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【蒼フロ2周年記念】ちっぱい教の野望

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【蒼フロ2周年記念】ちっぱい教の野望
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 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)はたまたま休みが一緒なった李 梅琳(り・めいりん)を誘って、ショッピングモールに買い物に来ていた。

「はぁ、またサイズが大きくなってる……もう市販の可愛い水着は着れないし、また特注を頼んでおかないと」
「まだまだ成長期のようね。それともダリルさんに毎日マッサージしてもらっているのかしら?」
「な!?」
『胸に思い入れは無い』

 個室のフィッティングルームから聞こえてくる話題を、ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)はきっぱり否定した。

「じゃ、何処よ?」
『足かな』
「へぇ、ダリルさんって足フェチなのね」
「うん、ルカも意外だった。脚線美や絶対領域にグッとくるとか?」
『瞬発力や機動力を支える重要部分だ。機能的で強靭な足は評価されるべきだろう?』
「分かったような分からないような……」
「機能性重視、というのも、ダリルさんらしいと言えばらしいわね」

 ダリルの意外な応えに、ルカルカと梅琳は微苦笑した。
 空京で一般的に市販されているブラジャーや水着のサイズはJカップ程度までで、それ以上は特注になる。Hカップ以上を爆乳と呼称する場合が多いが、ルカルカの胸は市販品では収まらないサイズのようだ。
 余談だが、泉美緒と、彼女と瓜二つのエンヘドゥ・ニヌアはQカップ、ハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)がPカップと言われている。ルカルカは3人に次いで、くらいではないかと思われる。

「(胸胸胸と……気にしてる事ですのに……)」

 梅琳の護衛を買って出て、フィッティングルームの前に立っているニケ・グラウコーピス(にけ・ぐらうこーぴす)は表情には出さないものの、内心複雑な心境だった。
 純白のワンピースに身を包んでいるが、スレンダーさに密かに劣等感のある彼女は、無意識のうちに自分の胸に手を重ねていた。

「その仕種、いい!」
「やっぱり清楚なちっぱいは何をしても絵になるよな!」
「俺、この人の胸に抱かれて死んでもいい」
「あ、ありがとう、ございます」

 突然、見ず知らずの男性達に褒められ、ほわわんと嬉しくなってしまったニケは思わずお礼を言っていた。

「先程の放送のちっぱい教の同志達か」
「きぬーに鉄槌を!」

 いち早く察知したダリルは【氷術】で薄い氷壁を作り、フィッティングルームへ行かせないようにする。

「きょぬーにはきょぬーの悩みがあるのよ! 好きででかくなったんじゃな〜い!
 苦労あるのよ大変なのよ、全てのきょぬーがきょぬーを肯定してる訳じゃない!
 肩は凝るし、戦うのに邪魔で邪魔で! 邪魔でっ!
 貴様にこの苦しみが分かるかあ!」

 ニケとお揃いの純白のワンピース姿のルカルカが、【物質化・非物質化】で物質化したイナンナの石像を振り回しながらフィッティングルームから飛び出してきた。イナンナの石像もバストが本人より2〜3割増しで造られているため、きょぬーと言えよう。
 魂の主張を叫びながら、猛打爆発で同志達を次々お星様にしてゆく。

「いかん」
「え!? きゃう! 何この液……」
「ルカルカさんが石に!? このまま倒れると砕けるわ!」

 ダリルとニケ、梅琳のサポートもあって、同志達を粗方お星様にしたルカルカだが、如何せん熱くなりすぎていた。
 同志の1人が投げた薬瓶が、ルカルカの攻撃モーションが終わったところに飛来し、彼女は回避できないまま液を頭からもろに被ってしまったのだ。
 たちまち灰色く色を濁し、冷たく固くなってゆくルカルカ。しかも、イナンナの石像を振り回していたから、慣性の法則に従い、石化した身体は振り回していた勢いをそのままに床に叩き付けられようとしていた。
 自分の攻撃力が自分に跳ね返ってくるのだ。然しものルカルカもきょぬーだけではなく全身が砕け散りかねない。
 石化した身体が砕け散れば……即座に反応したダリルと梅琳が、辛うじてヘッドスライディングの体勢で背中でルカルカの石像を受け止めた。

「ルカを石化させたことできょぬーに鉄槌を加えた、と思うなら、命があるうちに降参しとけ。今のラッキーヒットは二度と起こらない」

 いささか締まらない格好ではあるが、ダリルが残った同志を見上げながらそう勧告すると、同志は這々の体で去っていった。
 もちろん、ラッキーヒットなどありはしない。今のはルカルカの慢心が招いた種のだが、どうやら上手くいったようだ。

「お急ぎですのね……あ、ルカを治しませんと」
「早めにお願いするわ。ルカルカさんの石像、胸の分があってかなり重いから」
「胸が大きいと、石化するとその分重くなるのですね」

 同志を見送るニケにルカルカの石像の下から、梅琳が苦笑しながら言った。