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リアクション
「あはははははは! あの程度の小細工にこうも簡単に引っかかってくれるなんて、ホント人間ってバカよね! ……それとも、あたしが天才過ぎるのかしらー♪ ……まあ、どっちでもいいわ。このままイルミンスールまで一直線よ!」
自らの策――まずは均等に配置した魔物で襲わせ、陣の中でどこが薄いかを見極める→次に自らを模した氷像を、魔物を指揮しているように見せかけ、最も薄い戦力以外の集団の間に向かわせる→援軍が出切ったところで、自らが最も薄い陣を破ってイルミンスールへ向かう――が見事にハマったことに、カヤノはすっかり上機嫌であった。
「わらわは四代三公の名門袁家の本初――むぐむぐっ!?」
飛び荒ぶ氷柱を掻い潜り、高笑いと共に名乗りを上げようとした袁紹 本初(えんしょう・ほんしょ)を、慌てて志方 綾乃(しかた・あやの)が抱きとめ、安全な場所に避難する。
「ぷわあっ!! お、おぬし何をする、敵に背を向けるとは何たることか!」
「あの、そうはおっしゃられてもですね、流石にこの状況下では私たちが圧倒的に不利です。ですからここは無闇に突出せず、できるだけこのラインを維持して、援軍を待った方が得策だと思うんです」
「うぬぬ……悔しいが、非常に悔しいが、おぬしの発言は的を得ておる。おぬしの発言を意に介さぬということは、わらわが阿呆であることの証明になってしまうからの。仕方ない、ここは耐えるとするかの」
「分かっていただきありがとうございます。もちろんそう易々と行かせるわけには……!」
言って綾乃が、近付いてくる魔物の懐に箒に乗ったままで近付き、鋭い一撃を見舞って即座に撤退する。
「おお、流石じゃのー! ……しかしおぬし、先程から何ゆえ、わらわの頭に触れておるのじゃ?」
「それはですね、何と言いますか本能といいますか、ちっちゃくてかわいくて胸が小さい女の子は愛でたくなるといいますか――」
「お、お、お、おぬし〜! 一つばかりか四つもわらわの言われたくないことを言いおってーーー! 許さん、今日こそは許さん、切り捨ててくれるわーーー!」
何とも賑やかな様子の二人に負けず劣らず、こちらも相当な賑やかぶりを披露していた。
「えぇい! やはりこんな人形なぞいくら倒しても気が晴れんわ! ……出て来いカヤノ! 居るのは判っているんだぞ!」
「……そなた、どうして明後日の方角を向いてしゃべっておるのじゃ?」
「いつものことです、お気になさらず」
物陰に潜みながら、息巻くブレイズ・カーマイクル(ぶれいず・かーまいくる)にロージー・テレジア(ろーじー・てれじあ)と成田 甲斐姫(なりた・かいひめ)のどこか容赦ないツッコミが入る。
「クッ……! 鬱憤を晴らす絶好の機会ではあるが、タイミングが悪すぎるわ! いかに僕の魔法が優れていようと、多勢に無勢ではどうにもならん!」
「確かにそうじゃが……じゃが、この危機を乗り越えた暁には、そなたは天下にその名を轟かせることができるのではないか? やはりこの機会は絶好の機会ではないのか?」
「ぐぐぐ……だが、僕一人でカヤノを相手にできるとは流石に――」
「……一人ではありませんよ、ブレイズ。それに、カヤノを相手しろとは言っていません。取り巻きの魔物の足を止めるだけでも、十分なのではないですか?」
状況に押されかけていたブレイズに、ロージーと甲斐姫が励ますように言葉を投げかける。
「……フン! 女二人に諭されて、黙っている僕とでも思ったのか!? よかろう、全力で相手してやる!」
いつもの尊大な態度を取り戻したブレイズの背後で、「……のう、これでよかったのか?」「ええ、十分です」という会話は、ブレイズの耳には届いていないようだ。
「カヤノ! 貴様を倒してこの戦いに幕を引いてやる! 何をしているロージー、甲斐姫、行くぞ!」
「了解しました……」
「ふふふ、血が滾るのう。わしの弓でことごとく射抜いてくれようぞ!」
三人が飛び出し、それぞれ得意な戦法でもって魔物と対峙する。一旦戦う気になれば相応の実力を持つ者たちの交戦により、魔物は予定外の遅滞を余儀なくされていた。
「崩れかかってる防衛線に駆けつける我……遅れた分だけ最初っからクライマックス、といきたいところですが……状況は予想以上に逼迫していますね」
呟いた風森 巽(かぜもり・たつみ)の顔のすぐ傍を氷柱が通り過ぎ、擦れた皮膚から紅い液体が滲み出る。
「でもでも、ここからがボクたちのほんりょーはっき、だよね!?」
「そうじゃぞ坊主、コレも修行のうちじゃ。腑抜けていてはわしがへばってしまうぞ?」
ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)の癒しの力が巽の傷を癒し、菩提 達摩(ぼーでぃ・だるま)のかもし出す気が、巽にこの今にも決壊しかかっている堤防の『壁』となる意思、そして力を与える。
「言われなくても、一匹たりとてここから先には進ませねぇよ。アイツも、アイツの通うこの学校も護り抜くんだからな!」
ティアから光り輝く日本刀を受け取り、一振りして構えたその先には、数匹の護衛に護られた少女、カヤノが微笑と共に佇んでいた。
「もうちょっと楽に通り抜けられるかと思ったけど、まあこんなこともあるわよね。……知的な時間はオシマイ。ここからはあたしの力の時間よ!」
言ってカヤノが、挨拶代わりに冷気を放出する。並大抵の者など到底立っていられないほどの冷気を、しかし冒険者たちは自らの意思で何とか耐え抜く。
「相手をこちらに引きつけます。皆さんは今の内に部隊の立て直しを!」
防衛ラインを維持する仲間の冒険者に一言告げて、巽が果敢に前へ踏み込んでいく。
「さてと、童共に活躍の場を譲るためにも、ここはひとつ奮起してやるとするかのう」
巽よりも先に魔物の群れに飛び込んだ達摩が、見かけからは想像もつかないほどのキレのあるパンチを繰り出し、魔物を翻弄する。
「老師ばかりに相手させては、我の立場がなくなるな!」
ワンテンポ後に飛び込んだ巽が、今までの遅れを取り戻すかのごとく獅子奮迅の働きを見せる。
「巽もじーちゃんもがんばってー!」
ティアの加護の力が、巽と達摩により鋭く、より強力な攻撃を可能にさせる。二人の活躍に刺激されたのか、他の冒険者も徐々に動きを取り戻し、崩れかけていた防衛ラインが機能し始めてきた。
「起き抜けのところに失礼だけど、もう少しだけ眠っていて頂戴!」
しかし、魔物の後ろで準備を完了したカヤノが両手を前方にかざせば、そこから絶対零度の氷雪が放射される。冒険者も、そして魔物すらも巻き込んで全てを凍りつかせんかの如く暴れ回る冷気に、冒険者が翻弄されていく。
「んふふー、やっぱあたしって天才よねー♪ じゃ、通らせてもらおうかしら――」
「ちょっと待てーーーい!!」
突如空中から声が響いたかと思うと、冒険者、そしてカヤノの上空から『何か』が落ちてきた。それは敵味方関係なく全てを吹き飛ばして着地――胴体の部分が地面に接地――する。
「パラミタ刑事シャンバラン!! イルミンスールの危機にただいま参上!! お前が今回の事件の首謀者だな!! このシャンバランの目が黒い内は、たった一つの悪事さえも見逃さんぞ!!」
「正義さん、黒いサンバイザーで目が見えません! ていうか落ち着いてください、おかしいテンションになってますよ!?」
「まぁまぁ、坊主はあれでいいんじゃないかい? わしらは黙って成り行きを見守っておればいいんじゃよ」
上空から飛来してきたのはいんすます ぽに夫(いんすます・ぽにお)のパートナー、メカ ダゴーン(めか・だごーん)であり、その胸の辺りに神代 正義(かみしろ・まさよし)が真ん中、大神 愛(おおかみ・あい)と猫花 源次郎(ねこばな・げんじろう)が両脇を固める形で位置し、カヤノを指差して高らかに叫んだ。
「ちょっと何なのよコレは!? ……よく見れば、この前あたしの邪魔をしてくれたヤツにどことなく似てるわね。……ていうか何よその図体、規格外もいいところじゃない!! ちゃんとマニュアル読んだの!?」
「規則や法律などヒーローには関係ない!! ヒーローは常に不可能を可能にするのだからな!!」
「ムチャクチャな理論を恥ずかしげもなく言ってんじゃないわよこのバカ! そんなんだから空気読めって言われるのよ!!」
「バカで上等! 空気なぞ不要! 正義を愛する心がありさえすれば、ヒーローに余計なモノは一切無用!!」
正義とカヤノの、もう全然かみ合ってない会話が繰り広げられる中、メカ ダゴーンの足元で哀れにも正義に蹴り落とされたぽに夫が、何やら喚いていた。
「早く降りなさい! お母さんが悲しみますよ! そうでなくてもヒーローなんて自称する者たちは大抵ネタ扱い――」
「ええい五月蝿い!! 話が通じなければ拳で伝えるのみ!! 行けメカ!! 胸から超極太のビームを発射する『シャンバランテンクウバスター』で粉砕せよ!!」
「そんなものこれには付いてませんよ正義さん! それにそのネーミングはいくらなんでも危険です!!」
「まぁまぁ、あるならあるでよし、ないならないでそれもよしじゃろ」
宥める愛とただ見守る源次郎、そして正義は目の前にあるスイッチだの何だのを操作するが、メカ ダゴーンはそれとはまったく関係なく明後日の方向にパンチを繰り出すのみ。
「――ちょっと無視しないでください! まったく、なんて攻撃の仕方ですか。信仰が足りません、もっと祈りなさい」
ぽに夫が祈りを捧げる仕草を見せる中、
「ヒーローの一撃が、全てに終わりを告げるのだ!!」
勝手な理論をまくし立てて、正義がスイッチの一つにパンチを見舞う。直後、メカ ダゴーンが両腕をガッツポーズするように上げ、胸元の何でできているかよく分からないモノに光が集まっていく。
「ふはははは!! 見ろ、やはりヒーローは不可能を可能にするのだ!!」
「……正義さん、あたしとっても嫌な予感がするんですけど……もし正義さんの言う武器が発射されたとして、あたしたちはどうなるんですか!?」
「まぁまぁ、なるようになるじゃろ――」
源次郎と愛、そして正義が光に包まれていく。そして、メカ ダゴーンの胸元から、超極太の『シャンバランテンクウバスター』が放たれた。
「おお……僕の祈りが通じたのですね!!」
歓喜の声をあげるぽに夫の視界には、攻撃を終え動かなくなったメカ ダゴーン、そして空に一瞬の煌きを放った三つの星が映り込む――。
ありがとう、シャンバラン!! ありがとう、メカ ダゴーン!!
君たちの活躍で、イルミンスールは救われた……かもしれない。
「まったく、大したことなかったくせに時間だけは稼いでくれちゃって、あたしの予定がもうメチャクチャよ」
愚痴を垂れるカヤノの耳に、新たな足音が近付いてくるのが聞こえてくる。それが一つだけではないことに気付いたカヤノの表情から、先程までの余裕に満ちた色は影を潜めていた。
(何やら凄いことになっているようなので来てみたけど、どうやら正解だったみたいだね! ここで少しでもカッコいいところを見せられれば、ボクの知名度も上がるかな?)
先程の戦闘の様子を目撃して駆け付けたらしいはるかぜ らいむ(はるかぜ・らいむ)が、これ好機とばかりに勇み武器を手にする。
「連絡を受けて急行した甲斐がありましたね。ジェニス、狭霧、行きますよ」
「いよぉし! あたしに任せとけってんだ!」
「参ります……!」
同じく現場に現れた篠北 礼香(しのきた・れいか)、ジェニス・コンジュマジャ(じぇにす・こんじゅまじゃ)に氷翠 狭霧(ひすい・さぎり)が、それぞれ武器を構えてカヤノと対峙する。彼女たちに対しカヤノは、数を減らした取り巻きの魔物を礼香たちにぶつけ、自らはらいむのところへ向かっていく。
「ええっ、いきなりぶっつけ本番!? ……ううん、アイドルになるんだもん、このくらいのハプニングは当たり前にこなさなきゃだよね!」
「あら、アイドルを目指しているのかしら? 『偶像』になら今すぐなれるわよ……あたしの氷でね!」
まだ冗談を言い返す余裕のあるカヤノが、掌から氷の飛礫を発射する。細かな氷が周囲に降り注ぎ、らいむが寒さに震える。
「うわーさむーい……あ、アイドルってこんな、体力勝負みたいなこともするのかな?」
「身体を張るのもアイドルの仕事よ! ステージで輝きたかったら、また這い上がってきなさい!」
カヤノが片手に氷の欠片を出現させ、それは勢いをつけられて放たれる。防御により直撃は免れたものの、衝撃で吹き飛ばされたらいむがカヤノの視界から消えると同時に、カヤノの背後に滑り込む気配があった。
「あなたにも事情があるんでしょうけど……ここはどうか引いてくれませんか?」
礼香が、手にした銃をカヤノに向けて、言い放つ。
「えらい数だねえ……! あたし一人なら正直きついけど、今は一人じゃないからね!」
「礼香様のため……お覚悟!」
礼香の背後で、ジェニスと狭霧が礼香の襲撃を援護するべく魔物との奮闘を続ける。カヤノを助けようとする魔物の間にジェニスが割り込んで阻止し、隙を見せた魔物を狭霧が的確な攻撃で遠ざけていく。
「さあ、どうしますか?」
礼香の前で、手を銃の形にして礼香に向けたカヤノが、微かに微笑んで告げた。
「あたしを言葉で退けようなんて、早いにも程があるわ。もっとも、あんたの向けた攻撃はあたしには届かない!」
「そうですか……無論あたしも退くつもりはございません。ならば……こいつで決めるしかないね!」
礼香が動き、同時に弾丸を発射する。カヤノがその場から動かず銃を撃つ真似をすれば、無数の細かな氷が発射され、弾丸と相殺して打ち消し合う。
「まだまだぁ! ボクのオンステージは、これからだ!」
そこに、吹き飛ばされたらいむが戦線に復帰し、飛び込んでランスの一撃を見舞う。だが決死の一撃は、カヤノのかざした掌から生じた氷に阻まれる。
「既に幕は下りたわ。あんたは幕の内側で項垂れてなさい!」
懐に無数の氷弾を受けたらいむが、再び大きく吹き飛ばされる。
「この位置なら、避けられねぇだろ!」
その間にカヤノの背後に回りこんだ礼香が、再び弾丸を見舞う。必中の思いで放たれた弾丸は、しかし合わさった六対の羽根に惜しくも阻まれる。
「熱くなるのは結構だけど、熱くなったら負けよ?」
お返しとばかりに、合わさった状態の羽根から飛び出した氷の欠片が礼香を襲い、何発かを受けた礼香の姿が遥か遠くに消える。
「礼香様……!」
「ちくしょう、一時撤退だ! 覚えとけよ!」
礼香のところに急行するジェニスと狭霧に目もくれず、カヤノが一息ついて羽根を元に戻す。
(……イルミンスールへ強行突破するにも、思った以上に手数を減らされたわ。こうなったらあたしだけでイルミンスールに潜り込む方がいいのかもね。……一番の狙いはあの子だし)
思案に耽っていたカヤノの前に、挨拶という名の攻撃が加えられる。上空方面からありとあらゆる武器を模したモノが投射され、目標を見失ったそれらが地面に無数の穴を開ける。
「うお! 俺様の必殺技を回避しやがった! ふん、チビらしく素早さだけはあるみてぇだな!」
舌打ちするアンブレス・テオドランド(あんぶれす・ておどらんど)が、反撃で飛んできた氷柱を回避する。
「風と大地の精霊よ、我が求めに応じ、我等に祝福を与えたまえ!」
そこへファティ・クラーヴィス(ふぁてぃ・くらーう゛ぃす)が、手にした片刃剣の刀身に刻まれた青い光を強く光らせ、上空から斬りかかる。後ろに飛んで避けたカヤノへ、さらに二度三度、ファティが斬りかかる。四度目の斬撃はカヤノを後少しというところまで追い詰めるが、そこに取り巻きの魔物が妨害をし、距離を離されてしまう。
「あ、アニムス、がんばりますですぅっっ!? い、いたいです〜転んだです〜」
地上では、アニムス・ポルタ(あにむす・ぽるた)が攻撃を仕掛けるべくとてとて、と駆けるものの、地面の突起にべちゃ、と顔を埋めて泣き喚く。
「……あれ? アニムスのメイス、どこいったですか?」
しかし、彼女が手にしていたメイスは、何をどうしたらそうなるのかよく分からなかったが、カヤノを護っていた魔物たちに致命的な攻撃をもたらし、空中で氷片と化して消えていった。
「私たちの戦力を図るいい機会と思い来ましたが……それに相応しい相手が現れたようですね」
そして、片手にファティの剣『神魔剣レーヴァテイン』、もう片方にアニムスの剣『幸喰剣ティルヴィング』を持ち、風に髪をなびかせたウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)がカヤノの前に立ち塞がる。
(……何だかとても面倒なのが出てきたわね。どうしたって自由だけど、それで何かが変わるってわけじゃないわよ。……どうにしろ、相手するには厳しいかもしれないわ)
カヤノの思いなどいざ知らず、ウィングが二本の剣を掲げれば、アンブレスと同じでありつつそれよりも剣数を増した技が展開される。
(少し気に入らないけど、逃げるために利用させてもらおうかしら。少し細工すれば簡単に騙せるはずだものね。……あんたたちの戦いぶりは見事、と言っておくけど、最後に笑うのはあたしよ)
「……剣王の現せ身、幾多の剣となりて舞い踊り、流星の如く降り注げ!」
カヤノが微笑んだ瞬間、ウィングの掛け声に合わせて無数の実体剣が投射される。同時にカヤノがやはり無数の氷片を空中に発生させ、その場を退避する。剣は氷を砕き、砕かれた氷はその散り際に靄を発生させ、冒険者たちの視界を奪っていく。
靄が晴れた時には、カヤノの姿は消え失せていた。統率者を失った魔物たちは僅かの間に蹂躙され、そしてようやく周囲に魔物の気配が無くなった。
防衛作戦の完遂を告げたカインの耳に、冒険者たちの歓声が聞こえてくる。カヤノを取り逃がしはしたが、撤退に追い込み、イルミンスールを魔物たちの手から護ったことに、皆一同にほっとした表情で喜びを分かち合っていた――。
――今はそれでいい。彼らの為した功績は、立派に誇れるべき物である。
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