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リアクション
「敵襲ゥッ!!」
再び敵の進行が来たのはグレン達が抜け出してから一時間ほどが経ってからだった。
「あらら。交渉は失敗? それとも……」
「言ってる暇はないでしょう。迎撃でますよ」
といって出るのは佐々木 真彦(ささき・まさひこ)やらカリン・シェフィールド(かりん・しぇふぃーるど)。が、その二人をあえて呼び止める。
「ん〜? どうしたんだよ。さっさと出たほうがいいんじゃないかい?」
「ま、それもそうなんだけどね〜。ちと、正面から馬鹿正直に防衛だけをするってのも消耗が激しいから、何人か連れて遊撃に回ってくれない?」
「今のままじゃジリ貧ってのかい?」
「えぇ、すでに戦力として見込めない人も出ちゃったしね〜」
主にチャームポイント。
「あ、要はさ! 敵を足止めできればいいんだろ?」
「? まぁ、そうなるわね……」
「んじゃ、いい考えがある! ちょっといってくるわ!!」
「あ!? って、ちょっと待ちなさいよ!?」
「思い立ったが吉日! メイ、いくよ!!」
「ふえぇ!? ちょ、ちょっとまってよぉ〜!?」
相方のメイ・ベンフォード(めい・べんふぉーど)を引きつれ、いきなり森の奥へと突っ走っていくカリン。その行動力と突飛さは、ある意味パラ実らしいといえばらしい。
「え〜……? ……んじゃ、あなたお願いね〜」
「わ、私ですか!?」
んで、改めて振られた真彦はどうしてよいか、途方にくれるのみであった。
まぁ、冒頭に至った経緯はこのような感じである。回復の要であったメイベル・ポーターもぶっ倒れ、これから一手討たねば大惨事という状態になってしまっているのである。
そして打開策を打つために、
「遊撃隊を組んだということですか」
「すいません。けど、現状どうしてもこちらがジリ貧でして……」
と、ざっと自分達が多少弄った森の地図を広げる真彦。それを覗き込む人間の数は八。広げた当人に真希、ユズ、アリーセ、鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)、宮辺 九郎(みやべ・くろう)、樹月 刀真(きづき・とうま)、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)。
「今、北側の比較的開けているところからこちらへの進行がありますが、こちらに仕掛けたブービーは一回目の進行でほぼ使い切った形になります」
地図の上に「Enemy」と書かれた矢印の形をした厚紙をおき、自分達の陣営へと地図上部から降下させ、単純に現状を示し、発動し終わったトラップに罰印をつけていく。
「じゃぁ、俺たちは進行してくる彼等を左右に分かれてこう、挟み込むんですね?」
と、刀真が「Convoy」書かれた厚紙を、「Enemy」の左右から挟むように動かす。
「いや、それでは駄目だな。北からしか敵が来ていないというのは現状でしかない。なら、遊撃と哨戒をかね、多少時間がかかっても南を哨戒しつつ大きく外をまわり、敵の後続を断つべきだ」
とは真一郎。
「成程。しかし、それじゃまどろっこしくはないか? 敵の後続を討つまでにこっちの本陣がやられちまうかもしれねぇ。二分して哨戒と遊撃を分けちまったほうがいいと俺は思うがね」
が、九郎がちと気になる点を指摘する。地図ではそこらへんは分かりにくいが、森は入り組んでいるし、自分たちが仕掛けたトラップがごまんとある。そして、存外に距離もある。
「それなんだが、今こちらは通信がとれない状況になっている。パートナー同士でも、だ」
「なに?」
「ぬぅ……。よし、月夜。ちと携帯をだしてくれ」
「はい……」
と、二人してすぐ近場で通信を試みようとするが、
「わ、本当に駄目だ……。まるで通じていねぇ……」
「ですね……。これは、「情報撹乱」でしょうか? 誰か意図的にこちらを引っ掻き回そうとしている……?」
「まぁ、そういうわけなんですよ。敵の集団と遭遇した場合撃破、もしくは撤退できるだけの戦力を持っておきたいとすると、どうにも」
「ふふん? つまりは現保有戦力が増えればいいということなのだろう?」
突如降ってくる超上から目線の台詞。しかして視線は上向きマリアルイゼ・アントールナン(まりあるいぜ・あんとーるなん)がパートナーの孫 紅麗(すん・ほんりー)を引きつれ、えらい大仰に現れた。
「少々護衛だ観察だは、飽きてきておったところでのう。なに、わしの持つライジングトリガーなら後退戦も比較的容易であろうよ」
などといいながら彼女が取り出すのは、デリンジャーよりも一回り大きい程度の拳銃型の光条兵器であった。
「手が足りんのだろう? ならばあまり断る理由もなかろうよ?」
魅惑的な提案であり、確かにいけるかもしれんと少し考える。しかし、まだ少々戦力が足りないかもしらんと、ギリギリのところでどうしたもんかと頭を捻っていると、
「あぁ、あちらの方ですよ。トラップの指揮をとられていたのは。すいません、少しいいでしょうか?」
「アリーセさんにお目通りしたい方がいらっしゃるそうで」
と、やってきたのは久沙凪 ゆう(くさなぎ・ゆう)とカティア・グレイス(かてぃあ・ぐれいす)のコンビ。
「? いかがいたしました?」
「いや〜、悪いね。お兄さんどうにも面白いことに首突っ込みたくなっちゃう性質でさ」
えらくヨレた感じのする男がゆうの後ろからのっそりと姿を現す。
「いや〜、お兄さん東條 カガチ(とうじょう・かがち)っていうんだけどもね。ここらで面白いことやってるて聞いたからさ。ちょっとドラゴンの脱皮見る手伝いしようと思ったのよ」
と、ヘラヘラ笑いながら言う彼を見て、最初の八人は口をそろえた。
『そろった』
「「はい?」」
首を捻るゆうにカティア。カガチは面白くなってきたと口元を緩めていた。
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