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リアクション
白竜、ルカルカ、ダリルの指揮の元、戦況は敵を押しつつ有った。
加夜、睡蓮、そして九品寺を乗せた飛空艇は上空にて待機し、戦況を見守っていた。勿論何もしていないわけではない。上空からのパルスレーダーやアクティブソナーの上方を随時、下で戦っている者たちへ送っていた。
そして、もう1つの役目もあった。
「九品寺さん、あなた、敵のリーダーをアレイシャさんと言いましたね。間違いないですよね?」
加夜が九品寺に尋ねる。
彼は頷いて答えた。
「あれは確かに、アレイシャの声だ」
「何故、アレイシャさんが海賊のリーダーに? しかも、鏖殺寺院の部隊を連れて」
睡蓮の言葉には首を横に振る九品寺。
「わからない。脱退する直前にも彼女は何も話してくれなかったから」
九品寺の推測ではアレイシャは重体の妹を連れて、研究所を出て行ったと言っていた。しかし、あろうことかアレイシャは鏖殺寺院のイコン、シュメッターリングに乗って、輸送部隊を襲ってきた。恐らく、先行の輸送部隊を襲ったのも彼女の率いている部隊だろう。
海賊とは名ばかりに、統率のとれた敵兵たちの動きは軍隊のそれだ。
「九品寺さんあなた、何か隠していませんか?」
何らかの方法で彼が敵をおびき寄せた可能性も濃厚になってきた。賊と直接連絡を獲らずとも、発振器、いや携帯のGPSを使うだけでも輸送部隊の位置を相手に知らせる事ができる。
鉄心が問いただそうとすると、意外な人物から通信が入った。
《見つけた。居るんでしょう。Q策》
敵リーダーであるカメラ映像での通信が入った。画面に長い髪の女性が写る。
《あなたの事だから、自分の大事なモノは、自分で見届けたいんでしょうけど……》
アレイシャが一呼吸置き、宣言する。
《帰してもらうわ。妹を、イレイシアを》
「アレイシャ、お前はその為にこんな事を!?」
《こんなことって? あなたが言えるの? イレイシアを“あんな目に”して! 許せない、あなたは先に殺すわ》
シュメッターリングが鏖殺寺院機関銃を構える。迷彩を施していた飛空艇の位置は既にバレていた。通信が切れると同時に、飛空艇への砲撃が開始された。
「いけない!」
ジーナの乗ったミスファーンが飛空艇を庇う。《鉄の守り》で耐える。
ミスファーンへの攻撃を小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)とベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)の乗るグラディウスが妨げる。
《ジーナァー、私より目立つなんて許さないんだからね!》
自己主張の激しい美羽が、ジーナに抗議する。
《すみません。大丈夫ですか?》
《これくらいの攻撃、なんともありません》
心配するベアトリーチェにジーナはそう返した。しかし、《鉄の守り》を使ったとは言え、ミスファーンへのダメージも相当蓄積している。一旦地上に降りたほうがいいかもしれない。
《無茶をするでないジーナ》
ガイアスも心配する。
《飛空艇は一旦地上へと着陸。位置もバレたし、空中にいたら守りにくいのよ》
《わかりました、トレーラーの側に降下させます》
ルカルカの指示に従い、加夜がパイロットに着陸するよう伝える。
《美羽、リーダー機をお願いね》
《同じ西ロイヤルガードとしてわかってるもん》
飛空艇が降下するのを確認したら、美羽は逃げるシュメッターリングを追った。
「逃さないわ!」
シュメッターリングのコックピットで、アレイシャがムキになっていた。彼女の心には九品寺への私怨が渦巻いている。やつを殺せと脳裏に言葉が浮かぶのだ。
「ダメです、ここは一旦引いてください。飛空艇を仕留めるチャンスは、制圧後にあります!」
同乗するサブパイロットが、後ろから彼女を諭す。リーダーが私情動いていては、この略奪は成功しない。
「ち、わかったわ……」
迫るグラディウスのビームサーベルを回避し、一時退避することにした。
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