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夢は≪猫耳メイドの機晶姫≫でしょう!?

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夢は≪猫耳メイドの機晶姫≫でしょう!?

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「喫茶店の手伝いとは聞いていたが……どうしてこうなったのだ」
 東園寺 雄軒(とうえんじ・ゆうけん)は執事服を着て、店員として働いていた。雄軒はてっきり手伝いとは喫茶店の内装だけだと勘違いしていたため、この状況には不服だった。
 正確には店員として働くことより、自分がしている格好が嫌なのだった。
 雄軒はさすがにメイド服は似合わないということで、執事服で勘弁してもらったのだが、ミスティーアに逆らえず、猫耳と尻尾は回避できなかった。
 しきりにため息を吐く雄軒。するといきなり少女化した月詠 司(つくよみ・つかさ)に背中を叩かれた。
「雄軒くん。男ならしゃっきとしなきゃだめなの! 諦めて一緒に頑張ろうなの!」
「はぁ……そうですね」
 雄軒は(本当の姿はともかく)女の子に励まされるとは我ながら情けないと思った。
「そういえば、あなたはいいのですか?」
「何がなのかな? ツカサはこの服が似合ってるから、手伝えて嬉しいの!」
「ま、本人が言うのならいいのでしょうけど……」
 雄軒は部屋の片隅でカメラを回すシオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)月詠 ヒカリ(つくよみ・ひかり)を見つけ、さりげなくツカサに合掌を送った。


「ねぇ、これどう似合ってる?」
 ケイ・フリグ(けい・ふりぐ)は出来立てのメイド服と猫耳と尻尾を着用し、クロイス・シド(くろいす・しど)の前で回って見せた。
「おおぉぉぉぉ、サイッコォォウだぜ!!」
 興奮のあまり机をたたくクロイスの様子にケイは恥ずかしそうしていた。
 そこへソフィア・クレメント(そふぃあ・くれめんと)が慣れないメイドの仕事でぎこちない動きを見せながらクロイスの所へ水を運んでくる。
 この時、クロイスの直観的にそれを感じ取った。
「これは絶対来る!」
 クロイスは股を大きく開いてこれから起きるイベントを待った。
 そして――
「あっ」
 ――ソフィアが転んだ。
 水はクロイスの頭にきっちりかかり、そこから垂れる水はしっかり股の間に落ちる。
「も、申し訳ありませんです、じゃ、じゃなくて、申し訳ない、にゃ、にゃん」
 初めてのことすぎて戸惑うソフィア。クロイスはそんなソフィアの手を掴んで言った。
「ありがとう!」
「へ?」
「俺、このイベント、一回やってみたかったんだよ」
「え、えっと……タオル持ってきますね」
 目を輝かせて語るクロイスから逃げるようにソフィアは厨房に走って行った。
 すると、入れ変わるようにスカサハ・オイフェウス(すかさは・おいふぇうす)がオムライスを運んでくる。
「作ってみたであります! ぜひ味見して欲しいであります!」
「オーケー、オーケー、メイドさんの手作りならどんな料理だって食べるぜ」
 メイドさんに囲まれニコニコ嬉しそうするクロイスは、スプーンでオムライスを救って食べた。
 その様子をケイはムスッとした表情で見ていた。
 すると、クロイスの表情が一気に苦しそうなものになっていく。
「あの……これ何……すごく、あれなんだけど……」
 顔面を青く染めたクロイスは、水を飲むためテーブルを探るが、そこにはソフィアが溢して空になったグラスしかない。
 死にそうになっていたクロイスの目の前にケイが水の入ったグラスを置いた。
「ケイ……」
「いいから飲んだらいいよ」
 クロイスは天使のような微笑みを見せるケイに心の中で感謝しながら水を一気に飲み干した。
「ぷっは〜。いきかえっ……!??!」
 クロイスの腹が妙な音を立てて痛みだした。
「あ、あのケイさん……これ、なにか入ってませんでしか?」
「うん。下剤入り」
「@*#&%$……!?!?!?」
 クロイスは悪魔の微笑みに変わったケイに見送られ、トイレに駆け込んだ。


「くぅぅ〜、三人もメイドさんに囲まれて羨ましいであります」
 大洞 剛太郎(おおほら・ごうたろう)は近くの席からクロイスは様子を見ていた。
 剛太郎はなぜか自分の周りにくるのは男か鎧ばかりで全然華がないと感じていた。
 すると、向かいのテーブルでミスティーアが注文を取っていた。
 剛太郎はその後ろ姿に見惚れた。
「魅力的であります。……ちょっとだけなら」
 そっと剛太郎はミスティーアのお尻に手を伸ばす。
「……いたっ!」
 だが、途中でミスティーア本人に気づかれてしまい、剛太郎の手は思いっきりをはじまれてしまった。
「お客様、お触りは厳禁ですので……」
 冷たい目で見下しくるミスティーア。その横にはいつの間にかバルトが立っていた。
「お仕置きですわ。……これがカリスマの一撃!」
 剛太郎はバルトに掴まれ席を立たされると、腹に鉄拳要請を入れられた。
 仰向けに倒れる剛太郎。すると傍に雄軒がやってきた。
「申し訳ありませんが、あなたには見せしめになっていただきます」
 そう言って雄軒は剛太郎に機晶スタンガンを押し当て、店内に絶叫が響き渡った。
「……完了です」
「こら!」
 黒こげになった剛太郎を見下していた雄軒の頭をタキシード姿の五十嵐 理沙(いがらし・りさ)が叩いた。
「お客様をこんなになるまで攻撃してどうするんだよ。心得ってやつを教えてあげるよ」
 理沙は雄軒を説教するため、店の奥へと引っ張っていく。
 雄軒は思った今日はとことんついてない。