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【2022バレンタイン】病照間島の死闘

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【2022バレンタイン】病照間島の死闘

リアクション

 ぶすり。
 七瀬 歩が包丁で足を切断したアルベール・ハールマンの胸に、桐生 円は静かに包丁を突き刺した。
「これで……ボクも、歩ちゃんと一緒だよ。チョコで、汚れちゃった」
「あ、円ちゃん…… おかしいよ。あたしのために、そんな……円ちゃん!」
 歩が円の腕をつかむと、飛ぶ。
 異様な跳躍。
 その足元で、ダイナマイトが爆発する。
「あはははははは! あいつ一人死んだくらいで荒神を殺せると思ったら大きな間違いよ! 荒神を殺そうとする奴は、皆あたしが殺す!」
 蒼魔 綾が笑いながらダイナマイトを投げつけてきた。
「ね、ね、荒神、見てて。こいつらを葬って、この島を脱出で来たらあたし、荒神に告白するんだ!」
「あ、ああ……」
 既に告白と同じような台詞を受けて、神崎 荒神は曖昧に頷く。
(この島から脱出できたら、な……そしたら、綾の気持ちに真剣に向き合わなくちゃいけないな……あっ)
 綾の言葉を心の中で繰り返していた荒神は、ふと何かに気づいた。
 背筋がすうっと冷たくなる。
 まずい。
 綾の言葉。あれは、死亡フラグだ。
 がこっ、がこっ、がこっ。
 鈍い音が、数回。
 歩がくるりと回りながら、鉈を振り回す。
 まるで、踊っているかのように。
 鉈でダイナマイトを弾き飛ばす。
 海に落ちたダイナマイトは、激しい勢いで水煙を起こす。
「うあっ!?」
 一瞬、視界が遮られた綾の懐に歩が飛び込む。
「がっ」
 綾の首がチョコレートとなって落ちた。
「あや……っ!」
 開けた荒神の口から、言葉と共にチョコレートが吹き出す。
 その時にはもう、荒神の下半身はチョコレートになっていた。

「歩ちゃん、包丁、貸して」
「駄目……」
「いいんだよ。一緒に、汚れよう」
「嫌……嫌! あたしに、気を遣わないで!」
「違うよ。ただ、ボクがこうしたかっただけなんだ……」
 歩をそっと抱きしめる円。
 円の肩に、頭を預ける歩。
 二つの影が、ひとつに溶ける。
 そこに。
 ブゥ……ンッ!
 どん。
 車が暴走してきた。
 水無月 睡蓮と霧島 玖朔の乗る車は、ブレーキも掛けず歩と円をひき殺した。




 神崎 荒神:死亡
 蒼魔 綾:死亡
 アルベール・ハールマン:死亡
 七瀬 歩:死亡
 桐生 円:死亡