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【海を支配する水竜王】捕らわれた水竜の居場所を調べよ

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【海を支配する水竜王】捕らわれた水竜の居場所を調べよ

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第4章 執念の情報収集

「はぁ・・・これで何回目だ?」
 15回も床から落ちたエースは、深くため息をついた。
「でもだいぶコツが分かりましたよ」
 床から立ち上がったザカコがエースを助け起こす。
「そろそろ挫けそう・・・」
 ローザマリアは壁に寄りかかり、痛む右腕の擦り傷を片手で押させる。
「諦めたら上には行けないわよ。もう1回試してみよう」
 もう1度チャレンジしてみようとアリシアが言う。
「ゆっくり進んだほうがいいですね」
 翡翠の言葉に生徒たちが頷く。
 廊下を渡ろうと階段を駆け上がる。
「もうちょっとそっちに行ってくれないと、こっち側が!」
「え、右に行けばいいのかい?」
 クマラの声にメシエが右側へ寄る。
「やった、1つ目の通路を渡れた!」
 渡りきったクマラが嬉しそうに笑う。
「ここもそうみたいですね」
 ザカコがぐらつく床を踏む。
「あといくつあるんだろう・・・」
 滑り落ちる嫌な床をいくつ通ればいいのかと思うと、クマラはぐったりと疲れた顔をする。
「くあぁあっ!?」
 床を通ろうと進むザカコがトラップに引っかかってしまい電撃をくらってしまう。
「トラップか!」
 彼の声を聞いたヘルが振り返る。
「そうです・・・他にもあるかもしれません」
「きゃぁあっ」
 廊下を進むアリシアの感知した電撃トラップが、彼女の足元を狙い発動する。
「こんなとこにまでトラップが仕掛けられているなんて・・・」
 翡翠が滑り落ちそうになるアリシアの手を掴む。
 廊下を渡りきって上り階段の前にたどりついた頃には、翡翠たちは体力を使いきってしまった。
 見回りの兵がいないか、ヘルが先に上って確認する。
「今のところゴーストたちはいないようだ」
 周囲を警戒しながら進む。
「よし、ここを上がれば資料室だな」
 階段を上り6階にたどりついた彼らは、情報を得ようと大量の資料を納めている棚へ向かう。



「これは建物についての資料ね。こっちも探しているやつと違うわ」
 エースたちと協力して資料室にたどりついたローザマリアは、水竜について調べようと棚を漁る。
「ふむ、書いてありそうなのを手当たり次第持ってきたが。なかなか見つからないのだよ」
 グロリアーナも彼女の傍で調べる。
「魔力を奪う目的のことが書かれているわね」
 ページを開いていくと、捕らえた水竜の魔力をある実験に使っているようだ。
「へぇーこれほどの力があるの。って・・・そんなに必要なのっ?―・・・あまり声を出さないように気をつけなきゃ・・・」
 大声を上げそうになる口を慌てて片手で塞ぐ。
「ターゲットが何か、具体的には書いてないようなのだよ」
 読み進めてみるが何をターゲットにしているか書かれていない。
「誰かのためにウィルスを作っているようね」
「そのために水竜を捕まえる必要があったのであろうな」
「えぇ、きっとそうよ。まぁ、目的のことは分からなかったけど」
 資料室には実験記録ばかりで、目的の水竜についてのことは結局、ほとんど見つからなかった。
「過去に、試験的にどっかで使ったみたいね」
「目的のために使えるような実用化までに至らなかったと?」
「そうよ。それも生徒によって阻止されたみたいだし。使えるようにするには大量の魔力がいるのよ」
 マンドラゴラを採取させてもらうために、生徒たちがイルミンスールの森へ向かい、その魔法草の薬で治ってしまったのだ。
 計画が失敗したことで、今度は違う方法で新たにウィルスを作り出そうとしてるのだ。
 それを作るためには、どうしても水竜くらいの魔力が必要となる。
「ふむ・・・もしかしたら、他の生徒が知っているかもしれない」
「そうね、他の人と合流出来たら伝えておかなきゃ」
 情報収集を終えた彼女たちは、7階の資料室へ行こうと向かう。



「何か書いてありそうなファイルを持ってきたよ」
 アリシアは棚からファイルを取り出し、翡翠の傍へ置いた。
「じゃあワタシは兵が来ないか、近くで見張っているね。全員調べ物始めたら、ゴーストが来ても気づくのが遅れるかもしれないから」
「そうですよね・・・。分かりましたお願いします」
 軽く頷くと翡翠は受け取ったファイルを開く。
「資料室よりも上の階があるのか」
 エースが傍から覗き込む。
「水竜を閉じ込めている場所を開くには、パスワードと・・・他にも何か必要みたいですよ」
 紙の束に書かれていることを読みながら、ザカコがエースたちに伝える。
「もしかしてこれか?」
 エースはファイルのページを捲り、絵柄を指差す。
「この鍵と同じ絵柄ですね。パスワードを入力した後に、そこで鍵を使うようですね」
 確認しようと翡翠は三日月の鍵と照らし合わせた。
「鍵は上の階で使うみたいだな。場所をメモしておこう。資料がなくなったら俺たちが見たってばれそうだからな」
 場所をメモに書き、資料を見つけた場所に戻した。
「ねぇ何か足音が聞こえるよ」
 超感覚で自分たちのところへ何者かの足音が近づいていると探知したアリシアが、翡翠の袖で掴んで知らせる。
 屈みながら棚の側面へ隠れる。
「(狭っ)」
 ゴースト兵に見つからないようにエースたちは、ぎゅうぎゅうに詰めあって隠れる。
「今のうちに資料を戻して上の階へ行きましょう」
 翡翠が小声で言う。
「あぁそうだな・・・クマラたちを呼ぼう。あれ・・・どこで資料を集めているんだ?仕方ない、探すか・・・」
 別の調べ物をしている彼らと上の階へ行こうと探す。



「うーん、これでもなさそうだね」
 クマラはエースたちとは遠くの棚にある資料を見て、魔力を貯蓄しているのか情報を探している。
「・・・ポンプ・・・タンク?きっとこれに魔力を集めているんだね!」
 貯蓄タンクの構図を見つけたクマラはメモ帳に書く。
「どこにあるんだろう・・・」
 ノートのページを捲り、読み続ける。
「前のページに場所が書いてありますよ!」
 エオリアがページを戻す。
「地下じゃないみたいだね」
「えぇ、他のフロアにあるようです」
 それは資料室よりさらに上のフロアにあるようだ。
「あっ、そうだ。メモに書いておこう」
 念のため場所と形状をメモに書いた。
「携帯つながるかな?」
 地下にいる仲間に連絡しようと電話をかけてみる。
「無理みたいだね・・・。電波が届かない」
 深い階層まで進んでいる彼らにつながらない。
「見回りの兵が来たぞ。早くここを離れよう」
 傍にやってきたエースが小声で言う。
「まずいね、急がなきゃ」
 見つかっては厄介だと思い、彼らは7階へ向かう。



「下の階から誰か来たみたいだぜ」
 複数の足音を探知した昶が北都に言う。
「ゴーストかな」
 物陰に隠れて警戒する。
「人・・・?」
 階段から上がってきたのはエースたちだ。
「合流出来てよかった。こっちが持っている情報交換しないか?」
「そうだね」
 北都たちは情報交換を始めた。
「なるほど・・・その鍵はパスワードを入力した後に使うんだね」
「あぁ、この鍵を使うんだ」
 エースは北都たちに合成した鍵を見せる。
「で・・・パスワードって、生物に関係ある感じなんだな?」
「生きていく上で必要なことかな。たぶん漢字にすると2文字だと思うよ」
「漢字2文字か・・・」
 どんな言葉があるか考えてみる。
「ねー、このこと知っている人いない?」
 ローザマリアが資料室で書いたメモを見せる。
「あの原因不明の病気が、今回のことと関係ありそうだね」
「えぇ、あれもウィルスでしたから」
 隣から遙遠が話す。
「生物兵器か・・・ウィルス作り。どちらかは阻止出来そうですけど」
「どっちも魔力が必要だからね」
 北都が彼の言葉に頷く。
「目的を実行出来るようなヤツを作り出すのは止められそうだね」
 制作に必要な数値を見て言う。
「あとは分担して行動すればいいかな?」
 情報を教えあった彼らは、どう分担して行動するか考える。