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ホレグスリと魂の輪舞曲

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ホレグスリと魂の輪舞曲

リアクション

「写真……ですか? 知りません」
 望は、あっさりと写真の所持を否定した。
「あんたに渡したってピノから聞いたんだ! もしかして……売ったとか……?」
「馬鹿言わないでください。あんな素晴らしい写真を売るわけないでしょう」
「…………」
「…………」
 間抜けな沈黙の後、望は再び歩き出した。
「頼む! 何でもするから!」
「何でも……ですか」
 それを聞いて、望はぴたっと足を止めた。何か考えるようにしてから振り返ってにこっと笑う。懐に手を入れて、エリ×アデの写真を取り出してまじまじと見た。
「……本当に、『何でも』するのですね?」
 裏がありそーないい笑顔で望が言った所で、エリザベートとアーデルハイトが歩いてきた。病院からの帰り道に、警部からの連絡を学校経由で聞いて立ち寄ったのだ。
「どうしましたぁ〜?」
 望は即座に写真を元に戻そうとした。ところが、少しばかり慌てていたせいか手元が狂う。直後、風がその間を通り抜けて写真を宙に舞わせた。
「あ…………」
「なんですかぁ〜?」
 ひらひら。ひらひら。
 幸いなことに表面は空を向いているので確認できない。風に翻弄される写真を、トライブと望、エリザベートが追いかける。写真の正体を知る由も無く興味も無いアーデルハイトは、やれやれという顔をしてそれを眺めていた。やがて写真は高度を下げ、そのまま帰ろうとしていたピノ達の前に落ちていく。
「何が写っているのかな〜?」
 何気にトライブ達の会話に聞き耳を立てていた明日香が、白い猫耳を出したまま写真に手を――
「止めろ! 俺の撮ったエリザベートの恥ずかしい写真に触るな!」
「え?」
「なんじゃと?」
(しまった…………!)
「どういうことですかぁ〜! …………そういえば、ぼんやりと覚えてますぅ〜。あの時、どこかでパシャッって音がしましたぁ〜! 明日香、その写真見せてください〜」
 猫耳をぴくぴくさせて写真に見入っていた明日香は、はっ! と気付いたように顔を上げた。
「え、えっとぉ〜これは〜見せてもいいですけどぉ〜」
 今日1番の戸惑いを見せる明日香。
「だ、ダメだ!」
「あなたは黙ってなさい〜!」
 エリザベートは容赦のないファイアストームを放った。過去の失態を思い出したり、それがきっちりと記録されていたことに怒っているようだ。
「うわっ!」
 超感覚とバーストダッシュを使って何とか避ける。ミイラ男になるのはごめんである。後々まで、方々でネタにされること必至――いや、普通にミイラ男にはなりたくないので必死だった。
(ご、誤魔化さないと……!)
 何とかエリザベートの所まで行き、その手を握ってジト目を見詰める。

「ち、違う! 俺はただ……エリザベートが大好きなだけなんだぁぁぁ!」

 だぁぁぁ! ……だぁぁ! ……だぁぁ! (←エコー
「「「「「「「…………」」」」」」」
 その場の全員が沈黙し――
「し、失礼しましたー」
 真菜華がピノの手を引っ張って歩き出す。
「あ、そうそう、先にピノちゃん見つけたんだからマナカの勝ちだよっ! なにかおごれ!」
「途中でまた攫われたじゃねーか。無効だ」
「でも、その後で追っかけてすっぱだかにしたじゃん」
「…………クリームパンならおごってやる」
 3人が帰路につく中、ザイエンデが不思議そうに小首を傾げた。
「……彼女を攫って、恥ずかしい写真を撮って……今のは、告白ですか?」
「ざ、ザインさん! 違うんだ! ……あ、アレ? これじゃ俺、ただのロリコン?」
「ロリコン……というのですか? 永太と同じですね」
「ちがっ……、いや、違うってのはそういう意味じゃなくて、あれ? どういう意味だ? あれ? …………」
 改めて周りを見回して、頭を抱える。
「……誤魔化し方間違えた!」
「じゃあ、むきプリ君を回収しにいきますよぉ〜」
 エリザベートがそう言った時、群集の中から救急車が飛び出てきた。ぴーぽーぴーぽー×2…………
「……帰りますよぉ〜」

「……なかなか面白い見世物でしたね。では、今日は帰りましょうか」
「待て……」
 帰ろうとした所で、望は後ろから声を掛けられた。振り向くと、アシャンテと愉快な動物達が勢ぞろいしている。
「……貯水槽にホレグスリを混ぜたのは、お前だな……? あのコーヒーのせいで……どれだけの被害が出たか……お前達……行け……」
「………………エ? きゃああっ!」