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リアクション
ばんっ! 勢いよく開かれた扉から、倉庫の中へ雅羅が滑り込む。
「子供たちを離しなさい、この……」
叫ぼうと開いた口が、そのまま驚愕の表情を形作る。倉庫の中には何人もの悪党が居並び、それぞれが銃を構えて誰かが飛び込んでくるのを待ち構えていたのだ。
「よくものこのこ現れやがったな。てめえには人質になってもらうぜ!」
その声に、いくつもの銃声が重なる!
「……っ!」
銃を抜きはなった体勢で、雅羅が声にならぬ声を上げる。
しかし、その弾丸はひとつとして、雅羅を傷つけることはなかった。
「あ……っぶない!」
雅羅の背に白波 理沙(しらなみ・りさ)が飛びつき、彼女を押し倒すように横へはね飛ばす。
さらに、彼女の前に鋼鉄の硬さを持つフラワシが立ちふさがり、弾丸を弾き落とす。
「ナインライブス……残念だ。今の角度、スカートだったら完全にのぞけていたのにな」
床に転がる雅羅と理沙に、弥涼 総司(いすず・そうじ)が告げる。
「……何しに来たのよ」
雅羅がいくらか声を冷たくして聞いた。
「もしかしたら、契約者の中に無法者と手を組んで卑怯な手を使ってくるやつがいるかもしれないって思ってね。雅羅のこと、つけてたのよ」
「俺はお前のおっぱいを守るために来た」
理沙と総司が口々に答える。跳ね起きた雅羅は、まずブーツで総司のスネを蹴ってから、倉庫で待ち伏せした無法者たちに向けて銃を構えた。
「あいってぇえ!?」
悲鳴を上げる総司をよそに、無法者たちの銃がさらに火を噴く。今度は雅羅も万全だ。横に飛び、身を伏せて弾丸をかわしながら、長い砲身で狙いを定め、ひとりずつ無法者を撃つ。
「援護するぜ」
倉庫の入口、ドアを縦にしながら天城 一輝(あまぎ・いっき)が派手に連射。当てるというよりは、無法者たちの気を反らすための陽動である。
「いっくわよー!」
ハンドキャノンを手に、白波 舞(しらなみ・まい)が無法者たちのまっただ中に飛び込んでいく。
「こういう、卑怯な手ばっかり使う連中の好き勝手に、させておくわけにはいかないわよね!」
バンッ、バンッ、とリズミカルにハンドキャノンを振りかざす舞に、無法者たちの軽い引き金が狙わないわけがない。あっという間に、舞の周囲が囲まれる。
「全てのおっぱいは俺が守る! ラヴゲームッ!」
(雅羅からの)ダメージから復活した総司が、新たなフラワシを生み出す。猛烈な炎を吐き出すガトリングガンが、無法者を薙ぎ払った。
「……全てのおっぱいは巨乳への可能性を秘めている。その可能性を摘み取るものとは、誰とでも戦う」
一方、雅羅も数に押され、倉庫の隅に追い詰められている。
「このっ……!」
取り回しの難しいバントラインスペシャルは、早撃ち・連射には向かない。持ち前の身のこなしで逃げ回っているが、浅い傷をいくつか受けている。
「へっ、もう終わりだな」
無法者の銃がぎらりと光る。しかし、雅羅は挑発的な笑みを浮かべた。
「ちょっと、自分たちがガンマンだからって、銃だけを怖がりすぎじゃない?」
「何……ぐわっ!?」
言い返そうと下無法者の背を、理沙の刀が薙ぎ、突き飛ばす。
「あら。今のはちょっと、正々堂々って感じじゃなかったかも。……でも、一回なら多めに見てくれるよね」
「この女……っ!」
「させるかっ!」
倉庫に積まれた木箱に身を隠した一輝が、援護の弾丸を放つ。無法者がかわそうとしたところを、理沙が、あるいは雅羅が打ち倒す。
時間にして一分に満たない間、倉庫の中には絶えず銃撃音が響き、その時間が過ぎ去ってからはぴたりと止んだ。
「……子供たちは!?」
「その話、まだ信じていたんですか? らしいというか、なんというか……」
控えていた早乙女 姫乃(さおとめ・ひめの)がそっと進み出る。雅羅たちの傷の様子を確かめながら、雅羅の素直さに目を瞬かせた。
「……それじゃあ、もしかして、ここにおびき寄せるための罠……?」
「そうですよ。……もう、心配させないでください。皆さんが居たから、何とかなりましたけど……必要以上に戦う事はありません。暴力で物事を解決仕様とするのは……」
傷に治癒を施しながら、姫乃は訓戒を口にするような調子だ。
「まあまあ、卑怯な罠にあえて飛び込んで打ち倒すのも、私はいいと思うわよ」
と、理沙。一輝も首肯の動作を見せた。
「無法者へのけん制にもなっただろう。俺たちには、卑怯な手は通じないっていうな」
「どこの誰が考えた作戦か知らないが、雅羅のおっぱいを守りたいという俺の気持ちには敵わなかったようだな」
大きく頷く総司。
「……でも」
ぽつりと姫乃が呟いた。
「……私たち、雅羅さんを守るためにここまで来ましたけど、他の契約者さんたちは大丈夫でしょうか?」
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