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演習終わって



 その後――


 ルカルカから戦闘を総括した評価が入る。
「敵のミサイルを防ぎきるのが一番の難題だったけど、みんなよく頑張ったね。特に杏さんはすごかったよ」
「だが、さすがに単騎駆けは無謀だったな。もっと仲間を頼ったほうがいい」
 ダリルが言葉を続ける。
「……わかってるわよ」
 杏はぷいっとそっぽを向いてそう言った。
「基本的に戦争ってのは2割から3割がダメージを受ければそれで壊滅したと言われるほどの打撃を受けるし、その意味では今回は全滅はさせられなかったけど2割以上は倒しているからその意味でも作戦は成功だね。あと敵の大将を落としたのも賢い選択だった。敵の大将は名のある指揮官って設定でしょ? ってことは敵は指揮官に依存しているわけで、指揮官を失ったらあとは為す術もなく潰走するしかないのよね。二重の意味で良い戦術でした」
「大量の敵と戦ってもそれを全滅させる必要がないってのは覚えておいたほうがいいな。2割のダメージを与えればいい。それか、指揮官を最優先で落とすか。リュートはそれを狙っていたようだが今回鶴翼の時に指揮官を狙ってまっすぐ突っ込んできていたら中央突破をされるふりをして背面展開の半包囲網を敷こうとしていたから、鶴翼を包囲の危機ではなく敵が分散したとして各個撃破してくる戦術は良かった」
「あと、最後にとった戦術は車掛って呼ばれる戦術だね。部隊ごとに攻めては後退してを繰り返す。上杉謙信が川中島の戦いで使ったとして有名だけど、高機動のイコンならでは取れる戦術だよね」
 それからもルカルカとダリルが軍人としての視点から評価とアドバイスを入れていく。

「それにしてもサクラ、敵の大将を知っていたっぽいけど相手は何ものなの?」
 美羽が尋ねるとサクラは
「彼は、私の初恋の人です。もちろん、今は聡さんが一番だけど……。それはともかく、アシュレイ・ピースロッドは私と同じタシガン出身の吸血鬼で、まあ、外見はダンディな美中年ですね。しょっちゅう旅に出ていたのですが、ある日『ようやく、仕えるべき主人を見つけた』というとタシガンを去って行方不明になりました。その後のことはよくわかりませんが、鏖殺寺院の幹部になっていたようです。もちろん、瑣末な記憶はたくさんありますが、500年近くの私の記憶を語っても退屈なだけでしょう……ともあれ、彼が敵であるという事実には変わりありませんので、そこらへんのことを語るのは拒否させて頂きます」
「そっか……サクラちゃんも大変なんだね」
 加夜がそう言うと
「そうでもないですよ。持って行くべき気持ちに方向がつきましたから」
 とサクラは言った。
(「カノンの次はサクラがヤンデレか……」)
 リカインはそう考えてため息を付いた。



担当マスターより

▼担当マスター

樹 和寿

▼マスターコメント

 こんにちは。あるいはこんばんは。樹です。
 今回はなかなかに困難な条件下でしたがなんとか勝利できました。
 判定の途中ではプレイヤー側が敗北するエンドも考えていただけに嬉しいです。

 そして、ワンポイントアドバイス。
 樹のシナリオでは戦場や敵の戦術などは可能な限りOPに書いています。たまに想定外のアクション(戦場の時間を指定していないのに「暗闇だからダークビジョンを使う」)がありますが基本的にOPに書いていないことは想定しなくてかまいません。
 逆にOPに書いてあることを想定してアクションをかけてくださると活躍する確率が高くなると思います。
 今回で言えば加夜さんが密集した敵に爆弾で攻撃するとかですね。敵の陣形の情報があるわけでそれをもう少しうまく利用して欲しかったと思います。