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インターネット放送・イルユリラジオ

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第1章 さぁ〜笑いましょう〜イルユリラジオ

 チャンチャンチャラーラ〜ラン・・・ジャッジャジャンジャンジャララン、ダダンダンダンッダダンダッダダン♪
「笑って微笑んでイルユルラジオ!いよいよ放送が始まったね。ご飯中や今からおはよーっていう人も、ごゆっくりお聴きてね〜」
 最初のパーソナティーのミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)が、元気にタイトルコールをする。
 ワン・ツー・スリー・フォー・カモーンッ♪
「はっぴにゅう〜♪ミーナ・リンドバーグだよ!今日は第1回目だね。ちょっと緊張してるけど頑張るよっ。まずは1つ目の質問だね、投稿者SMさんからです」
 お便りを読む時は相手の名前を“さん”づけで言わなきゃな、とお便りを読み始める。
 読まれている本人は、佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)の料理を食べたかなったな、と思いながら自宅で元旦の準備をしている。
「え、もしかして・・・」
 その彼はいつ読まれるのかとドキドキしながら待っていた。
「もしあなたが朝起きたら、ほにゃららになっていたらどうする?のコーナだよっ。もしあなたが朝起きたら、制服がチャイナ服になっていたらどうする?えぇえ〜っ、これはうーんどうしようね」
 SMからの投稿内容にミーナは顔を真っ赤にして考え込む。
「しかもスリットが入っているんだね。そうだねぇ、えーっとミーナは・・・お洋服が風邪引いちゃったと学校に連絡して休むかも」
「か、風邪ってどういうこと!?」
 意外な返しに投稿者の本人が驚きの声を上げる。
「スリットのせいでスースーするから、それで風邪をね。だって冬場は寒いし・・・」
「そういうことなんだね。なんかちょっと変わった回答だなぁ」
 ちょい逃げのような回答に気づかず聴く。
「やっぱり元旦は皆揃っておせちを食べたいわよね。つぎ、まことんそれ入れて?」
 お料理メモ 『四季の旬・仁の味』(おりょうりめも・しきのしゅんじんのみ)もラジオを聴きながら、まな板の上にあるやつを鍋に入れるように椎名 真(しいな・まこと)に言う。
「うん、結構いっぱい刻んだね」
 四季に言われた真は、鍋にぱぱっとみょうがを入れる。
「私もちょっとお手伝いをしようかしら?」
「ううん、四季さんは椅子に座ってのんびりしていてよ」
「ちょっと、せっかく手伝ってあげようって言ってるのに、失礼ねぇっ」
 さらっと言われた彼女はムッとした顔をする。
 2人が料理をしている中、ミーナは次の質問を読もうとラジオ放送を進行させる。
「次はアイテムの悩み相談のコーナーだね。投稿者名、血色執事服さんからだよ。ご主人様がマゾいのですぐぼろぼろに・・・しかも着ないのがあるのに購買三種買い占めたうえザナトゥの執事服もほしいと・・・。この前は仲間が燃やされましたよ、どうにかして!」
「この執事服さん大変だな・・・いったい誰の持ち物なんだか」
 誰が投稿したのかまったく気づかず、真は他人事のように言う。
「んー・・・これは、執事服のマニアなのかなぁ?どうにかって・・・、Gの無駄使いはよくないよ?・・・って言ってあげて。さっきのチャイナ服じゃないけど、お財布も寒くて風邪ひいちゃうかもしれないからね。年末年始は何かと入用だし・・・。買うなら自分のおこづかで払える程度にして・・・とか?そんな感じかな・・・」
 その相手が聴いているか分からないミーナは、遠慮なくズバズバ言い放つ。
「確かに、そんなの自分のおこづかで買うものだよね」
 四季の刺すような殺気に気づかず、ミーナの答えにうんうんと頷く。
「あぁ、もう終わりの時間がきちゃった。じゃぁ、また2回目があるか分からないけど、会える日を楽しみにしてるよ。パーソナリティー、ミーナ・リンドバーグでお送りしたよ♪」
 ミーナはカフを下げるとラジオ終了のBGMが流れ始め、だんだんと曲のボリュームが小さくなり放送を終えた。



「んー・・・ネットからの質問があればいいと思ったけど、ないか・・・」
 本番前、特技情報通信を使い七尾 蒼也(ななお・そうや)はネットから質問を拾おうと思ったが、それらしいのはあまり見つからなかった。
「しょうがないからこれでいいや」
 見つけた質問内容をプリンターで印刷し、ペルディータ・マイナ(ぺるでぃーた・まいな)に渡す。
「じゃあ俺はSEを担当するから、音響の部屋の方にいくからな。ちゃんと尺守ってよ」
 彼女の付き添いで来た彼は隣の部屋へ入る。
「それではラジオ放送を始めます!」
 蒼也のサインを見てペルディータがカフを上げる。
「今年はクリスマススタンプラリーがありましたね♪参加してくださった方、ありがとうございました」
 ラジオを通して参加してくれた人々にお礼を言う。
「イルミンスールでは、野球拳をやったりもしましたね。皆さん、お楽しみいただけたでしょうか?」
 今年の出来事を原稿に書き、それを読んだ後にダイジェストをまとめて簡単に伝える。
「えーと、ここでBGMを・・・」
 蒼也はラジオ放送に曲を流そうとミキサーを操作する。
 ♪せいやせいや やおりゃー!せいやせいや やお・・・。
「わっ、誰だ“ジェイダスマーチ”入れた奴は!放送禁止だ!」
 まったく違うBGMが流れてしまい、慌ててサウンドのボリュームを下げて止める。
「蒼也さん、用意してる曲が間違ってるよ?」
「お、俺か!?ご、ごめん・・・」
 サウンドをミスチョイスしてしまい、何事かと目をしばたかせる桜井 静香(さくらい・しずか)に謝る。
「えーっと何か放送事故があったようですが、気にせず進めますね。温泉食堂“ゐる民”ではローカルルールの“うっふん☆”のスタンプを集めた方には抽選で、世界樹の湯の入浴券かゐる民のお食事券を差し上げてます。そしてサイコロで6のゾロを出した特賞の方には、ユニークアイテムプレゼント!」
 まったく質問に答えず脱線し始めた彼女は、バイト先の宣伝まで始めてしまう。
「あの・・・蒼也さん。この番組では皆からのお便りにある質問は答えないのかな?」
「―・・・え、あっそうだ!まったくペルのやつ、俺が渡した原稿をまったく読んでないじゃないか。ていうかもう尺が・・・!」
 小さな声音で静香に言われ、彼は時間を見て慌てふためく。
 トゥットゥーーーッ!!
 蒼也はSEを鳴らして質問を読むように伝える。
「お正月も皆さんに楽しんでいただきたいです♪お休みにはぜひ、ゐる民へいらしてくださいっ」
 しかし彼女はSEを聞き流して空気を読まず、本来の流れとはまったく違うことを話続ける。
 ジュァッ、ヘァアァアーッ!!
「え、何か今、飛び立ったような音が聞こえましたね」
「(早く次ぎいって!まいてまいてっ)」
 ガラス越しから画用紙に“尺がないからその話題を終わらせるんだ”という文字を書き、ペルディータに見せる。
「あっ・・・時間がありないんですか。もうちょっと話したいんですけど、ネットの質問を答えますね」
 脱線しまくった彼女は放送終了ギリギリに、蒼也にもらった原稿をやっと見る。
「今年の抱負を聞かせてください、ですか。えーっと抱負ですか。今年も、推理研のみんなと事件を解決したいです♪もっとお話ししたいですが、そろそろお別れの時間がやってまいりました。また機会がありましたらお会いしましょう、ペルディータ・マイナでした♪」
 カフを下げてペルディータは番組を終わらせた。