校長室
クリスマス…雪景色の町で過ごすひととき…
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第36章 永遠にパートナーと一緒に・・・ 「この先にあるシュヴール橋の下で誓いの言葉を言うと、その相手と縁で結ばれるそうですよ」 陰陽の書 刹那(いんようのしょ・せつな)が町で聞いた言い伝えを、神崎 優(かんざき・ゆう)たちに教える。 「へぇ〜そうなのか。そこからならもっとキレイに町の様子が見えそうだな」 「―・・・ねぇ、乗りに行かない?」 優の傍にいる水無月 零(みなずき・れい)がぼそっと乗りたそうに言う。 「そうだな、歩いて見るのもいいけどさ。ゴンドラの上からっていうのもいいかもな」 せっかくクリスマスの日に夜景を楽しもうと来たのだから、眺めのいいところでゆっくり過ごそうかと、川くだりすることに決めた。 「おーいっ、ゴンドラに乗せてくれるって!」 漕ぎ手に頼んだ神代 聖夜(かみしろ・せいや)が、乗り場から3人を呼ぶ。 「あの辺りはカフェがあるところだな」 優は洋館を指差し、ゴンドラの上からゴシックテイストの町並みを眺める。 「確かお茶やケーキが美味しいって有名なところよね。外灯の灯りで輝いているように見えるわ・・・」 彼に寄り添うように零も町を見上げる。 「あら雪が降ってきたわね?今日はもう降らないと思ったのに・・・なんだか町の灯りで光っているみたい」 星のようにキラキラと光る粉雪を見つめ、素敵なホワイトクリスマス気分を優の傍で楽しむ。 「宮殿や城があるからさ。どこかの王族や貴族が住むような町かと思ったら、そうじゃないんだよな」 「そういう人たちが使っていたみたいだけど、もう住んでしないみたいよ」 「この町に提供されて、観光用になったんだっけ?」 「今はもう誰でも見れるのよね。町の人も気取った感じじゃないし。おしゃれな雰囲気のところよね」 優の話を聞いて零はこくりと頷き、さっきまで歩いていた町並みを思い出して言う。 「まるごと渡すなんてさすがあるとこにはあるって感じね。でも、観光用になったおかげで、ゆっくり楽しめるってことかしら」 何年もかかって作った石造りの建物もあるのに、堅苦しくないこの町の雰囲気が気に入ったようだ。 「さっきのカフェの近くにある2本の塔がある教会も素敵だったわ。今度は中も見てみたいわね」 町の灯りでライトグリーンに輝く教会をうっとりと見つめる。 「建物の中も結構いい感じなんだよな」 「そうなのよね。音楽だけじゃなくって、美術館とか・・・オペラとか・・・いろいろあるのよ」 「気になるよな、こんど来れたら行ってみようか?」 「いいの?やったー♪」 「(来れたら、って言ったんだけどな。喜んでるみたいだし、まぁいいか)」 「何かいい雰囲気だな」 「えぇ、そうですね」 少しだけ2人から離れて聖夜と刹那が小さな声音で話す。 「(気づかってくれたのかしら?ありがとうね)」 聖夜たちに手を振って、零は軽くお礼を言うような仕草をする。 「どうしたんだ?」 「ううん、ちょっとね」 2人に手を振る零の方を見て言う優に、ふるふると首を振るう。 「ここから見ると、あのお城って結構大きいのね」 「おぉ〜本当だな!」 彼女が指差すを方を見ると城の広大な敷地が見え、あまりの凄さに優が感嘆の声を上げる。 「現実にこんな場所があるなんてね、夢を見ているみたいだわ。まるで宝石みたい」 気づかない間に、優に寄りかかって眺める。 「もうすぐ橋につくぞ」 「ではそれぞれ誓いをここで立ててみませんか?」 聖夜の声に刹那は橋を見て提案する。 「うん、それもいいかもな」 刹那の提案を聞いた優は、誓いたいそのたった1人の相手の姿を、すぐに思い浮かべた。 「縁で結ばれるのよね。私も・・・やってみようかな」 こくりと頷き零はちらりと優をちらりと見る。 「(神崎優の相棒であり続けることを誓います。エス イスト シュヴール イン リューゲ ニヒト)」 ゴンドラが橋の下へ流れ、聖夜は目を閉じて心の中で言う。 「(パートナーとして神崎優と共にあらんことを誓います。エス イスト シュヴール イン リューゲ ニヒト)」 彼に続けて刹那もパートナーとずっと共にいると心の中で呟く。 「(水無月零を愛し続けると誓います)」 恋人である彼女に改めて告白するように、愛しいその姿を思い浮かべながら優は心の中で誓いの言葉を言う。 「(神崎優を愛し続けると誓います)」 零も優と同じ気持ちで心の中で、彼にその言葉を捧げて誓う。 『(エス イスト シュヴール イン リューゲ ニヒト)』 優は零の方へ顔を向けて互いに顔を赤めながら微笑み合い、この気持ちに嘘偽りはないと誓い合った。
▼担当マスター
按条境一
▼マスターコメント
ごゆっくりお過ごしいただけたでしょうか? 文量がなんだか大変なことになっていますが…私からの遅いクリスマスプレゼントということで。 後、グリュック橋は園内にはありません。 そこはそれでその他いろいろ…、描写的にあるのはオマケとして見てくださいませ。 それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。 2010.12.31:リアクションの一部を修正いたしました。