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暗き森の泣き声(第2回/全2回)

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暗き森の泣き声(第2回/全2回)

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第8章 恩義を返すために・・・

「食材を探していた生徒たちはこの辺にもういないみたいですね。結構時間たったし、もう料理を作り終わってるのでしょうか」
「そうかもしれないな」
 朱宮 満夜(あけみや・まよ)ミハエル・ローゼンブルグ(みはえる・ろーぜんぶるぐ)は、アウラネルクの代わりにクリーチャー退治をしていた。
「どうする・・・もうイルミンスールの学園に戻るか?」
「うーん・・・もう少し見回ってみましょう」
「今・・・誰かの声が聞こえたようだが・・・」
 アウラネルクを探しに来ていた酒杜 陽一(さかもり・よういち)が、満夜たちの話し声が耳に入りキョロキョロと辺りを見回す。
「いるいる!こっちですよー」
「女の声が聞こえたから・・・てっきりアウラネルクかいたのかと・・・」
「もしかして守護者を探しているんですか?」
「あぁ・・・マンドラゴラの採取の許しをもらえたあの日の数日後、姿が見えなくなってしまったと聞いたから探しにきたんだ」
「そうだったんですか・・・やっぱり心配ですよね。私たちも一緒に探しましょう」
「そうだな」
「守護者と出会った所に行ってみたんだが、そこにはいなかった」
「となると・・・どこかで魔力を回復しているのでしょうか」
 口元に片手を当てて、満夜は考え込むように言う。
「だといいんだが・・・」
「他に気になることがあるのか?」
「ここは亡者たちがウロついているだろ。何か危険な目に遭ってないか心配でな・・・」
「たしかに・・・通常なら守護者1人の力で自分自身を守れるだろうが、今は魔力が回復しきっていないようだからな」
「もっと森の奥地へ探しに行ってみましょう」
 満夜たちは森林の奥深くへ、守護者を探しに行くことにした。



 マンドラゴラ採取で世話になった守護者を探しに、メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)たちもイルミンスールの森にきていた。
「どこへ行ってしまったのでしょうねぇ」
「こう暗くっちゃ、見つけづらいよね」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)は眼を凝らし、左右を見ながら守護者の姿を探す。
「どういう感じの妖精なんですの?」
 守護者に会っていないフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)が、首を傾げてメイベルに聞く。
「私も会ったことがないから聞きたいわ」
 十六夜 泡(いざよい・うたかた)も魔法草のお礼をしたいと思い、クリーチャー退治を兼ねて森に来ていた。
「最初会った時は、人をまったく寄せ付けない雰囲気で怖そうな感じでした・・・。でも本当は優しい妖精さんなんですぅ」
「そうだったんだ」
「たしか・・・髪と瞳の色が緑色だったよね」
「妖精といっても、背は人間と同じくらいありましたよ。ここに来る前は海で暮らしていたそうですぅ」
「なるほど・・・それなら見つけられるかもしれないわね」
「ひょっとしたら湖の所とかにいるかもしれないですぅ」
「うーん・・・そうかもしれないわね」
 守護者が湖にいるかもしれないと思い、泡たちはそこへ向かうことにした。



「マンドラゴラを採らせてもらったお礼は、ちゃんとしなきゃいけませんよね♪」
「そうだね、何かしてあげられることがあるといいんだけど」
 葉月 可憐(はづき・かれん)アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)の2人は、魔法草をもらったお礼をしようと守護者を探しに来ていた。
「それにしても・・・なかなか見つかりませんねー」
「結構探し歩いたよね」
「どこかで魔力の回復しているのでしょうか」
「そうかもしれないね・・・」
「密猟者たちもいるかもしれませんし、心配ですよね」
「そうだよね、早く探してあげよう」
「いそうな所といえばどこでしょう・・・」
「やっぱり湖の辺りとか?」
「そこへ行ってみましょうか」
 可憐たちも湖へ守護者を探しに行った。