃戦闘研究会  >検索」 



「このPVについて、顧問の先生から何か一言」
 司会が差し出してきたマイクにアルテッツァ・ゾディアック(あるてっつぁ・ぞでぃあっく)は答えた。
「ボクがやったのは、裏庭使用の許可を取る為の手続きくらいなものです。あとは生徒達が自由に動いた、という感じですね。日頃の鍛錬の成果、見せて貰いました、見事なものです……ほら、君も何か言いなさい」
 話を振られたヴェルディー作曲 レクイエム(う゛ぇるでぃさっきょく・れくいえむ)は、「うーん」と少し唸った後に、
「魅せる動きをしてって言ったけど、ブッシュ内での匍匐前進ばかりの戦闘になったのは誤算だったわねぇ? 天司ちゃんの『死体を盾にする』のはなかなか面白い発想だったわ」
「天司さん、評価されてますね。何か一言」
「結局負けちゃいましたから、何も言う事は……あ、藤堂くん。2回も殺しちゃってごめん」
 天司の横に座っていた裄人はボソリと呟いた。
「……死体でも役に立てて良かったよ」

「ふーむ」
 葉月 エリィ(はづき・えりぃ)が腕組みをして唸った。
「どうかされましたか?」
「いや、今のPVなんだけどさ」
 訊ねてくるエレナ・フェンリル(えれな・ふぇんりる)に、エリィは両手の人差し指を立てて見せた。
「『魅せる動き』だったら、屋内戦の方が良かったんじゃないかな、って」
 言いながら、両方の人差し指を揺らす。二丁拳銃を撃ちまくってる真似だ。
「カバーリング用の大道具小道具とかもできるし、戦術だって立体的にできるじゃん?」
「見ている方への負担も大きいんじゃないでしょうか? どっちチームの誰がどこにいて、こういう戦術を取っている、なんて把握は結構面倒くさいのでは?」
「そっかー。難しいなぁ」