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リアクション
序章:人工海岸の擬人化美女
「そこの可愛いお嬢さん、少し散歩でもしながら近くの喫茶店でお茶でもしませんか?」
柚木 桂輔(ゆずき・けいすけ)が『絶世の美女』に声をかける。『絶世の美女』は優雅に桂輔に振り返る。
「その大形ビームキャノン。あんた”ブルースロート”だよね」
「ええ、そうですわ」
「どう? 原稿から3次元世界へ飛び出してきた気分は」
「わたくし、遠藤 寿子(えんどう・ひさこ)さんの作品に出るのは初めてなんですけれど……イーグリット様とアサルト様が――」
「知ってるよ。イーグリットとアサルトに言い寄られてるんだよね?」
「……はい。それで……原稿から飛び出してきてしまったんですの」
空京の人工海岸に寄せる波を物憂げな瞳でブルスロートが見つめる。
「あんたを放っておけなくなる気持ち、俺にもわかるよ。今は」
桂輔はブルスロートを見つめながら、そっとその手を握った。
「桂輔! やっぱり”ブルースロート”をナンパしてるじゃない!」
アルマ・ライラック(あるま・らいらっく)は桂輔を叱り飛ばした。
「『探し出して連絡する』なんて言ってたけど。どうせナンパが目的だってわかってたけど!」
「いや、ちょっとお話を聞きたいなって思うだろ? 思わないか? だって二次元から出てきた擬人化イコンなんだぜ?」
「――桂輔。寿子から連絡もらってまっしぐらに”ブルスロート”のいるここに来たわよね」
「男の擬人化イコンになんて興味ない!」
「け・い・す・け。今日は一緒に買い物に行く約束だったでしょう?」
”ブルースロート”にアルマが目をやると”彼女”は優しそうに微笑んでいる。
――確かに。こんな美人相手じゃ”コームラント”という恋人がいる設定の”イーグリット”くんも心揺れるわよね。
「どうもウチの桂輔がお騒がせしました。さぁ買い物に行きますよ」
ブルースロートは優雅に桂輔とアルマに手を振った。背に負う大形ビームキャノンが海岸の日差しをきらきらと反射していた。
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【キャラクターDATA:イーグリット】
シリーズの主人公で美少年。コームラントが恋人♪
その美しさゆえ他のイコン達にしょっちゅう狙われている。
今回はブルースロート先輩に心を奪われてしまっている。
武装:ビームサーベル
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【キャラクターDATA:イーグリットアサルト】
通称アサルト。シニカルな青年。他校生。今回が初登場。
コームラントからイーグリットを奪おうとしているが、実はブルースロートも狙っている。
武装:ダブルビームサーベル。”両刀使いイーグリットアサルト”
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【キャラクターDATA:ブルースロート】
イーグリットやアサルトの先輩で傾国の美女。今回が初登場。
お淑やかで誰にでも優しく、擬人化イコン達のマドンナ的存在で、イーグリットも思わず心を奪われてしまうくらい。
でも意中の相手は(ないしょ☆)
武装:大形ビームキャノン
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「で、これがボクの『魔法のインク』を使って描いた原稿から具現化した3体の”擬人化イコンの設定”ってわけ……か」
アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)は遠藤寿子の描いた原稿と『ネタ帳』を見ながらため息をつく。
「ボクの作った『魔法のインク』は”どんなペンでもなめらかな描き心地で、乾きが早い”画期的なインクなんだが……
『魔法少女の力』を発揮した状態でこの『魔法のインク』を使うと『描いたものが具現化』してしまうとはなぁ……
ま、しかし、吹き出しの中の言葉まで持っていかれなくてよかったよ。ね?」
アイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう)がアゾートと声を合わせて言う。
「こんなBLで18禁」
「同人、BLは心の糧。必須栄養素なの! おねがい〜新刊落としたくないの〜」
「寿子さんの座右の銘は『同人誌との出会いは』一期一会ですものね」
「冬の祭典に間に合わせるとなると……描き直していては落ちてしまうね。具現化した3体に戻ってもらうのが手っ取り早い。
でも、彼らにダメージを与えてしまうと原稿にもダメージが出ちゃう。極力戦闘は避けたいところだけど……」
アゾートが原稿の白抜きシルエットを指さして続ける。
「おっかないのはこの武装だよ! 彼ら、これも装備された状態で具現化してるからね?
特にアサルト! この性格だと一番武力を行使しそうだよ!」
「ダブルビームサーベルだから”両刀”の設定です☆」
「そっちを行使されても困るけど! まぁ、ドンパチやる内容の原稿じゃないから。
恋愛ストーリーだから……危険性はないとは言えないけれど低いことを願うよ」
アゾート・ワルプルギスは天御柱学院女子寮内の寿子の部屋を後にした。
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