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至高のカキ氷が食べたい!

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●僕の冒険譚お聞かせいたしましょう。

「それでは、次は僕たちが春頃に経験した冒険話をしようかな」
 清泉北都(いずみ・ほくと)が口を開いた。
「どういう話かね?」
 氷精は興味深げに北都を見た。
「じゃあ、始めるね。場所はツァンダの洞窟。その地底湖の側に咲く『コウフクソウ』という願いが叶う伝説を持つ花を探しに行ったんだ」
「ほうほう、そのような物が存在するのか」
 コウフクソウという響きに氷精は反応する。
「うん。結果から言えばあったんだよ。この話は元は蒼学の小谷愛美さんの依頼だったんだ。けど、妙な先輩達が音頭を取って人を集めて、3つのルートに分かれての探索になってしまったんだ」
 北都が神妙そうに思い出している。
 そこで、リオン・ヴォルカン(りおん・う゛ぉるかん)が補足するように話を繋いだ。
「私達が共にしたのはウォウルさんという話の長い先輩でした。探索よりも一緒に行動するだけで疲れる方でしたね」
 そう苦笑してリオンは言う。
「本当にそうだったねぇ……。まぁでも僕達のルートでは戦闘は起こらなかったんだけど、他の2つのルートで戦闘になっていたらしいんだ」
「やはり、コウフクソウを守護する魔物でもいたのかな?」
 北都とリオンが同時に頷いた。
「それはゴーレムだったんだけど、僕達は人数の少ない方へ応援に行ったんだ」
 でもさ、と北都は話を続けた。
「その迷惑そうな先輩が的確な指示を出して、魔法と物理での攻撃がタイミングがぴったりと合って圧倒的な力で倒せたのは感動だったなぁ」
 北都はそのときの快感がいまだ鮮明に思い出せるのか、頬を紅潮させ息巻きながら話す。
「私も戦いは好きではありませんが、あの時の戦闘は本当にドキドキしましたし、倒した時の達成感は今でも忘れられませんね」
 リオンが北都に同調するように言う。
 それはさぞかし気持ちのよかったものだったのだろう。
「相当楽しかったんだろうな。君たちの表情を見ているとよくわかる」
 うんうんと氷精も頷いている。
「連携。それが合わさると何倍の力にもなるってホントに実感したよ」
 しみじみと、北都はそういった。
「でも、数年に一度しか咲かない花を摘むことを阻む方々も居ましたが、話し合いで一輪だけ許可を貰えてよかったですよ、ほんとに」
 リオンの話しぶりでは、一悶着起こったようだったが、暴力を振るわずに解決できたらしい。
「見つけた『コウフクソウ』はピンク色をした可愛らしい花だったんだよね」
 北都はリオンを見ながら確認するように言った。
「ええ、そうでしたね。私はあの地底湖で咲き誇る美しい花を見れただけで満足でしたよ」
「ほう、そこまで優雅なものだったか」
「それはもう。水場からの距離や咲く場所で色とりどりの花弁を咲き誇らせて美しい限りでしたよ」
 氷精の言葉にリオンが語る。短い言葉ながらもそこに込められた美しさに対する思いに嘘偽りは何も無かった。
「でも、その『コウフクソウ』は残念ながら人の願いを叶える花ではなかったんだ」
「それは残念だったのう……」
 氷精は本当に残念そうに表情を曇らせた。
「うん。確かに噂は嘘だったかもしれないけれど、戦いを経て皆で困難を乗り越えて見つけた……その冒険や経験が宝だったんじゃないかって僕は思うよ?」
 ニコリと微笑を浮かべて北都は言った。
 そこには残念がるそぶりは微塵もなく、ただ本当にその冒険が有意義であったことを示していた。
「それに今も礼の先輩方に関わるトラブルに巻き込まれていたりしますが、割りと楽しいんです。一種の花を巡った縁というやつでしょうかね?」
 リオンも北都の言い分に頷いている。
「他人の依頼を聞いて出来た縁か……煩わしい時もあるかもしれないが、一日ごとに充実していくのかもしれないな」
 氷精はそういってテーブルを囲っている皆一度見回した。